見出し画像

インボイス登録すべきか?~令和5年税制改正大綱を受けて~

令和5年税制改正大綱で、インボイス制度に変更がありました。
このタイミングでの変更に、「今になって?」というのが正直な感想ですが、どちらかというと納税者に有利な改正になってます。

令和5年税制改正での変更点

国税庁よりも先に財務省HPにて紹介されているのが下記リンクです。
インボイス制度の改正案について : 財務省 (mof.go.jp)
まだ改正「案」で、閣議決定の段階なので国税庁に掲載出来ないということかと思いますが、財務省HPで掲載しているぐらいなので本気度を感じます。

免税事業者はどうすべきか?

改正点はいくつかあるのですが、今回は「免税事業者がインボイス登録すべきか?」に絞って解説したいと思います。
私の結論としては、「迷ってるなら登録しても良い」というところです。
登録に際してネックとなっていた税負担の問題が若干解消されたからです。

改正前にあった問題点

免税事業者がインボイス登録について問題となっていたのは、
① 登録すると消費税の負担が増える
② 登録しないと取引先との契約に問題が出る
という、相反する二つの問題の板挟みがあったという点です。
例えば税込990万円の売り上げの個人サービス業の人がインボイス登録をすると、消費税の納税の負担が簡易課税適用の場合で年間約45万円増加する見込みでした。
これが問題①の具体的な負担増の金額です。

一方で、登録しない場合は取引先の消費税の納税額が増える可能性があり(※増えないところもある)、その場合の負担増の金額が、インボイス開始後3年は18万円(上記990万円の売上に対応する分として)、その後3年は45万円、それ以降は90万円。
そうすると、この負担増の分について取引先から売上金額の値下げを求められる可能性があったわけです。
※不当な値下げ要望は下請法等で禁止されているが、法改正による負担増を超えない分は交渉して問題無いとされているため。

改正案で解決した点

上記の問題にあたり、今回の「免税事業者は売上の2割を納税額として申告出来る」という改正があった結果、①と②の負担増の金額が、上記の例でいえば、「どちらも18万円」になりました。
なので、「登録しないで様子見たほうが得なんじゃないか?」が無くなったことで、若干ですが、登録のハードルが下がりました。

解決していない点

下記の点については解決していません。
なので、下記の点が気になる方は登録しないほうがいいです。

① 申告の手間が増えるのは変わらない
② 取引先が値下げしない可能性もあるので、登録しないほうが有利な場合も無くは無い
③ 改正案による2割納税は令和8年までなので、将来的にまた問題が出る
④ 申告が自分でできない場合に税理士費用とかかかるので負担はある
⑤ インボイス発行に対応する手間が申告とは別に存在する
⑥ せどりのような利益率の低い商売(20%以下)の場合はこの改正は意味がない。

取引先との話し合いは早めに

取引先との話し合いの結果によって登録の有無が左右される状況は変わりないです。
なので、やること自体は変わりません。(※判断基準が若干変わっただけです)
「インボイス」という共通の問題について、率先して取引先と取り組むことで、信頼関係が増すといいですね。
逆に、「は?」みたいな対応してしまうと、信用を失う可能性もあるのでお気をつけください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?