【考察⑧】~タイブレーク・その2(地区予選と県大会の考察)~
今春の埼玉県大会は、GW中の5日(日)に花咲徳栄高の優勝で幕を閉じました。
以前の投稿【指導観①】〜高校野球における“配球”の指導〜でも紹介したとおり、今春から新基準バット(従来のバットよりも低反発)が完全に移行されました。
いわゆる“飛ばないバット”の影響で、ロースコアの試合も増え、延長戦・タイブレークの試合数も増えることが予想できます。
前回の投稿【考察⑧】〜タイブレーク・その1〜でも紹介しましたが、実際に今春のセンバツでは、延長戦・タイブレークが4試合ありました。
そして、先攻チームの勝利が1試合のみでした。
今回の投稿では、埼玉県の春季大会を終えて、埼玉県の春季大会の結果から、延長戦・タイブレークになった試合の結果を見て、簡単な考察をしてみようと思います。
今春の結果
まずは、埼玉県の春季大会の延長戦・タイブレークの結果を確認しましょう。
今春の地区予選では、131チームが参加して42チームが県大会の出場権を獲得しました。
(秋季県大会ベスト8校は地区大会免除)
地区予選は、計89試合行われました。
そして、県大会は、50チームが参加して49試合が行われました。
では、延長戦・タイブレークになった試合が何試合あったかですが、地区予選で7試合、県大会で5試合ありました。
割合で表すと、
になります。
約10試合に1回程度の確率で発生したということがわかります。
昨春との比較
では、次の疑問として、この値が多いのか?ということです。
旧基準のバットが使用され、延長10回からタイブレークが導入された昨春の大会結果と比較してみましょう。
地区予選では、延長戦・タイブレークは1試合のみ(先攻チーム勝利)でした。
(※参加チーム・試合数には若干の差があります)
県大会では、延長戦・タイブレークは4試合(すべて後攻チーム勝利)でした。
(※参加チーム・試合数は今春と同様です)
県大会での発生件数では昨春と大差がありませんが、今春では地区予選での発生件数が大幅に増え、地区予選・県大会を合わせてみても大きく増加したということがわかります。
昨春と今春の大会結果をただ単純に比べてみただけですので、サンプル数が少なく、このデータがすべて正しいとは一概には言えませんが、単純にこの結果だけを見ると、新基準バットの導入によって拮抗する試合が増えて延長戦・タイブレークに突入する可能性が高まったといえそうです。
先攻・後攻の違い
では、次に延長戦・タイブレークの回のイニングスコアを見てみます。
まずは、延長戦・タイブレークが発生した試合のイニングスコアを、全試合がわかる形で載せます。
画像だらけになりますが、まずはご覧ください。
《地区予選》
延長戦・タイブレーク 計7試合
《県大会》
延長戦・タイブレーク 計5試合
まずは地区予選から見てみます。
先攻チームの勝利が3試合、後攻チームの勝利が4試合という結果でした。
先攻チームが勝利した3試合では、いずれも2点・4点と10回表に複数得点し、裏を0点に防いでいます。
また、後攻チームが勝利した4試合では、先攻チームが0点・1点と複数得点を奪えず、後攻チームの攻撃でサヨナラ勝ちを収めています。
新基準バットの影響かどうかはここではわかりませんが、表の攻撃でも裏の攻撃でも点をなかなか獲れないことが見てとれます。
地区予選では、【2点】というのが目安・基準になるのかもしれません。
次に、県大会です。
先攻チームの勝利が3試合、後攻チームの勝利が2試合という結果でした。
サンプル数が少ないので何ともいえないですが、やはり【2点】をいかに奪うかが勝敗を大きく左右しそうだということは、読んでくださっている皆様でも感じていただけるのではないでしょうか。
さいごに
今回は、埼玉県の春季大会の結果を見て、簡単に考察しました。
何度も言いますが、新基準バットへの変わり目の大会であり、サンプル数が少ないので、明確な傾向はまだ示すことは難しいと思います。
ただ今大会だけで見ると、前回の投稿でも述べたように、先攻有利か後攻有利かの断定は難しそうです。
実際のところ、試合をするときに最初からタイブレークになることを見越して先攻・後攻を決めることはないと思いますし、先攻・後攻を決めるのも主将のジャンケン(運)です。
結論になっていませんが、タイブレークになってしまった際には、先攻・後攻に合わせた戦い方に順応するしかないと思います。
そのチームのスタイル(攻撃型or守備型)しだいで戦い方が変わってくるものだと考えます。
ただ、前回の投稿でも述べた
という認識を持つことは正しいのではないか、と感じます。
今大会は、すべての延長戦・タイブレークの試合を実際に試合会場で観たわけではありませんし、試合の詳細な流れやスコアもわからないので、申し訳ありませんが、考察もこの程度が限界です。
今回の考察は、正直“机上の空論”なのかもしれません。
今後これから先、サンプル数も増えて一定の傾向が見られるようになるかと思いますし、実際の試合を観戦するなかで“肌感覚”で感じてくるものもあるかと思います。
今回の投稿のなかで触れた点などに着目しつつ、また夏の選手権大会以降も観察していこうと思います。
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