トム・クランシーについて

noteにて、私がどのような作品に触れてきたかについて執筆する第二弾になります。第二弾は、トム・クランシー氏になります。


1.作家・作品紹介

1984年に「レッド・オクトーバーを追え」でデビューし、"テクノスリラー"というジャンルを確立したとされる人物で、スパイ小説などを執筆していました(「レッド・オクトーバーを追え」に関しては、当時の米国の大統領だったロナルド・レーガン大統領が絶賛し、トム・クランシー氏はホワイトハウスに招かれたそうです)。書籍としては、アメリカの中央情報局(CIA)のアナリストを主人公とした『ジャック・ライアン』シリーズの他に、「トム・クランシーの原潜解剖」・「素顔のスペシャル・フォース」などの米軍に関する著作も執筆していました。なお、2013年に同氏が亡くなって以降の『ジャック・ライアン』シリーズは、シリーズの共作者で、「暗殺者グレイマン」や「レッド・メタル作戦発動」の著者であるマーク・グリーニー氏に引き継がれる形で続いています。書籍以外では、小説が映画化(「レッド・オクトーバーを追え」を映画化した「レッド・オクトーバーを追え!」や「愛国者のゲーム」を映画化した「パトリオット・ゲーム」など)された他、ゲーム制作も手がけており、"Tom Clancy's"の名前を冠したゲームがUbisoft社より発売されています。また、2018年にはジャック・ライアンを主人公とするドラマの新作がAmazonビデオにてドラマ化されるなど、マルチメディアに展開し、なおかつコンテンツとして非常に息の長い作品だと思います。

2.作品の魅力

小説としてみると、古めの描写が目立ちます(具体的には、冷戦終結前に書かれた作品ではソ連が出てくる所は分かりやすい部分です)が、その辺りは作品が発表された年代を考えると仕方ないと思います。ただし、キャラクター描写などは現在の小説と比較しても遜色がないと感じます。「レッド・オクトーバーを追え」の登場人物を例に挙げると、主人公であるジャック・ライアンもそうですが、ジェームズ・グリーア(CIAの情報担当の副長官で、ライアンの上司に当たる人物)の上司としての書かれ方が素晴らしいですし、マルコ・ラミウス(レッド・オクトーバーの艦長で、新型の潜水艦である同艦を手土産に子飼いの士官と共にアメリカに亡命します)の経歴や、なぜ亡命するに至ったかと言った部分の人物描写の掘り下げ方も丁寧で、"このようなキャラクターの書き方をしたい"と思わせる魅力があります。また、同作は群像劇的な方式で書かれており、書き方としても参考になります。第一弾で取り上げたアーサー・C・クラーク氏と同じように、今では古い作品と感じる作品が多いのですが、普遍的なテーマを取り上げていれば古さは感じにくいと思いますし、同じテーマを取り上げた作品であれば、「○○は△△の影響を受けているのかな?」といった見方が出来ます。また、キャラクターの描写などは古さがそこまで気にならないと思いますし、「自分が作者であればこのキャラクターをどう書くか?」という視点で考えられるのは訓練として良いと思います)。

3.「分析する」ということ

また、情報分析に関しても、主観と客観を分けて分析することに関して言及がある作品があり、個人的な感触としても、結構注意しないと主観と客観は混同してしまう危険性があるので、意識することを分けて分析する癖がつくようになりました。また、信頼するに足る裏付けの取れたデータを元に分析する、ということの重要性を感じます。関連するものとして、メディア・リテラシーなどの"リテラシー"に関して考えるきっかけにもなりました。また、諜報や安全保障などについても興味をもつきっかけとなり、軍事評論家だった、故・江畑謙介氏などの書籍を読むなどしました。昨今テック系のニュースでフェイクニュースの問題や、米中の国家的な対立がテック系に与える影響を見ていると、読んでいて良かったと感じます。

(2022年4月5日追記):
本題からは少し外れますが、2022年にロシアがウクライナが侵攻しました。これに関連して、情報を追っていると、両国がTwitterを含めた様々なチャンネルを通じて情報戦を行っていることが分かるのですが、流れてくる様々な情報の真偽を見極める一助となったと感じます。SNSに関しては、「140字の戦争 SNSが戦場を変えた」("6.参考資料"にこの書籍へのリンクを掲載しておきます)という書籍にて、2014年のロシアのウクライナ侵攻を含めたいくつかの事例ついて触れており(2014年の時と2022年の現時点では状況が異なっており、その辺りを踏まえて状況を比較しながら読むという読み方もできると思います)。TwitterなどのSNSも戦場になっているという点で読んでおいても損のない本だと思います。

4.ミリタリー系への興味の拡大

それ以外には、ミリタリー系のジャンルの作品(一例を挙げると、「黒騎士物語」や「Cat Shit One」、ミヒャエル・ビットマンの半生を取り上げた「鋼鉄の死神」の小林源文先生の作品など。余談ですが、先日小林源文先生の本がKindleで販売されていることに気がつきました。本当に良い時代になったものです)を読む大きな契機となった作品であると思います。
私が受けた影響の範囲などを含めて総合的に見ると、第一段で取り上げたアーサー・C・クラーク氏より影響を受けた範囲は大きいかもしれません。

5.作品紹介

初期の小説に関しては、絶版になっていると思われますが、翻訳前の英語で書かれたものはKindleで読むことが出来ます。

The Hunt for Red October (Jack Ryan Universe Book 1) (English Edition)(邦題:レッド・オクトーバーを追え)
https://www.amazon.co.jp/Hunt-October-Jack-Novel-English-ebook/dp/B001PSEPLG/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン (字幕版)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC%EF%BC%8FCIA%E5%88%86%E6%9E%90%E5%AE%98-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3-%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%B31-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88/dp/B07GGS9VBP

Amazonの小林源文先生のページ
https://www.amazon.co.jp/%25E5%25B0%258F%25E6%259E%2597%25E6%25BA%2590%25E6%2596%2587/e/B003UVZXWG?ref=sr_ntt_srch_lnk_2&qid=1644133638&sr=1-2

6.参考資料

トム・クランシー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%BB%E3
レッド・オクトーバーを追え
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%92%E8%BF%BD%E3%81%88%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC
テクノスリラー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%83%BC
スパイ小説
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E5%B0%8F%E8%AA%AC#%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD


140字の戦争 SNSが戦場を変えた
https://www.amazon.co.jp/dp/B07S9BQ19Z/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1


7.追記(2022年8月2日)

タイトルを変更しました。

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