短歌|初谷むい
砂金の日々、蜜の泡
もうすっかり町は埋まって雪の日はあなたの声がやや遠くなる
本当のことを言わなかった朝 昼 梅ソーダ飲みながら考えた
泣いているといつも涙の粒っぽさに気付いてちょっと笑ってしまう
電話の向こうで何かを食べる音がしてそのあと感想を教えてくれる
だいじょうぶだよずっと 腕の泡撫でたら泡が光って消えた
あなたがお花見の約束をくれて それで いつもすこしだけ春を待っている
蜜の泡 あなたのかけらが心で育ちちいさな化石のようなのでした
【編集部よりお知らせ】
文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載された記事への感想・疑問・要望、または記事(に取り上げられたテーマ)を題材としたエッセイ、コラム、小説……などをぜひお書きください。投稿形式は「文章」であれば何でもOKです。編集部が「これは面白い!」と思った記事は、無料マガジン「#みんなの文藝春秋」に掲載させていただきます。皆さんの投稿、お待ちしています!
▼月額900円で『文藝春秋』最新号のコンテンツや過去記事アーカイブ、オリジナル記事が読み放題!『文藝春秋digital』の購読はこちらから!