【指導観⑤】~イメージトレーニング(審判カメラ)~
タイトルにあるように、私の“指導観”と言ったら偉そうですが、今回の投稿では「イメージトレーニング」に関する私の考えを簡単にまとめたいと思います。
イメージトレーニング。
皆さんは“イメトレ”と略し、「イメトレした!」、「イメトレは大事!」と日頃からよく使うのではないでしょうか。
イメージトレーニングはスポーツの世界でも大切なメンタルトレーニングの手法の一つであり、競技パフォーマンスに大きな影響を与え、非常に効果が表れるものです。
まず、以前【予祝】~未来日記・その1~や【実践報告】~ミラクルタイムマシン~の投稿で解説しましたが、なぜイメージトレーニングに効果があるのか、改めて簡単に説明します。
イメージトレーニングは、まだ現実に起こっていない未来を頭の中で(基本的には良い未来を)イメージし、あたかも現実に起こったかのように空想上で経験するトレーニングです。
なぜ現実に起こっていない未来をイメージすることがよいかというと、それは人間の脳の仕組み・機能が関係するからになります。
メンタルトレーニングの仕組みと効果
人間の脳は、仕組み・機能として、“イメージしたもの”と“現実の世界”を区別できません。
脳がイメージと現実を区別できないということは、脳は“イメージがリアルな現実で起きている”ことだと錯覚しているということになります。
ですが、実際には、“イメージしたもの”は“現実の世界”では起きていない、まったく違うものです。
そのため、脳はその“イメージ”と“現実世界”の差にギャップを感じ、そのギャップを埋めようとして、“現実の世界”を“イメージしたもの”と同じにしようとします。
“イメージしたことを現実世界で起こそうとする”ということです。
これを「脳のフィードバック制御」といいます。
例えば「優勝する!」とイメージしたら、自分自身が「優勝しよう」と強い意識をもって行動しなくても、現実世界とのギャップを感じている脳が勝手に“優勝する”ように誘導し、自然とそうなるように行動を促してくれるということです。
そのため、イメージトレーニングでイメージしたことが、脳に無意識のうちにそうなるように誘導されることで、(相手がいるスポーツの結果だと本当にその通りになるとは断言できませんが)現実世界で本当に起きる可能性が高まります。
これが、イメージトレーニングの効果です。
注意点・ポイント
イメージトレーニングの仕組みと効果を理解すると、注意点が出てきます。
スポーツの結果や競技パフォーマンスの発揮を目的に行うとすれば、必ず“最高の良い結果”や“完璧な素晴らしいパフォーマンス”というように“プラス”の内容をイメージすることが大切になります。
“マイナス”のイメージをすると、“マイナス”な結果を脳が引き寄せてしまうことになります。
それに、イメージトレーニングを行う際には、“五感”をフル活用してイメージすることがポイントになります。
例えば、「県大会の決勝戦に1点リードで9回裏を守り抜き甲子園出場を掴む」ことをイメージするとしたら、
①視覚
…(埼玉県だと)県営大宮球場内から見た景色(相手選手の顔、ユニフォーム、スタンドの応援、両ベンチのようす)
②聴覚
…味方選手の守備の声掛け、スタンドの応援・声援、打球音など
③触覚
…ボールや自分のグローブの感触、グラウンドを踏みしめている感触、打球を捕ったときの感触など
④味覚
…暑い中のどが乾いている自分の口
⑤嗅覚
…グラウンドの土のにおい、汗のにおい
までイメージするということです。
これは、イメージをより現実世界のようすに近づけてリアル感を出すためです。
言い換えれば、より脳をだますためです。笑
イメージトレーニングの手法
イメージトレーニングを活用したワークは、近年有名になってきたものとしたら「予祝」、私が実際に実践したものですと「ミラクルタイムマシン」、「未来日記」(他の例として未来の新聞の一面記事作りや未来の自分への手紙などがあります/予祝トレーニングの1つ)などといったものがあります。
個人でやる分には、ワークの手法を取り入れなくても、自身でイメージするだけで可能です。
より鮮明なイメージトレーニングを
さて、やっと指導の話に移ります。
もちろん、チームのミーティングの際にワークに取り組めればよいですが、日頃から頻繁にミーティングを実施してメンタルトレーニングを繰り返していく時間はなかなか確保できません。
このイメージトレーニングを、高校生が個人で実施でき、しかも各個人が鮮明にイメージできる方法はないか、と考えました。
やはり映像を使って視覚的にイメージできるのが良いと思いますので、最近ではいくらでもYoutubeなどで映像を観れるため、県大会を優勝したテレビ放送のシーンなどを観て優勝達成をイメージしたり、甲子園大会のファインプレー集やホームラン集といった映像を観て自身の高いパフォーマンスをイメージしたりするのが良いと思います。
ですが、そういった映像は“自分自身がプレーしている”かのように入り込んで観れればよいですが、どちらかというと少し“客観的に俯瞰して観てる”ような感覚になってしまうかもしれません。
それで思いついたのが、“審判カメラ”映像の活用です。
審判目線のカメラの映像は、選手目線の映像とかなり近いです。
自分がプレーヤーとしてグラウンドから見ている景色とほぼ同じような景色を観ることができます。
高校野球で審判カメラは導入されていませんので、プロ野球の映像を使ってイメージするしかありませんが、“プレーヤー目線”でのイメージをするには最適だと思います。
ぜひYoutubeなどの動画配信サイト・SNSなどをうまく活用して、そういった動画を探し、イメージトレーニングに活用してみてください。
もちろん、打者のイメージでならば、良い打球を打っているシーンを活用して。
参考までに1つ動画を紹介します。
投手なら、普段のテレビ中継の映像でイメージできますかね。
あと最後に、このYouTube動画や審判カメラの活用とともに、以前【考察①】〜“連続安打”はなぜ起きるのか?〜で紹介した内容も、指導の中で活用していければよいかな、と思っています。
お金と時間の問題もありますが、一番のイメージトレーニングは、関西遠征を行い、その中で(試合に出場している選手になったイメージをしながらの)“生”の甲子園大会の観戦を行うことだと思います。
これは極論です。笑
うまくまとまりませんが、ぜひこういった映像も活用して、高校球児たちに日頃から“より鮮明な”イメージトレーニングに取り組んでもらえるように指導していきたいし、全国の高校球児たちにも取り入れてもらえたら嬉しく思います。
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