組織マネジャー支援5つのポイント

日々、組織マネジャー支援をする中で、その難易度の高さを実感します。

今回、自分なりに考えるマネジャー支援のゴール、マネジャー支援の難易度が高い要因、これまでの試行錯誤の中で重要(または響いた)と感じた5つのポイントをまとめてみました。

1.マネジャー支援のゴール
マネジャー支援のゴールは、その対象組織/チームのパフォーマンスが最大化している状態の実現です。そのために、重要なことは3つだと考えています
①メンバー/上司間、メンバー間が何でも話せる状態にある関係性や環境の構築、いわゆる『心理的安全性』の担保
②上長/周囲メンバーとの関わりによる自己成長の実現
③上長/周囲メンバーとの関わりによるモチベーションの担保

2.マネジャー支援の難易度が高い要因
①常に周囲に発生する様々な要素/事業課題と組織課題/メンバーの感情や価値観などを統合して、判断/意思決定をする必要があり、複雑性が非常に高い
②複雑性が非常に高い故に、様々な知識や技術を複合的に活用する必要があり、学習難易度が高い(ここから学べば良いという確立した知識体系が無い)
③環境変化に伴う汎用性が低い。同組織内であっても、マネジャー自身が異動になった場合や自チームのメンバーが一部入れ替わった場合、これまでのやり方が通用しないケースが多く、一度、自らの体験をスクラップ&ビルドする必要がある
④上記①〜③が故に、的確な指示をくれる師を見つけ難い
 ※マネジャーの上長自身も同じ状態にあることが多いため
⑤成果の到達点が見えづらく、また、事業貢献との直接的な因果関係も明確でないため、どうしても日々のプレイヤーとしての業務に追われ、マネジャー自身、チームマネジメントへの優先度が下がる。また、組織全体としてもマネジャー支援への優先度が下がりがちになる

ここまでをふまえ、以下、マネジャー支援のポイントです。

3.マネジャー支援5つのポイント
①縦/横/斜めの関係性構築支援
・通常、マネジャーの関係性と言うと対メンバーを考えがちだが、前述の通り複雑性が高い中で、マネジャーが独力で妥当解を探し続けることは現実的ではない
・そこで同レイヤーのマネジャー間や、業務上関連の低い上位管理職や客観的な第三者(人事や外部講師)など、マネジャーを中心として、縦/横/斜めの関係性を構築することで、マネジャーが得る視点が増え、また、精神的な支援も充実する
・具体例としては、同レイヤーのマネジャーを定期的に招集し、内省を行うセッションなどを導入することで、コミュニティが形成される。それを継続すると、個で解決するのではなく、コミュニティで解決する文化が醸成され、結果、マネジャー支援の有効な打ち手となる

②対話支援
・マネジメントがうまくいっていないチームでは、構成員のミスコミュケーションや相互理解が醸成されていない場合が非常に多い
・相互関係の醸成は、日々の対話の量がどれだけ担保されているかが、一丁目一番地となる
・対話量の担保と言うと単純に聞こえるが、日々業務に追われるマネジャーに独力で担って頂くことは難しい。意図的/第三者的な支援が必要と言える
・そこでマネジャー/メンバー間で、日々、どのような対話の場があるのかを洗い出し、まずは対話の量、次に対話の質を向上させる事に注力する
・具体例としては、日々の朝会などで業務連絡以外にメンバー間で対話する時間を儲けたり、隔週や月次で小グループでの内省や過去の職務経験などを自己開示するワークショップなどを導入する

③構造化、言語化支援
・これまでのマネジャー支援を通して感じることとして、構造化や言語化が上手なマネジャーは、日々の課題解決に長けているケースが多い
・構造化(起きている課題/事象や周囲の論点を整理/可視化できる)が上手なマネジャーは組織の状態を俯瞰して見ているケースが多く、日々の意思決定や課題解決を効率的に行っている
・言語化(上位方針や自分の考えを客観的に理解できるレベルで言葉や文章にできる)マネジャーは、チーム方針やマネジャーの意思決定に関して、メンバーの納得度を醸成できているケースが多く、周囲の協力を得やすい状態にある
・これらの能力を醸成するポイントは2つ。1つは「マネジャー自身がチーム課題の可視化を繰り返すこと」もう1つは「継続すること」
・具体例としては、マネジャー、マネジャーの上長、第三者を交えた2on1などが有効(最少頻度としては、隔週がオススメ)
・2on1でマネジャーは、チーム課題や現場の状況に沿った生きた論点を出し、それを毎回、ホワイトボード等に可視化し、上長/第3者からフィードバックを受ける
・ここでの第三者は、BtoBの経験があり課題や状況を論理的に分解することに長けた外部講師や、内部社員が適任
・2on1の最後は必ず次回のTODOで終了し、次回、進捗を確認する

④小さな成功体験支援
・前述の通り、マネジャーの業務は複雑性が高く、成果の到達点も見え難い。そのため、マネジャー自身が成功体験を認知できていないケースが多い
・成功体験を認知できないと、マネジャーのモチベーションが維持できず、また、成長実感も得難い
・具体例としては、上長との1on1で必ず成功体験を聞く、マネジャー間で直近の行動と成功体験を対話する場を設計する、メンバーに定期的にヒアリングやサーベイを行い、マネジャーのgood actionなどを拾いマネジャーに還元する、などが有効と考えられる

⑤自己認識を醸成する支援
・マネジャーに限ることではないが、個人が成長するスタート地点は、自己の状態を客観的に理解すること
・しかし、人には自分では見えていない自己が常に存在するため、独力でこれを行うことは難しい。客観的な自己認識には、他者の支援が必要不可欠
・具体例としては、これまでの打ち手と重複するが、マネジャーが縦/横/斜めの関係性から、フィードバックを受ける機会を定期的/継続的に儲けること
・その際のポイントは2つ。1つはフィードバックを受ける機会を日常の職業生活に取り組むこと(半年に一回の研修でいきなり受けても消化しきれない)
・もう1つは、マネジャーがフィードバックを消化し、次の行動につなげることを支援する人を設定すること(通常は上長だが、社内外から第三者をメンターとしてつけることが望ましい)

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以上、今回は、組織マネジャー支援に関して考えてみました。
文頭に書きました通り、マネジャー支援は非常に難易度が高いものですが、組織の結節点であるマネジャー層を支援することで、事業/組織のパフォーマンスは間違いなく向上します(因果関係の証明は難しいですが、、)。
客観的根拠のない主観に沿った内容になりましたが、読んで頂いた方の何かしらのご参考になれば幸いです。


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