2.5次元原初の浪漫/舞台「呪術廻戦」感想

漫画のコマを眺めるキャラクターたち。
キャラクターが漫画から飛び出して、目の前にいる。その喜びと期待を感じたのはいつぶりだろう。2.5次元化が当たり前になりすぎて、久しく忘れていた気がする。

舞台「呪術廻戦」京都姉妹校交流会・起首雷同。

前作は未観劇なので比較してどうかということは申し上げられないが、はっきりと楽しかった。
まず印象に強くのこっているのはさまざまな演出。舞台上の床は後ろ半分に傾斜がつけられており、役者が駆け上ったり飛ばされたり滑ったりと現実の屋内をうまく呪術師たちが活躍する戦場にみせていた。あの坂の上で構えたり踏ん張ったりと役者さんの努力やフィジカルの強さもびりびりと感じられた。

そして、何を言っても音が素晴らしかった。
どこか暗く、闇を湛えていて、静かな音の使い方が呪術廻戦の世界観を彩っていた。彼らが向かう先が仄暗い戦いの未来であると、どこか不気味に伝えてくるような音がカーテンコールを不穏に締めくくる。
劇中の戦闘BGMやポップなものもシンプルで芝居を邪魔せず、かと言ってただ流れているわけでもない絶妙な耳触りで世界観に入り込みやすいつくりになっているように感じた。

極め付けは最後の漫画のコマが流れるシーン。
続きものの原作がある2.5次元舞台としてこれほどふさわしい演出があるだろうか。ないでしょう。

今目の前にいる彼らはあの漫画のなかの人たちで、でも今たしかにここで演じられていたものは本物だと。
とにかく興奮した。

静かに見上げる主人公たちは別の世界の人なのに目の前にいるんだよね。
不思議すぎる。夢みたいで。

最初に2.5次元舞台を見た時のことを思い出した。あのワクワクとした期待感を、強く思い返した。
あるいは小さい頃、プリキュアや仮面ライダーのヒーローショーみたとき。あるいは着ぐるみと握手したとき。セーラームーンに会いに行こうと手を引かれたあのときが、鮮明に想起された。

客席降りの演出も、カラーボールを投げるという珍しいもので貴重な体験をした。意外と強めに投げられたボールが直打したのはいい思い出。

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