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『ゲーム作りの発想法と企画書の作り方』を読んで

■はじめに

 ※画像が「発送法」となっていますが、正しくは「発想法」です。申し訳ございません。


 こんにちは、花倉みだれです。
 中学・高校の頃は読んだ本や観た映画、プレイしたゲームの感想は必ずブログに書いていました。そこまでしてようやく「自分が体験した」実感が得られるみたいなところはなくはないです。

 最近はそこまで細かくはやっていないですが、染み付いた習性でもありなるべく書き残したいなという気持ちでいます。

 今回は先日ゲーム作りの発想法と企画書の作り方

 という本を読んだのでそれについてあっさりめに記憶に残ったこと等を書き残していけたなと思っています。

 端的に言えば、すごくforme感があって面白かったです。

■formeというからには素性を語らねば

 「for me」「not for me」は昨今コンテンツについて言及する際に外さない言い方ではあるとは思いますが、その「me」がどんなやつなのかわからないとコンテンツレビューとしては参考力が落ちてしまいます。

 私は個人としてはミニゲームを2本AndroidやPC(Steam等)向けにリリースしています。

 「ゲーム業界の人」としてのキャリアは一貫しておらず、半年ほど前にどうにかこうにかもがきまくって復帰できたばかりというような状況です。

 「企画を0→1で立ててリリースまで運ぶ」経験を曲がりなりにも個人では達成しているものの、企業的・法人的な面では正直あまり解像度高く見えていない部分があることに自覚的です

 他のゲーム会社における「企画」「プランナー」の職能の範疇はどんな感じなのか? 何を他のパートナーに期待して、周りからは何を期待されているのか? 等々、ちょっとボヤケていることの1つです。

 「バラバラ」なのはわかるものの具体例というのは案外まとまっては見えてきません。 

 何を期待されているのかというのは職種ごとに知りたかったりはしますよね。
 そういう「色々な企画の人の体験談を聞きたいと思っている私」が今回の「for me」における「me」の正体です。

 つまり、この本は「色々な企画の人の体験談を聞ける」気分になれる本なわけです。これで9分9厘言いたいことは言いました。

■読み物として面白い。LT会のような感覚

 全部で250P超の本ではありますが、7人の企画経験者の人たちでページを分け合っていて、それぞれが端的に自分の体験談を踏まえノウハウを次々に語っていく……という構成になっています。

 大枠としてはタイトル通り「発想法と企画書の作り方」で共通していて、だからこそそれぞれの個性や所属する環境の違いが浮かび上がってくる感じで楽しいですね。

 一人10分程度のスライド付きトークを順番に回していくいわゆるライトニングトークを各社の企画の人が集まってやっているのを聞いているかのような感覚で読み進めていけます。

 実際の企画書を添付している方も多いので「こういう感じでいいのかもしれない」「こうすればよかったのか」みたいな気付きを得るフックにもなるかなと思います。

 それぞれ偉い人向けに見せるか、自身が受け取る側だった時にどう判断するか、という文脈の違いこそあれ「企画書に"特定の既存のゲームのような"」といった記載や資料を添付していることに対するネガポジが同じ書籍内に同居していたりもします。こういうのも色々な人が同じテーマで書いているからこその面白みかなと思いました。

 ゲームとしてもAAAやSP向けなど今目立つタイトルに偏らない感じ(FC、PS、アダルトゲームなど。SP向け企画について喋っている人もいます)がバラエティに飛んでいて良かったですね。

■どうしてfor me なのか

 基本的に普通に読み物としても面白くはあるのですが
「ぼんやりとだけ業界(ないし企画)のことが見えている人」が一番楽しめる本だと思います。

 こういうのはよくあることなのか、これはそうではないのか……みたいな実感だったり共感だったりを持つ過程が楽しい本かなと思います。

 逆に、あまりに何も見えてない場合……ノウハウとしては本の性質上、他のハウツー本と比較してあまり深堀りはされていない(7人で分け合っているので)印象もあり、何を目的として見るといいのかが難しいのかなと思いました。業界研究とかにはいいのかもしれませんが、それはそれで世の「プランナー」の募集が全てこの執筆者たちのお仕事経験談のレイヤーだと思うと厳しい現実が待ってる気もするので難しいところですね……。

 色々知ってる人にとっては、もう知ってるけど? みたいな話の連続な気もするので、それはそれでどう楽しむのかは難しそうだな、という印象でした。

 そんなわけで、個人的にはとても面白かったのですが「for me」だった……! と言っているわけです。

 本当に、自分のために出してくれたのではないかというくらい、個人的に救われてはいます。
 偶然手に取って買ってよかったなと思います。


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