『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術』を読んでみた

本書はコンサルティングをおこなう上で、絶対に必要な要素と共に具体的な対話術までおさえた一冊です。営業で契約を取るところから、普段のコンサルワークまでの一連の流れがまとめられているため、本書一冊でコンサルタントに必要なスキルが全て手に入ります。

本書執筆した和仁達也氏は、株式会社ワニマネジメントコンサルティングの代表取締役です。月額30万円を超える顧問先を複数化かけ、年間報酬3,000蔓延を軽く超える人気コンサルタントです。

そんな実績名実ともに素晴らしい和仁氏が語るコンサル術を、ぜひその目で見届けてください。

■書籍の紹介

年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術
和仁 達也 著

お困りごとトップ3の言語化が価値をつくる

コンサルタントとしての価値は、知識やスキルの違いで生まれるものではなく、「見込み客のお困りごとをつきとめられるか」にあります。特に本書で語られているのは、見込み客の頭の上にある「お困りごとトップ3」にアプローチすることだと語られています。

その際に効果的なトークは以下となります。まずは、相手の会社の成功体験や社長がしゃべりたいことを話してもらいます。その後に次の質問をするのです。
「〇〇社長は順調にビジネスをされているので、きっと悩みごとや困っていることなんで、ないでしょう?」
コンサルタントとして、相手の経営者のお困りごとを、言語化してあげることで、信頼の構築や価値を伝えることができます。

スタンスや立ち位置を言語化して伝えることが重要

トップコンサルタントは上述したお困りごとトップ3の言語化とともに、もう一つ心がけることがあります。それが自分がコンサルタントとして、どういったスタンス、立ち位置でコンサルティングをするのかを言語化して伝えることです。

本書では例として下記のコンサルトークが使われています。
「自分のビジョンを実現しながら、クライアントのビジョン実現化をサポートする、ビジョナリーパートナーというのが、私のセルフイメージで、そのスタンスに共感してくださる方のお力になりたいんです。」

例えば、クライアントと同じ目線で一緒にビジネスを拡大させていくというスタンスなのであれば、必ずその点を伝えておく必要があるという事です。

相手の質問にはそのまま答えない、本質を探る

本書ではデキる、デキないの差は、相手の質問にどう答えるかだと語られています。これは、人を見抜くヒントにもなります。

・デキない営業マンやコンサルタントは、相手の質問にそのまま答える。
・デキる営業マンやコンサルタントは、質問の意図に答える

重要なのは、質問そのものではなく、質問に隠された「意図」です。しかし、質問から意図がくみ取れないケースもあります。その場合は、尋ね返せばいいのです。

「ちなみに、なぜ質問をお聞きになりたいんですか?」

「ちゃんと意図をくみ取ってお答えしたいので確認したいのですが」など、言葉の冒頭に付け加えると、さらに言いやすくなります。

営業とコンサルタントの定義を揃えると成果に繋がる

コンサルタントの中には営業が苦手だと考える人は多いと、本書で紹介されています。苦手と答える人は営業の定義を、こちらの商品・サービスを売り込む行為であると考えているのです。その一方で、コンサルタントは売り込んではいけないと考えています。

両者は相反する定義になるため、それぞれがブレーキとなり、成果が出せないのです。その場合は、営業の定義を以下にします。

営業とはこちらの商品・サービスを売り込む行為ではなく、相手のお困りごととこちらの商品・サービスをマッチングするお見合いである。

契約を増やす上で目指すべき3つの期待

コンサルタントとしてクライアントに期待されるようにしたいというのは誰しも考えるものです。しかし、多くの場合、コンサルタントにはズレた思い込みがあると言います。それは以下です。

①この人は私の知らないことをたくさん知っていると思われようとする
②この人のアドバイスをもらわなければならないと思われようとする
③先生としての威厳がなければならないと思われようとする

上記はいずれも間違った思い込みです。上から教えるような先生型コンサルタントであれば必要ですが、横に並んで盲点に気づかせる「パートナー型コンサルタント」の場合は不要となります。

ではどんな期待を描いてもらうと良いかですが、それは以下の3つとなります。

①この人と話をしたら頭がスッキリ整理されたな
②見落としている盲点によくぞ気づかせてくれた
③この人と話していると先が見えてワクワクしてきた

これが、パートナー型コンサルタントに必要な要素となります。

3年スパンのシナリオを作り、クライアントの未来を描く

本書で10年契約が続くコンサルタントがやっている取り組みとして「未来」を見せるというものがあります。具体的には、初回面談であらかじめ3年スパンでシナリオを作っておき、その内容を伝えるというものです。

コンサルタントとして、成果を出すことは当然として、その後も契約を継続させるための理由を予めクライアントに伝えることは必要不可欠なのです。

「先に言えば説明、あとでいえば言い訳」という考え方がコンサルタントの思考としては必要不可欠となります。

相手の「お困りごと」を言語化するスキルは「本質をつかむ」「ボキャブラリー力」

相手のお困りごとをズバリ一言で言語化するのは、コンサルタントとして最も価値提供ができる能力です。そもそもコンサルタントとは言葉を使ってクライアントに行動させ、気付きを与え、成果を出す職種だからです。

言語化スキルは2つの力の掛け合わせだと本書では語られています。それは以下です。

言語化スキル=本質をつかむ力×ボキャブラリー力

本質をつかむは言葉の通りですが、表面的な問題や課題にフォーカスするのではなく、よく問題の周囲ある状況を観察、整理し何が本質なのかを見極める力です。そしてもう一つ重要なのが、ボキャブラリー力です。本質が分かったとしても、伝える表現を知らなければ、理解が得られません。

この2つを磨くためには、コンサルの現場において、以下の質問を自分になげかけます。

「1番:この現象の本質は何か?」
「2番:なぜ私はそう考えるのか?」

この自問自答を3回繰り返します。さらにボキャブラリー力を磨くためには、人から聞いた言葉でピンときたものを、あるいは心に引っかかったものをその場でメモして、次に使えるように蓄積していくということです。

コンサルタントの仕事の80%は相手の状況を正しく把握すること

コンサルタントとして、会話が弾まずに沈黙が生まれてしてまった経験は誰しもあるはす。本書では、沈黙が生まれるのは質問が多すぎる、質問が唐突過ぎるから、フリーズしてしまうと言います。

その場合、本当にこの人が知りたいことは何だろう?という視点をもつことが大事だと紹介されています。コンサルトークとしては以下です。

①なぜ、それがあなたにとって問題ですか?
②それはあなたにとって、どんな意味がありますか?
③それをそのまま放置しておくことは、どんな不都合につながりますか?

なぜここまで質問をするかといえば、それはコンサルの仕事の80%は相手の状況を把握することだからです。コンサルタントと頭の中と、クライアントの頭の中では、重なっている部分と重なっていない部分があります。その部分をヒアリングしながら、情報量を一致させる必要があるのです。

多くのコンサルタントは、相手の描いている絵と違う絵を、勝手に自分の頭の中に描いてしまって、そこに自分の持っている解決策を当てはめようとするからズレてしまいます。そのため、相手の状況を正しく把握することが重要となります。

1つの質問で相手の核心に辿りつくマジッククエスチョン

コンサルタントは相手の相談に乗るよりも、もっとも大切なのは問題の核心を突き止めることです。コンサルとして、相手の意図とズレた提案をしてしまうケースはよくあります。一方で外堀を埋めるような質問ばかりしても、相手の時間を奪ってしまうため、コンサルとしての価値提供になりません。

一瞬で相手の核心に踏み込むためにはどうすれば良いか。それは、相手に質問を投げかけて、返ってきた答えに「なぜ?」と問い返す事です。その場合のコンサルトークは以下になります。

・ある会社で、その同じテーマについて、▲▲と言っていた人がいましたが、Aさんの場合は、なぜそうお考えなんですか?

・世間には、例えば〇〇という意見もあるようですが、あなたはなぜそう考えるのですか?

先に質問をしやすい状況をつくっておく

一つ前の項目であげた「質問の深掘り」ですが、質問を追及していくのが怖いという意見があります。クライアントに「なんでそんなこと聞くの?」「そんな初歩的なことは知らないの?」「自分のこと分かってくれていないね」という意見をもらうのが怖いということです。

それを防ぐためには「前提条件」をつくっておくことが重要です。基本的に、「クライアントに勝手な思い込みで進めるのは不利益だから、質問をする必要がある」というマインドがあれば、戸惑うことはないでしょう。それが自分の中で腹に落ちていないからこそ、怖いという感情が出てくるのです。その時の言い方が重要で、例えば下記になります。

・もしかしたらプライベートに踏み込んだことまでお聞きするかもしれません。その理由は〇〇です。それが▲▲さんのビジョン実現に必要だと僕が感じた時には、そのようなことを質問させていただく場合もありますけど、大丈夫でしょうか?

先に言えば説明、あとで言えば言い訳なのです。

人は急に大きな質問をされると答えにくいものです。この時に相手が答えやすくなるコツがあります。それは「誘い水トーク」です。具体的にはこちらの質問に対して相手が考えやすくなるヒントを与えるトークです。

そのためには、大きな質問をしたあとに、いくつか例をあげると効果的だと言えるでしょう。例えば、なぜ会社を作ったのか?という質問をした後で、自分が会社を作った理由を話します。そしてその次に他の人の例、そして有名人の例をあげます。最後にもう一度なぜ会社を作ったのか?を聞くのです。ここでのポイントは、3つあります。

①考えるヒントを与える事
②考える時間の猶予を与えている事
③正しい答えを言わなければならないという思い込みの解除

誘い水トークを予め用意するときには、3つの異なる切り口を用意すると効果的です。1つ目は自分自身の例、2つ目は他人の事例、3つ目は誰でも知っている有名人の例。この3つを用意しておくと、イメージが立体化して思考のふり幅が広がります。

アドバイスをせずに顧客に自ら気付かせる「テープ逆回し作戦」

クライアントのお困りごとについて、クライアント自身よりも先に突き止めた場合、つい先に応えを言いたくなることはあるはずです。そんな時に使用できるのが、テープ逆回し作戦です。具体的には、自分がいち早く見つけた答えから逆算して質問を投げかけるというものです。

自分が結論に至るまでに自分に無意識のうちに問いかけた質問を思い出して、相手にも同じ質問をしてあげることで、答えに導いてあげます。初期投資の改修に時間がかかり過ぎるから、それはやめたほうがいいという結論に至った場合であれば、以下の順番で質問をします。

①この事業の初期投資はいくらだろうか?
②この事業の寿命は何年だろうか?
③初期投資の回収にかかる年数は長くて何年、短くて何年だろうか?
④事業の予想寿命と比べて、その初期投資の回収にかかる時間は好ましいものだろうか?

このような質問を自分に説いた結果、やめたほうが良いという結論に至ったのだとすれば、自分の中だけで消化せずに相手にそのままの時系列でなげかければ良いのです。

まとめ

本書を選定した理由は、意識や気持ち面は変化してきたものの、コンサルワークや営業スキルがついてきていない点を解決するためです。本書は、コンサルワークの具体的なスキルやトーク術を記載されていたため、マインドセット術ではないため、そのスキルが吸収できればと考えました。

今回印象に残ったのは3つです。①コンサルタントとしてのスタンスや立ち位置を設定すること。②相手の質問の本質をつかむこと。③相手の立場に立って答えやすい質問をすること。

これまで特に前段なく、営業トークや打ち合わせを始めるケースが多かったので、まず自分がどういうスタンスでコンサルティングするか、前提をつくっておく必要があると感じました。

また、相手の質問に足して、そのまま答えていることも多かったので、なぜその質問をするかを常に考えていきます。そして、クライアントのことを思う気持ちは生まれましたが、まだ質問はクライアントファーストではないため、できるだけ自然に答えてもらえる方法を模索していきます。


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