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サムライ瞑想 No002

今回は「サムライ瞑想 -エッセンシャル-」の「あとがき」です。
私は知らない本を吟味する時、本のあとがきから読むことが多いのです。「あとがき」にはその本の要約が見て取れることが多いからです。
サムライ瞑想の風味を味わっていただければ幸いです。
                                                                              雄乃三毛猫
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あとがき

天皇の住んでいる都を警護する目的で生まれたサムライは、戦闘集団として発展する。戦国大名と呼ばれるリーダーを頂点とする戦闘軍団は、戦国時代の覇権争いを繰り広げた。そして江戸時代になると、日常的な戦闘状態がなくなり、この大名は封建領主と成なった。その下に不文律的に定型化されたサムライという身分が出来上がった。

サムライの死生観から派生した行動原理は、現代人にも理解しやすいように表現すると、“あらゆる状況に対処するために心と身体を準備する”こととなる。サムライの場合、このあらゆる状況には“切腹”も含まれており、自身の心と身体の準備に対する覚悟は相当なものだったはずだ。このような覚悟は私たち現代人には望むべくもない。しかし、サムライはあらゆる状況に対処するために、心身が緊張した状態になること(慢性化した心身の緊張)を嫌ったことは容易に想像がつく。心身の緊張はすべての活動の妨げとなるので、意識していなかったかもしれないがサムライは、“慢性化した心身の緊張を解放”して、日々心身の準備をしていたのである。

身体的な準備というと、一般には身体を鍛えるというイメージだと思う。これは身体の操作方法、身体の動かし方を身に付けることであり、究極すると筋肉の収縮のさせかた、つまり“筋肉の緊張のさせかた”を学ぶことになる。ところが、サムライが実践していた身体に関する“慢性化した緊張の解放”は、これとは真逆のことである。そして、心についても同じことがいえる。

“心身の慢性緊張を解放すること”の重要性は、サムライでは武術の達人の口伝の中にいくつか見て取れるが、明確に言及されていないと思われる。ところがこのことは、現代の科学的な知識と照らし合わせてもとてもリーズナブルなことがわかり、この重要性に気付かない現代人があまりに多いことに驚きを禁じ得ない。つまり、“慢性緊張を解放すること”の重要性に気付いていないこと自体が、現代人の心に関する慢性緊張の一つとなっている。

このことが判ってくると、サムライにとって心のトレーニングとは、“心を鍛える”というあいまいな目的ではなく、自身が気付いていない “心に関する慢性緊張を解放する”という比較的現実的な目標を持つことになる。ちなみに心の慢性緊張には様々なものがあり、詳細は本文を参照されたい。

“サムライ瞑想”では、主に瞑想という手法を使って、心身のトレーニングをおこなっている。ただし心身を鍛え緊張させるタイプのトレーニングではなく、むしろ逆に心身をリラックスさせ、脱力させるためのトレーニングとなっている。一般に心身を鍛えるとは心と身体を活性化させ緊張させるためのものだが、サムライ瞑想ではこの緊張した状態の心身を解放させるためのものである。本物のサムライにとって “慢性化した心身の緊張を解放”するのは、日々心身の準備することと同じなのだ。

サムライ瞑想では、“心身の慢性緊張を解放することが大切”であるという先人であるサムライの知恵を、現代人にフィットするようにアレンジして紹介させていただいている。この中のいくつかのエクササイズは、サムライの生活習慣などから修飾して作り出している。理論的基盤をマスターすれば現代の私たちにとって応用範囲をさらに広げることができる。そししてまた男性だけではなく女性にも参考にしもらうことも可能である。現代社会を生き抜くための心身の準備としていただきたい。

                  サムライライフ研究所  雄乃三毛猫

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サムライ瞑想の風味を感じて頂くために、今までサムライ瞑想No.000ーNo.002の「はじめに」、「目次」、「あとがき」を公開させて頂きました。
今回の「あとがき」ではサムライ瞑想の目的を“慢性化した心身の緊張の解放”と紹介しております。
そこで本編では、慢性化した心身の緊張の仕組みや問題点、緊張を解きほぐすためのアプローチ方法について紹介していくことになります。よろしくお願いします。

次回は「はじめに:―現代のサムライになるために!―」を予定しています。歴史的には男性名詞であるサムライという言葉を使っておりますが、現代のサムライには女性も含まれると考えております。男性本位の表現がある場合は全て私の稚拙な語彙力の故であり、他意はないと考えて頂ければ幸いです。

またお立ち寄りください。
                                                                                                        雄乃三毛猫


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