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転職先として考えるタクシードライバー ~注意点等①~

■はじめに

 こんにちは。花倉みだれです。
 就活的にも職歴にも汚点でしかなく、得るものが何もなかったと言ってもよく、できればトリミングする方向で詐称したくなる私の職務経歴にタクシードライバーというものがあります。
 コレを少しでも意味のあるものへと昇華したく、アウトプットできるものをしていこうというところです。
 今回は「そのものズバリ転職先として考える」についてです。
 私個人は先述の通りこの選択を猛烈に後悔しているので言いたいことは尽きません。なので①としています。多分そのうち他にも色々書きたくなることでしょう……。


■タクシードライバーの就職難易度について

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 私はコロナの影響もあったりなかったりで今年度入って失職してからずっと仕事を探していますが、同じような境遇の方もいるかと思います。
 影響はない、という方や業界もあるかとは思うのですが、やはり全体的には厳しいものがあるというのが実情でしょう。

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厚労省のホームページより。選んでいるつもりがなくても見つかりにくい状況は嘘ではないのだな……とわかります。

 そんな状況の中「中継ぎ」的な仕事としてタクシードライバーが魅力あるものに見えるところもあるかと思います。
 その難易度については、猛烈に低いです。普通免許を3年以上前に取得している方であれば老若男女受からないということはほぼないでしょう。求人も現状でもたくさんあります。
 普通免許取得後3年以上経過と言っているのは、タクシー営業に必要な普通自動車2種免許の取得に必要な条件が取得後3年経過だからです。3年間一切公道に出ていないペーパードライバーでも問題なく取得可能です。

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現時点(2020/8/17)の「リクナビNEXT」で「タクシー」と検索した求人数。重複する企業もあるかと思いますが少なくないことは間違いないかと思います。

 理由はなんと言っても各営業所が車を持て余していることが原因です。賃金が歩合制である以上、現場の人間は極端な話自分以外のドライバーは滅んでくれと思うことはあっても、同業者が増えることを喜ぶ理由が全くありません。一方で、営業所としてはメンテナンス費用だけかさみ車庫で眠る車の存在は非常に面白くありません。誰がやってもそうそう成果に差がでるものでもなく、賃金が歩合制であることから売上的に下振れてしまう人を採っても他業種と比較すれば大したリスクになりません。そこで、とにかく車を転がせる人を採って道に出して少しでも売上を出したいと考えます。
 なので、他業種に関しては箸にも棒にもかからないような雑魚でも絶対受かります。私が言うのだから間違いありません(悲しいですが……)。
 ハロワの人はよく、介護か陸運か保育の仕事をやれと言いますが、陸運のハードルが低いのは確かに間違いありません。トラックやバスなどの大型と比較して普通自動車の難易度は低いので、そういう意味では確かにタクシーは悪くないようにも見えますね……。

■求人の給料に関する罠(最低補償)

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 給料が歩合制、と再三申し上げてきましたが、そこに対する抵抗感対策なのか、多くの企業で「入社後xヶ月は最低保障nn万円」という制度を掲げています。

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リクナビNEXTにあった求人より。どこの企業かとは言いませんが、こんな感じでだいたいどこの会社も「最低保障給」が設定されています。

 私が入った会社も上記のような求人票で募集をかけていました。
 ですが、これには書かれていない罠があります。私が調べた限りほぼ全ての企業でそのような運用のようですが、そうでないところももしかしたら存在するかもしれないので事前によく確認してください。
 罠とはずばり「月間売上n万円以上の場合、最低保障がある」という条件です。契約書とかに※とかで小さく書かれていたりします(笑)
 私は目に入った瞬間問いただしましたが、言い分としては「普通に営業していれば届く水準だから、サボられないような額として設定している」と言われました。業界初体験だとその言い分の真偽の判断は非常に難しいです。私は信じてしまいました。
 もうお察しのことかと思いますが、この「月間売上n万円以上」の基準は結構厳しいノルマとして設定されています。「一切サボらず一ヶ月まるまる休まず車を動かした」では届きません。特に現在はコロナの影響で絶対に売上は昨年の水準に届いていないはずです。夜の街がにぎやかで終電逃してくれる人が出れば出るほど儲かる業界なので……。なので「中継ぎ」的に選択するとしても求人票にある最低保障や収入例などをあてにするのは絶対に避けてください。幸せになれることはありません。


●どうすれば最低保障水準に届くのか。「普通に営業していれば届く」は嘘なのか。

 乗務員ごとの月間の売上票などは社内では閲覧可能です。それを利用して、多くの乗務員がその基準を超えていることなどを見せてくるかもしれません。確かに、多くの人がその基準を超えていそうだ! だから大丈夫だ! と考えてしまいがちです。
 残念ながら、タクシードライバーの収入は概ね年功序列です。会社のファンであるような太客の方は無線を通した配車をしてくれます。彼らは概ね遠距離で迎車料金もかかるので1件として高額になりがちです。この良客の配分が、露骨にベテランドライバー優遇の傾向にあります。自分がそこまで残ることを考えればあるいはいい話かもしれませんが、その人達と同じ土俵では戦えないので、既存の乗務員と同じ水準で稼げる新人はいません。
 これが「多くのドライバーが水準に届く」理由です。
 では新人ドライバーが最低保障に届く人がいないかと言えば、いなくはありません(コロナ禍を踏まえるといないかもしれませんが……)。どうやっているかと言えば、シンプルに稼働を増やします。安全を旨とする以上、稼働時間に関しては非常に口うるさく文句を言われますがやりようはあります。

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『タクシー・ハイヤー運転手の労働時間等の改善のための基準』より

 「1乗務につき最大21時間」と「休憩を取ること」はものすごくチェックされますが、乗務以外の業務に関しては営業所としてはチェックしてきません。帰庫後の納金や洗車などをタイムカードを切った後に行う、出庫前の雑務をタイムカードを切る前に済ませるなどの工夫次第で21時間以上の「労働」はできます。
 あとはシンプルにやや荒い運転をして営業回数を増やすことなどでようやく到達可能かなと思います。
 そもそも、1乗務は18時間がベースと説明を受けるはずなので、最低保障の話はそれで届く額にするのが筋だろうと思うのですが……。1乗務ごと3時間はサビ残させる習慣をつけさせることこそがこの最低保障の目的なのかも知れませんね。そうやって21時間超労働の積み重ねとして考えると、ようやく届いた最低保障の額も、時給的に考えるとあまりいいものではなかったりします。この点もよく考えておいたほうが幸せになれそうです。

■一旦おわり

 取り急ぎ「就職難易度」「最低保障の罠」についてお話しました。
 しれっと触れた「年功序列」の話であったりとか、「勤務時間」の話であったり、あるいは2種免許取得費用の罠とか、語りきれない部分もあるのですが、ボリュームを考え一旦締めたいと思います。
 私も現在非常に苦境で、タクシードライバー経験がなければあるいは陸運業界に飛びついているかもしれません。本当にやれる仕事がない状況が続くのであれば心を殺して飛びつかざるをえないこともあるかもしれません。
 ただ、同じような状況の方がもしこの記事にたどりつくのであれば、他の選択肢が本当に全くないのか、もう一度検討してもらいたいです。面接の度に「なんでタクシーなんかやってたの?」と聞かれるタトゥーは結構重いです。心身共に真っ当な状態で働ける人はごくごく限られます。エンドユーザーの満足度が非常に低いことがある意味、乗務員の環境を示唆しているとも言えます。心身を壊してしまうと「なぜタクシーをやっていたか」以上に重い負債を抱えることになってしまいます。
 うまい話はそうそうありません。
 業界全体が真っ当になり、私から頭を下げて入れてもらうようになる未来を望みます。

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