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珠さまに見る棟梁の大きな器とアットホーム月組のあたたかさ「珠城りょうラストデー」@ライビュ感想

ああ、なんと大きな存在だったんだろう。
そうジーンと感じずにはいられない
そんな大きな器と懐の深い包容力

月組トップスター 珠城りょう

珠さまを輝月ゆうまが「世界の旦那」と形容していましたが、本当に、大きな優しさと包容力で月組を率いて見守ってきた。
そんな珠さまの人柄がとっても表れていた卒業公演ラストデーだと思いました。

私は、映画館のライブビューイングで月組公演の千秋楽を観て、すっごく良かったな〜〜〜〜〜と感慨も一塩です。

そして、私が珠さまの人柄に惹かれる理由も、月組に感じていた組カラーも、今日の千秋楽を観ることで答え合わせができました。

(私は全組観ますが、花・雪・星が想い強めです。ブランクありありのライトファンです。先にお伝えしておくと、珠さまの公演はオーストリアのライビュからという歴がめちゃ浅いです。(^-^;)


「桜嵐記」千秋楽のライビュ感想

本当に本当に見事で、あっぱれな楠木正行でした!!!!!!
珠さまが、楠木正行(くすのきまさつら)として、舞台で生き切ったな!と思える。本当にすばらしい舞台でした。

楠木正行が果てる直前の、両刀を持っての珠様の気迫はすごいものがありました。画面越しでこの気迫ですから、劇場でご覧になった方は相当なものだっただろうと想像します。

今も頭の中で、珠さまの歌う
「咲け 咲け 咲け
もののふの もののふの もののふの花
冬に咲け 雪に咲け 咲き狂え」
の歌が響いています。(T ^ T)

前回は東京宝塚劇場でリアル観劇&マイ初日でした。

その時の感想記事はこちら↓

その時に、お隣のお席の方が作品序盤から大号泣でして、、、初見の私には、分からないツボばかりでしたが、2回目の今回はその方のお気持ち、すごくよく分かりました。


私は今回が2回目でライビュだから、そこまで感動しないかな?と思っておりましたが、浅はかでした。

初見よりもさらにさらに、登場人物の関係性やセリフもきちんと味わえて、舞台上のみなさまの一言一言の感情をしっかりと受け止めながら観ることができました。

なので、初見で気づかなかった作品の奥行きや、ストーリーを知っているからこそ響いてくるものがあって涙腺崩壊しつつも、しっかり見たいし聞きたい!と思ってハンカチで涙をふきふきしながら観ていました。

死に向かって生きていた2人

楠木正行(くすのきまさつら)も弁内侍(べんのないし)も、父の死に様が幼少期の鮮烈な記憶としてあり、2人とも幼くして父の後を追おうとした(死ぬ覚悟をした。楠木正行は父とともに湊川の戦に出陣しようとした。弁内侍は父を追って、自害しようとした。)、そういうお二人なんですね。

そんな共通項のあるお二人だから、自分の命の使い方を常に考えていた。二人にとっては死を意識した生であった。

出陣の時に、如意輪寺の桜を見ながら、

さくらちゃん演じる弁内侍(べんのないし)が

「いつも死に向かって生きてきました。

今年の桜は今までで一番美しい。」

というと、楠木正行(くすのきまさつら)が

「これまでもこうだったと思いますが?」と答える。

弁内侍が「恋を知ったから」今年の桜はこれまでの私が見てきた桜とは違うのです。恋を知り、生きることの輝きを知った今、これまで見てきたなかで一番美しいと思える桜なのです。と(セリフは記憶が曖昧ですが、こんな感じでした。)

この若者たちの儚い恋。

恋をしていると知って、生きている実感を初めて感じたその時には、想い人は死に向かうという切なさ。

このお二人の恋が史実というところに、また切なさがより濃く思われます。

棟梁の器・大木に育つ

前回は、気づかなかったのですが、千夏さん演じる楠木正時(くすのきまさとき)が猪を焼いている炊事の時に、「楠木の歌」が歌われていたんですね。

地元住民たちから慕われ、尊敬されていた楠木家。それを象徴するような歌。


河内国の赤坂に アラどっこいせ アラどっこいせ
小さな葉っぱ広げて 楠 芽を出した
アレサ 大きくなったとサ 根っこ伸ばし葉っぱ広げ
みんな木の下集まれば 地震 大雨 怖くない
エンヤラ エンヤラ どっこいせ
エンヤラ エンヤラ どっこいせ

河内国の赤坂に どっこいせ どっこいせ
大きな楠 伸びて お空を支えてる
アレサ この世は怖いとこ 地震 大風 日照り
みんな木陰に入れるため エンヤラ 大きくなったとサ
エンヤラ エンヤラ どっこいせ
エンヤラ エンヤラ どっこいせ


この歌が、作品序盤に歌われていて、作品終盤でも楠木正行が果てる時に、父の楠木正成(くすのきまさしげ)が歌うというね。もう涙涙でした(T ^ T)

この歌に珠さまを重ねずにはいられないですね。

若くして月組のトップに抜擢され。どんなにか大変な思いをしてトップを務めてきたことか。ましてやこの大変な時世に。そして、いまや大きな大木として育ち、月組のみんな一人一人を愛おしく見守っている。そんな存在の珠さまがここを去ろうとしている。

珠さまは、新人の時から大物と言われ、その器の大きさを見出された。楠木正行のように若くして棟梁の器を持ち、その宿命を担った。

ご本人のご意志とは別に、大きな時の流れの中で、ご自身の役割を全うし、次世代へと意志とバトンを渡す。その大きな大きなお役目が珠さまと楠木正行には重なります。

本当に大きなトップさんに成られたし、その過程をみなさんにお見せしてきた方だったんだなと思いました。なので、当初は「たまきち」と呼んでいたんですけど、尊敬をこめて「珠さま」と呼んでいます(笑)

歴史に「もし」はありませんが、もっとトップへの就任が遅ければ、、、青年がドンピシャに似合う珠さまだけではなく、もっと大人びた渋い男役の珠さまも見たかったなというのが私の本音でもあります。

卒業挨拶

珠さま、劇場と月組のみんなを見回して、「このすべてが私自身が守り、愛し抜いた存在です。」と言っていましたね。

そして、忘れていた
投げハート♡
「これでもくらえ!シュ♡」っと、月組生みんなで♡を投げてくれました(笑)

この投げハート♡、個人的に大好きです!掛け声はもうちょっと良い言い方があるだろうとツッコミたくなりますが(笑)その粗さも含めて珠さまっぽいなと。飾り気がない(笑)
(幽霊刑事の千秋楽でも投げハート♡していましたよね。それも相当な数をばら撒いていた(笑)あれにはすごく感動しました。なんかとってもあったかい千秋楽の空気だった思い出があります。)

珠さま、ご挨拶の間は終始ずっと、笑顔で気丈に振る舞っていらっしゃいましたが、同期の話に及ぶと珠さまも涙を堪えきれなかったですね。自分のことよりも、人のこと、同期のこと、そこにとっても思い入れがある、そんな珠さまの人柄を感じました。最後のご挨拶まで、トップとして、ご自分を制して務めようとなさっていた姿が印象的です。きっとずっと気を張ってきた、そんなトップ時代だったかもしれません。
(余談ですけど、珠さまの同期の方がインスタで珠さまの卒業に際して投稿していたエピソードに、その昔、その方の舞台での成長を見て、珠さまは嬉しくて嬉しくて、大泣きでお衣装部さんのところに報告に来たというお話が載っていました。)

緞帳(どんちょう)が上がらなくなってから、さくらちゃんと前に出てきてご挨拶していましたね。

さくらちゃん「こんな私を!こんな私を!・・・・導いてくださり、ありがとうございます!(めちゃくちゃ意を決して)珠城さん大好きです!」と。

そんなさくらちゃんに珠さまは、「私がというより、月組みんなで導いてきたんだよ。」とこれまたフラットで塩対応?な感じでしたけど(笑)

このお二人の間には、私の好きなトップさん同士の夫婦愛的なラブラブ感や添い遂げ感が全くないのですが(笑)それは、珠さまが誰かを特別に目をかけるというよりも、組子全員に対して自分の眼差しを向けてきたからなのかなと思っております。

珠さまと月組カラーの個人的な印象の答え合わせ

私が初めて珠さまを見たのは、『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』のライビュだったんですね。

その時の退団者挨拶の時の珠さまの対応を見ていて、このトップさんは組子一人一人をとっても大切に思っているんだなと感じたんですね。

なぜなら、退団者一人一人に対して、「〇〇ちゃんはこんなんで、あんなんで、こんな子なんですよ〜。みなさん。あはははは〜」という感じで、満面の笑顔でニコニコと、自慢の家族を紹介するように話す。

それを自然体でしている珠さまを見て、「ああ、珠さまって組子を家族みたいに捉えているんだな。組子のことが好きなんだな。」と思いました。

そして、『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』を観て一番思ったのは、すごくあたたかい組の雰囲気を感じたんですね。アットホームな雰囲気を。(退団者へのお花渡しも、同期からの時には代表だけでなくて、同期の全員が退団者のところへ来ますよね!これ、月組独自ですね。)

アットホームな雰囲気の印象は、演目の影響かなと思っていたんですが、桜嵐記やご挨拶やスカステ等の情報を重ねていくと、私的には、やっぱり月組は大家族的な雰囲気と組カラーがあるんだなと思いました。

花のように個々の主張が強く、ギラギラと前に出てくる風でもなく。
星のように体育会系な、舞台上に一気に集中力が集結するような熱さとも違い。
雪のように、静かなる情熱をたぎらせ丁寧に紡いでいく感じとも違い。
宙のようにスタイリッシュに軽さのある大人のウィット感とも違う。

月は、大家族的なあたたかさの中で、作品全体の中の個として調整していくそんな雰囲気を感じました。大家族的といっても、ぬるい感じではなく、あったかい一体感がありつつも、厳しいことは言うよ的な家族感ですね。

そんな月組カラーを個人的に汲み取ってみて、組カラーっておもしろいなと思いました。よく「芝居の月組」と言われますね。それは、今回の桜嵐記を観て、本領発揮だなと思いました。

また、珠さまの背中を見て、上級生の背中を見て、これまでの組子の諸先輩方の残してきた財産が組の中で受け継がれ、組カラーや文化となるわけですから、珠さまの残したものは偉大であったと思いますし、専科へ芸達者なお二人を輩出されたということも素晴らしいと思います。

本当に清々しい笑顔と愛に溢れる眼差しで去っていった珠さま。さくらちゃん、退団者のみなさま。ご卒業、おめでとうございます。

そして、月組のみなさま、ご無事に千秋楽を迎えられて良かったです。

これからの新時代、れいこちゃん・海ちゃん率いる月組がどうなっていくのか楽しみです♡


前回の『Dream Chaser』感想はこちら↓


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