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新型コロナウィルス感染対策に関して思うこと(あくまでも私見です)

はじめに

私は感染症の専門家でも研究者でもなく、日豪の看護師ライセンスを持ち合わせた博士課程研究者(研究領域は異文化間看護なので全く違いますが)という立場であることを事前に申し上げておきます。日本とオーストラリアのニュースを比較し、新型コロナウィルス感染対策に関してオーストラリアはNZと同じく評価され、日本ではなぜその対策が疑問視されているのだろうか?両国のどこに違いがあるのか、検証してみたいと思います。情報は日々変わってきますので、今日のブログは2021年1月12日現在の状況であること、そしてあくまでも私見であることをご理解ください。

1月12日現在の統計比較

日本の人口125,710,000人に対してオーストラリアの人口は25,741,080人。日本の人口はオーストラリアの 約4.9倍です。1月12日現在、オーストラリアでは新型コロナウィルス感染で入院中の患者はわずかに45人、そのうちICUで治療を受けているのは(人工呼吸器を使用していると思われる)1人だけです。では日本はどうでしょうか?入院中の患者61449人、そのうち重症患者881人と人口比でみてもその差は明らかです。

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日本の感染者数292,212、死亡者数 4,093に対し、オーストラリアの感染者数28,634、死亡者数 909(1) です。現在、日本は冬、オーストラリアは夏という気候の違い、医療システム、政治力の違い、などがあるので一概には比較はできませんが、単純に計算しても感染者数は4.9倍をはるかに超えています。(ここで申しあげておきますが、オーストラリアの感染者数、死亡者数が急激に増えた要因の一つにビクトリア州で発生したクラスターが関係していると考えられます。)                          (1) 厚生労働省: 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年1月12日版)

因みに私が住んでいるNSW州の新型コロナ感染者数はパンデミックが始まって以来、総数4,845例、PCR検査は14,738件で前日の合計18,570件と比較して減少していることに州政府は懸念をしている状況です(2)。参考までにオーストラリア全体のPCR検査の累計は12,139,602例、下記2番目の図になります(3)。日本のPCR検査実施状況はどうでしょうか?日本は累計 5,012,070 人のようです(4)。私が予想しているよりは多かったですね。半年前の2020年6月30日の時点では385,696人(5) だったのでPCR検査実施状況は明らかに改善されていると思います(この数値が正しく発表されているならば)。しかし、オーストラリアとの人口比で比較してみると、明らかに少ないと言えるでしょう。                                  (2) NSW Health :COVID-19 (Coronavirus) statistics                                          (3) Australian Gorvernment Department of Health: Coronavirus (COVID-19) current situation and case numbers                                                                 (4) 厚生労働省: 国内の発生状況                                                                          (5)厚生労働省:: 新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年6月30日版)

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日本の陽性者数との比較(2020年6月末と現在)

PCR検査数が増えているということは、さらに多くの陽性者を見つけ出すことができるわけです。半年前と現在の統計を比較してみると2020年6月末では検査実施人数に対して約4.7%が陽性、1月12日現在は約5.8%と増加しています(1) (5)。ではオーストラリアはどうでしょうか?陽性者はわずか0.2%です(3)。爆発的な感染が深刻な東京都では驚く事に14.2%です(6)。しかし、陽性だからと言って必ずしも症状があるわけでもないようですから、無症状の陽性の人が今までと同じ行動をしていると、気づかないうちに誰かに感染させてしまっているかもしれないのです。                 (6) 東京都新型コロナウィルス感染症対策サイト

2020年3月の時点でオーストラリアがとった対策

①水際対策とローラー作戦                      日本もオーストラリアも同じ島国。早期に海外からの入国をシャットアウトしていれば、日本はもう少し状況が変わっていたかもしれないと思います。オーストラリアは2020年3月に国境を閉鎖しました。水際対策が素晴らしく早かった。オーストラリア人や永住者しか帰国できないうえに、2週間のホテル隔離が義務付けられました(自宅ではありません)。同時にローラー作戦開始。国民に対してPCR検査(無料で受けられます)を受けるようお願いし、陽性者を見つけては、早い段階で対処し、市中感染を防ぐ。徹底的に見つけ出す、という勢いが政府の発信やニュースからも伝わってきましたね。

②罰金を課す                            これは賛否両論だと思いますが、結果からすると”感染者を出さない” ”収益に繋がる”という意味では成功したのかもしれないと思います。多民族国家であるオーストラリアではこうでもしないと(政府による圧力?)新型コロナウィルスを抑え込むことができなかったかもしれないと思います。NSW州ではロックダウンの時に不必要な外出(仕事、医療、運動以外)をしないという規則に反した場合は$1000の罰金が課せられ、営業自粛が求められていたにもかかわらず規則に反して営業し続けたレストランのオーナーには$5000が課せられました。(罰金として課せられる金額は州によって異なります)現在はマスクの着用が義務づけられ、屋内において(食事以外で)マスクをつけていない場合は罰金$200とられます。大きな町の駅構内やショッピングセンターなどでは警察がうろうろしていますよ。(マスクは絶対に外せないです)    

QRコードでコンタクトトレース

NSW州ではQRコードを利用してチェックイン―チェックアウトを記録に残すようになりました(7)。例えばカフェやレストラン、ショッピングセンターなどでは、このシステムにより、いつ誰が何時から何時まで滞在していたかが分かります。感染者が出たときにはその記録をもとに追跡が可能になるというわけです(6)。州政府の「Latest COVID-19 news and updates」のページではどこで感染者が出たのか、調べることも可能になっています。店舗名まで公開されています。国民の動きがある程度把握されてしまうかもしれませんが、逆に言えば自分にリスクがあるかどうかもわかるので安心感に繋がるのではないかと思います。                      (7) NSW Gorvernment Electronic check-in guidance and QR codes

終わりに

日本の新型コロナウィルス感染対策はとても成功しているとは言い難く、どうしても腑に落ちない事があります。それは新型コロナウィルス感染対策に関する担当が、厚生労働省ではなく経済再生担当相だということです。この時点で経済優先の対策では?と思えてなりません。オーストラリアではDepartment of Healthが舵取りをしていますし、モリソン首相や州首相の会見でも必ず現在の状況、国民に守っていただきたいことなどなど、分かりやすく伝えてくれます。今更ですが、2020年3月の時点で国境を閉鎖して外からウィルスを持ち込まれることを阻止し、徹底的にPCR検査で陽性者を見つけ出し対応した国(例えばオーストラリア、NZなど)のほうが短期間でウィルスを抑え込んでいる気がします。一旦はロックダウンにより経済は止まってしまいますが、政府からの補償とセットになっていたので、安心感があったと思います。

オーストラリアのコロナ対策はよく頑張ってると思う私ですが、今も不必要な外出はできるだけ避けています。昨年3月以降、引きこもり生活を楽しんでいます。(笑)誘惑をシャットアウトして好きなことに没頭できるのも今だから?かもしれません。日本に帰国するという楽しみは今はなくなってしまいましたが、なんとか乗り切れています。



              


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