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【新連載】藤崎彩織 ねじねじ録|#1 悩めるマリオ

デビュー小説『ふたご』が直木賞候補となり、その文筆活動にも注目が集まる「SEKAI NO OWARI」Saoriこと藤崎彩織さん。日常の様々な出来事やバンドメンバーとの交流、そして今の社会に対して思うことなどを綴ります。

Photo by Takuya Nagamine
■藤崎彩織
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た4人組バンド「SEKAI NO OWARI」ではSaoriとしてピアノ演奏を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。初小説『ふたご』が直木賞の候補になるなど、その文筆活動にも注目が集まっている。他の著書に『読書間奏文』がある。

悩めるマリオ

「今年はインディーデビュー10周年だけど、来年はメジャーデビュー10周年だから、もう10周年は来年にしない?」

深瀬くんがそう提案したのは、新型コロナウィルスの蔓延がこんなに長く続くとは想像していなかった2020年の春。
私たちのバンドSEKAI NO OWARIは、10周年に関する様々なイベントを延期することを発表した。

「まあ、どっちも10周年だしね」
「そもそも『良い会場がとれた時期に10周年って言い張ろう』って言ってたしね」
「人が集まるイベントが多いから、延期するしかないよね」

延期はメンバーで話し合って決めた。
既に中止を発表していたドームツアーを含め、展示会やイベントを色々企画していたので、それら全てを翌年にごっそりと移動する為の延期だった。

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