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短編小説集

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屈橋毬花の短編小説を掲載していきます。 あらゆるジャンルの話を掲載していきますので、是非、アナタのお気に入りを見つけてください。
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#小説

四月馬鹿の切望【短編小説】

四月一日はエイプリルフール。嘘を吐いても良い日とされる習慣で、日本語の直訳は“四月馬鹿”…

【短編小説】砂糖菓子のような君へ

「私を恨んでいいから」 涙を流す彼女の耳元に最後の言葉を置いて、彼女をバスに乗せた。 拝…

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酔わずとも抱きしめて【短編】

失敗した。 やらかした。 ホテルで独り、枕を濡らす。 一人暮らしをする彼の部屋で、ひとつ…

【短編】ミルクは先か後か入れないか。

 日の光が遠慮がちに差し込む窓。  仄かな光が陰影を鮮明に浮かび上がらせ、テーブルの上の…

【短編】苦いままでいい。-前編-【『ミルクは先か後か入れないか。』CP話】

 鼻腔をくすぐる香ばしい香り。キリっとした大人っぽい黒に程近い茶色。小さめのカップでもし…

【短編】苦いままでいい。-後編-【『ミルクは先か後か入れないか。』CP話】

 早めに終わった大学での時間。いつもより長く居られると踊り出しそうな足で向かった喫茶店。…

【短編】甘いのがお好きで?-前編-【『ミルクは先か後か入れないか。』『苦いままでいい。』Another Story】

 業界が仕向けたイベントだと分かっていても、やりたくなる、やらなければならないと思わせる、甘いイベントのはずなのに、甘ったる過ぎて胸やけしそうになるとうんざりし始めたのは、いつからだったのか。  落ち着いた店内でも、そのイベント当日の前後は皆落ち着きなく、何やら楽しそうでもあり、いつもなら飲まないチョコレートフレーバーの紅茶や甘いお菓子をセットで頼まれるのも増えてきたように感じる。  それは、この男も例外ではなかったようで。 「珍しいね。なんちゃってロイヤルミルクティーを頼

【短編】甘いのがお好きで?-後編-【『ミルクは先か後か入れないか。』『苦いままでい…

「もったいない!」 「ま、マスター?」  鼻から思いっ切り息を吸い込み、「あいつは、あん…

【短編】雨の日晴れ顔

 小さな水滴が一粒、私の頬に触れる。  そして、一粒、また一粒と、私も私もと雫らが頬を撫…

【空展】隣の芝生も青い ▽屈ノ丞

 言葉にならない感情を何にぶつけても許される年頃は、当の昔に過ぎた。だからといって、行き…

3FacE
3年前
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【CAKE展】僕は今夜、彼女のティラミスを【屈ノ丞】

 暗めの紅い壁紙。しっとりとしたジャズ。渋めの木材の天板と黒のアイアン脚でできたテーブル…

3FacE
4年前
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【煙展】燻る死神▽屈ノ丞

 ――苦しい。  ――息ができない。  自分が望んだはずなのに、怖くて怖くて仕方がない。 …

3FacE
4年前
7

【短編】キャンドルでまた会おう。

 僕にはお盆休みの日だけ、彼女が来る。  遠距離の彼女はお盆休みになると必ず僕の家を訪ね…

【短編】Unwanted

 なあ、知ってるかい? ここらじゃ有名な話だよ。数年前に、両親を亡くした母親に殺されかけた少年の話さ。そいつは、自分自身が殺されかけたにもかかわらず、毎月、律儀に両親の墓参りをするんだ。綺麗な花を届けてやってるんだと。  そんで、この間、偶然にも少年の墓参りに居合わせたんだ。その時も、綺麗な花を持って墓参りをしていた。いい息子じゃないかって思ったんだよ。でもな、少し引っ掛かることがあったんだ。そいつは、花を贈った後、こう言ってたんだよ。  ――ねえ、パパ、ママ。私の名前を呼ん

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