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ヴァイオリンを始める + 手始めに冒涜的な改造をした話

⚠はじめに

この記事はヴァイオリン初心者かつギター改造大好きマンが悪意2割で書いた備忘録です。
残り8割のうち2割は『ネットにこういう記事が落ちてたら1000人に1人ぐらいは助かるであろう』という善意で、残り6割は自己顕示欲です。

ヴァイオリン愛にあふれる方の閲覧はあまりおすすめできませんのでご容赦ください。

イントロ

ヴァイオリンを始めました。

1966年製のヴァイオリン(4/4サイズ)が4,400円(送料+2,000円)で売ってたので思わず手を付けてしまった。

1966年と言えばエレキギターはまだまだ黄金期、ヴィンテージと呼ばれる個体が生産されていた頃です。ガチ余談ですが僕の母親の生まれ年でもあります。

ずっと興味のあった楽器なので、いつか弾ければなと思っていたのですが、国産でもこんな値段で買えちゃうんだなあ。

ちなみに買って半月ほど経とうとしているが、全然弾ける兆しがない。

かくも違うか、ギターとヴァイオリン

届いて早々、チューニングしたら弦がぶちーんと切れたので、Amazonで物色すると、

えっ 高くない???

ギター弦ですら円安+値上げで1,000円超えるようになってヒィヒィ言ってるのに、4本しかない上に短いヴァイオリン弦が、2,000円超えるの???

やはりヴァイオリンはブルジョワジーの楽器……わしら庶民が手を出して良いシロモノではなかったんじゃ……。

結局、中国産のよくわからんメーカーの安い弦と、ダダリオの松脂(弓に塗るやつ。これがないとちゃんと音が出ない。これも地味に高かった…)を買うことに。

で、弦交換をしたんですが、

えっ??? ペグって、……この円錐がペグなの???
歯車もないのにどうやって固定を……えっ、押し込む???
いや押し込んでも張力で戻るんだが……

ギターだとどんな安物であってもチューナーのメーターを数セント単位で合わせるのにさほど苦労はしないわけですが、ヴァイオリンは違う!(ギュッ)

ペグを0.1mm動かそうにも絶妙な力加減を要求されるし、0.1mm動かせたとしてもダイナミックにチューニングが変わる。もしくは動かした分戻る。

ぼく「ちょっと高くチューニングし過ぎたしチューニング緩めるか」
ペグ「ギュイーンww」(3オクターブぐらい緩む)

ぼく「ちょっと低いな…チューニング上げよ」
ペグ「ガインッw」(上げた分以上に緩んで2音ぐらい下がる)

なんだァ?てめェ……
◆ 石橋、キレた!!

こんな 野蛮で原始的 趣のある仕様だとは思いもよらなかった。

注:おそらく経年で穴やペグの摩耗が生じている影響もあります。

ちなみにこういうペグをフリクションペグと呼ぶらしい。フリクションボールペンのフリクション(摩擦)だね。
対してギターとかに使われるマシンヘッドはギアペグと呼ばれるらしいです。

このフリクションペグ、ちょっとした衝撃ですぐ緩むので、軽くヘッドをぶつけただけで勢いよくチューニングが狂う。

推測だけどこれ照明が当たるタイプのコンサートとか一生チューニングする羽目になるのでは……?

いやこれ技術革新が必要なやつでは??? そういうソリューション絶対にあるよね??? → アルヨー↓

……。

……固定とかしないの……?
これも結局衝撃が加わったら勢いよく緩むことに変わりはないのでは……

説明しよう!エレキギター脳のイシバシにとっては、ペグを固定しないなどあってはならないことなのだ!(そんなことはない)

使用するパーツ

そんなこんなで半ギレで検討した結果これを買うことに。

GROVER ( グローバー ) / H97N 送料無料 | サウンドハウス

グローバーのスロテッドヘッドギター用のペグです。

手元にScharllerのスロテッドヘッド用もあったんだけど、それだとペグポストの弦挿入口が上に来すぎて使えませんでした。

ボタンが木製で可愛いから使いたかったんだけどなー。

対してグローバーは神田商会のサイトに載ってるサイズを見た感じ、ペグポストの穴がいい感じの位置に来るだろうことを確認できたので即ポチした次第。

他にちょっと興味あるのはバンジョーペグだけど、たぶんポスト部分がうまいこと行かないのではと思いスルー。
X(旧ツイッター)で伺った話だとウクレレペグも使用例があるらしい。
ウクレレなら4個セットだから余りも出ないし安いしありかもしれない。

取り付けた。

いきなり完成画像ですみません……。途中経過を全然撮ってなかった。
普段からブログ書かないと記録残す習慣がつかなくてだめですね……。

結果から言うと、大成功でした。
チューニングもしやすくなったし、見た目もエレガントな気がする。

実際コントラバスなんかは基本ギアペグがついているので、ヴァイオリンでもそんなに違和感はないですね。

音についてはさほど変化は感じませんでした。
強いて言うなら、ヘッドに金属製の重りがついたことで制振作用が働いたせいか、ほんの僅かながら音量が下がったような……?いやそのままか……?ぐらいのわずかかつプラシーボな感想しかいだきませんでした。

ちなみになんでヴァイオリンはフリクションペグがスタンダードなの?と思って調べたんですが、どうもヘッドの重量がかさむことを嫌ったみたいですね。

取り付けた感じ、ガッツリ重量が増えた印象はないですが、なんせ顎と肩で支える楽器なのでギター以上に重量にはシビアにならないといけないということでしょう。

ギアペグのデメリットとフリクションペグのメリットを力説するサイトも見つけたけど、ちょっと何言ってるか分かんない感じでした。

ちな、スタジオミュージシャンとかで同じような改造をしているヒトもやっぱりいるらしいです。これもX(旧Twitter)づての情報ですが……。

ヴァイオリンのヘッドとペグについて

改造前のいい感じの写真が残っていなかったのでぱくたそから借りてきました。

上の画像、G弦ペグとD弦ペグ・・・ベースで言うところの4弦ペグと3弦ペグの隣に小さな丸い物体が見えるでしょうか。
これは対向にあるE弦(1弦)ペグとA弦ペグ(2弦)の先端部分です。

ねじ込まれた円錐状の棒を入口の穴と出口の穴の2つで支えることでペグとして機能させています。(たぶん)

取り付け方法について

さて、グローバーのペグ。ややこしいのでマシンヘッドと書きましょうか。
当然ながらポン付けは出来ません。

というのも、このマシンヘッドを自然な角度で取り付けた場合、台座部分が隣にある穴を一部覆うような形になってしまいます。

ヴァイオリンのヘッドは小さいので、マシンヘッドを取り付けた場合、マシンヘッドのポストの先端部がだいたい5mmは飛び出してきます。

そこに少しでもマシンヘッドの台座がかぶると、対向側のポストが出てこれなくなってしまい、取り付けができなくなってしまいます。

取り付け後の写真をもう一度見てみましょう。

赤丸の部分が対向から来ているペグポストです。
結構ガッツリ飛び出していますよね。

『あれ、全然問題なく取り付けできてるじゃん』と思いましたか?

そうです。

ヤスリで削りました(死)

ちょっと分かりづらいと思うので一つずつ見ていきましょう。

G弦ペグ

左に加工前のペグを置いてみました。

ペグ本体の右上部に注目してほしいのですが、未加工のものだとすこし尖っている部分があり左右対称のデザインになっています。
一方で、加工済みのものは右上部の尖りがなくなっていて、代わりに対向ペグのポストが出ています。

D弦ペグ

撮影角度をミスってちょっとわかりづらいですが、今度はペグ本体左上のツノの部分を削っています。

このペグが一番削る量が多くて苦労しましたが、ある程度の部分まではハンドニブラーでカットしちゃいました。

アンプのコンパネ加工のために買った工具ですが、なにげに便利です。
ただ、これ使ったあとはめっちゃ手が痛いです。


E弦ペグ

こちらも左上を削っています。雑に削られてガタついている部分です。
横着して取り付けてから削ったので、ネジ頭ごと削られています(笑)

そして下に見えるG弦ペグの対向穴ですが、マシンヘッドを加工する前の試行錯誤段階で穴を拡張してしまいました……。
ここだけは大後悔大反省です。

A弦ペグ

ここだけはノー加工です。下のE弦ペグともうまいこと干渉してません。
全部こうであってほしかった。

最後に上から取った写真を見て終わりましょう。


この記事を参考にする方へ

悪いことは言わん、やめとけ。

  • 大抵の人はフリクションペグを受け入れてなんとかやっている

  • 重量の変化は否めないため、演奏性に影響する可能性がある。

  • この加工をすることで異端とみなされ、周りの演奏者ばかりか楽器屋さん、リペアショップから総スカンを食らう可能性がある

  • 少なくともこの加工をしたヴァイオリンはリペアショップにまともに取り合ってもらえなくなる可能性が高い

  • 加工がめちゃくちゃだるい

  • 不可逆の改造なので万が一やらかした時どうしようもなくなる

  • そもそもこんな加工しなくてもリンクを貼ったようなウィットナーのギアペグでだいたいなんとかなる(たぶん)

  • ウィットナーは高いけど、この記事のような改造を行おうとした場合、工具を揃えるお金とペグを買うお金でたぶんどっこいどっこいになる


が、上記をこんな風に読み替えられる人には強くおすすめします。ぜひお試しください。責任は持ちません。

  • フリクションペグマジ許せねェ

  • 多少の重量変化は気にしねェ

  • ヴァイオリンやるやつなんざまわりにいねェ そもそも友達がいねェ あと外に出ねェから楽器屋も行かねェ

  • てめェの楽器の面倒は全ててめェで見る

  • DIYだいすき

  • 俺は失敗しねェ

  • ウィットナーみたいに中途半端なギアペグはギアペグとして認めねェ

  • 金はねェけど工具はいくらでもある

最後に

このヴァイオリンについてのポスト(旧ツイート)が、X(旧Twitter)で思わぬ小バズりをしてしまい、この記事をもっと早く書いておけばよかったと現在進行系で悔やんでいる今日このごろですが、そのおかげで記事執筆前に色々な情報をいただくことが出来ました。

意外と好意的な反応を多くいただけたので、この改造がスタンダードになり、やがては標準装備されるようになる時代も遠くはないと信じて、この記事を終わります。


最後に宣伝です。

現状ヴァイオリンは全く弾けませんが、ギターと歌はできるので曲を作ってアップしています。

よかったら聴いていただけたら嬉しいです!

(イシバシ)

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