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肉まんは思い出すために買う【数行日記9月下旬編】

09.25.Monday【本を作る】
クライアントに納品するために印刷を頼んでいた本が家に来た。厚さ1cmにも満たない、30ページほどの本。表紙にタイトルだけが印刷された非常にシンプルな本。でも、世界に一冊だけのたった一人だけに向けた本が完成した。本を作るのは二度目で、自分のものでなくともうれしくてうれしくて感動を噛み締めた。これからもたった一人のために向き合った本を作り続けたい。

09.26.Tuseday【写真を撮る】
先週、久々に取材でライティングだけでなく撮影も受けた。使っているカメラは初任給をすべてつぎ込んで買ったSONYのα6400。セットでついてきてくれたレンズをはめて久々に仕事で写真を撮った。イベントレポのための撮影は想像以上に骨が折れた。そして、自分が如何にカメラから離れていたかを痛感した。これはよろしくない。撮った写真のレタッチをしながら頭を抱えた。これは自分から堂々と「撮影もできます」とは言えない。思い立ったらなんとやら、とにかく出掛けるときはカメラを持とうと決心した。

09.27Wednesday【分厚さ120点ピザトースト】
先日届いた本と一緒に入れる贈り物と一筆箋を買いにお気に入りの喫茶店〈日用品と喫茶Tape〉へ。基本家から出ない私。もちろん、買うだけ終わるわけがない。行く前にInstagramで新メニューをチェック。この日はピザトーストとカフェモカ、チョコミントとミルクのダブルアイスを堪能。
ピザトーストは具沢山、チーズもいっぱい。そしてなによりトーストの分厚さが凄い。スタンディングオベーションしたくなる120点満点の分厚さ。想像以上におなかいっぱいになって大満足。この日、夕食は少なめにした。

09.28.Thursday【一筆したためる】
贈り物をするとき、必ず一言添える。きっと贈り物をするときはそうする人が多いんじゃないだろうか。私はこの時間が好き。これを贈りますだけ書こうと筆を置いたのに、気づいたら次の便せんに手を掛けている。手紙だからこそするすると出てくる言葉もあるというもので。そして、ちゃんと気持ちを載せられる気がして。北海道に来て、人に贈り物をしたり手紙を贈ったりすることが増えて、手紙が私にとって特別なものになりつつあるのを感じる。


9月下旬は淡々と過ごすことが多くて特筆したいものは4日分だけ。
この記事をもって一旦数行日記を書くのはおしまい。その代わり、ふと頭に浮かんだものはしっかりと言葉にしていきたい。
数行日記を書いてみて、私は日々の出来事を書き留めたいんじゃなくて、日々考えたものや不意に感じて思い浮かんだことを書き留めたいと気づけたから、2か月だけだったけど、試してみてよかった。


肉まんは思い出すために買う

夕食を食べたあと、小腹が空いてしまったときはよくパートナーと近くのコンビニに行く。コンビニはセブンイレブンとローソンとセイコーマート。今日はどこに行こうかと食べたいものを頭に浮かべながら二人並んで歩く。

私の住む北海道美唄市は随分と寒くなった。
自転車を走らせるキッズたちは半袖だけど、まだ適応してしきれていない私はダウンベストや裏起毛のトレーナーを着て寒さを凌いでいる。

寒くなると嬉しいのは、コンビニで肉まんが売られ始めること。
久々に中身の入った肉まんのケースを見て、「肉まん!」と五歳児並みにはしゃぎ、店員さんに元気よく「肉まん一つお願いします!」と言った。

好物に上げるほど肉まんが好きなわけではない。
ただ、肉まんは高校時代を思い出す青春の味なのだ。

寒い寒いと同じ高校に進学した三つ子三人でおしくらまんじゅうをしながら上伊集院駅を目指す。鹿児島中央方面はすぐに電車が来るが、川内方面は本数が少ない。同じ部活の友達に「田舎へお帰り」と向かいのホームから冗談を言われながら見送ると、「よし! 肉まんを買いに行くぞ!」とせっせと隣のコンビニに向かい、肉まんを買う。そして、駅にある自販機でコンポタ缶を買う。お決まりの冬の下校セット。

コンポタ缶で手を温め、頬を温め、肉まんをはふはふさせながら食べる。何気ないことを駄弁る。時折腹がよじれるほど笑う。コンポタ缶のコーンを如何に缶に残さず綺麗に飲み干せるか競う。その時間が大好きだった。

冬の冷たく澄んだ匂いと風通し抜群の駅の中の座ったところだけが温かくなる木製ベンチ、部活に対する悩み、大学進学への焦燥感、交際相手の惚気と愚痴。等身大に日々もがいていたあの頃が本当に大切な感情を思い出させてくれる。

私にとって、いろんな感情を引き出させてくれる、私が人間臭さを大切にする原点となったあの頃を思い出したいから、私はまたコンビニで肉まんを買う。

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