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恐竜博2023ですよ

3月18日に行ってまいりました。

一つひとつの展示がどれも意義深く、鎧竜が主役という独特な内容で、しかも見やすくてしっかりと解説や演出がしてある、素晴らしい恐竜博でした。

鎧竜が主役なのはつまりズール・クルリヴァスタトルという鎧竜の非常に保存状態の良い化石が主役ということなのですが、その化石に基づいてズール、ひいては同じアンキロサウルス科の恐竜の姿や、白亜紀の終わり近くに現れたズールに至るまでの進化、鎧竜の最も目立つ特徴である鎧の活用について詳しく展示解説を行っているのです。
鎧竜は魅力的な恐竜ですが、細かすぎるパーツの集合である鎧が肋骨の上に覆いかぶさっているという構造のため、はっきりしないことの多い恐竜でもあります。ズールの保存状態や今回の展示の巧妙さは、そのはっきりしないところを払拭するものです。
私自身幼少時には鎧竜が好きだったのですがよく分からないことが多いので離れていたのを、今回の展示で圧倒的な存在感を突き付けられ、鎧竜の魅力を再認識したのです。

今回は「恐竜の攻守」がテーマなのでもうひとつの主役は大型肉食恐竜、特に鎧竜を捕食することがありうるティラノサウルス類と、それとは別の生態系に存在したメガラプトル類です。
ズールに撃退される配置のゴルゴサウルスの生々しさやティラノサウルス2体の見事さもさることながら、依然として謎に包まれた肉食恐竜であるメガラプトル類について現時点で分かっていることをまとめた展示や、その謎を解くのに日本のフクイラプトルが鍵になりうることを示しているのは注目すべきです。さっきの鎧竜に対してこっちのメガラプトル類は最近の好みかも。

主役に直接関係ない標本も目を見張るものが揃っていました。恐竜マニアにとってもマニアでない人にもたくさん見どころがあります。

鎧竜の恐竜博

入場してすぐの大きなタイトルロゴの下に間接照明のようなズールのシルエットが。今回の主役が鎧竜であることを如実に示しています。
……なにやら左上に巨大な気配が。

おや?シルエットが分身して歩き出しました。今回はこうやって影を投影する演出が多用されていて、生きて動いていたことを示しています。

今回の展示に焦点を当てた恐竜の系統樹もそうです。

恐竜、鳥盤類、装盾類の起源

大型肉食恐竜は「獣脚類」、先程の巨大な気配の主は「竜脚類」、ズールら鎧竜は「鳥盤類」という恐竜の三大グループに含まれます。
しかし、後の時代のものこそそれぞれ全く異なっているいっぽうで、ごく初期の、恐竜が現れ始めた頃のものはどのグループのものも似通っていたのです。というより、元々些細な違いしかなかったもの同士でもそれらの系統が再び交わらず時代を経ていき、違いが開いていくいっぽうだったということのようです。
小学生くらいまでそっくりだった双子が別々の部活に入り別々の経験を重ね全然違うことで活躍していくようなイメージでしょうか。

そういうごく初期のたがいによく似た恐竜を最初に示す、最近定番になってきた展示……に見えるのですが。

アシリサウルスはシレサウルス類といって、恐竜に最も近いけれど恐竜そのものではないと一般的には考えられている古生物です。
いっぽうヘテロドントサウルスは今のところ見付かっている中で一番古い鳥盤類であると一般的には考えられている恐竜です。
なぜ恐竜ではないアシリサウルスがここにいるのでしょう。そしてなぜ私は「一般的には考えられている」などと言うのでしょう。
先の写真の獣脚類であるエオドロマエウスやここより後に出てくる竜脚形類のエオラプトルはいわゆる恐竜時代の最序盤にあたる三畳紀後期の恐竜ですが、ヘテロドントサウルスはその次のジュラ紀前期の恐竜です。同じ恐竜の中で分岐したのなら鳥盤類も三畳紀にすでにいたはずなのに見付かっていないのです。
しかし一説には、恐竜ではないと考えられているシレサウルス類と恐竜の違いは決定的なものではなく、シレサウルス類は実は鳥盤類に含まれるのではないかというのです。これなら鳥盤類の初期の歴史がきちんと辿れることになります。
しかし先の例えでいったら双子のようによく似た生き物同士のことですから、色々取り違える可能性は高いです。慎重に検討が進められることになります。

あれっ、最初の展示の説明ですごく尺を取っていないですか!?これでも今回の異様に分厚い図録と比べればものすごくざっくりしているのですが。
最初の展示でもう「いつもと何か違う」ということを見せ付けてきます。

ともかく展示は鳥盤類のなかの装盾類、つまり鎧竜とステゴサウルスの仲間(剣竜類)を合わせたグループの初期に移っていきます。

もっとも初期の装盾類スクテロサウルスです。先程のごく初期の恐竜と比べてもなおいっそう小柄なのですが、すでに「皮骨板」の鎧で首から背中、尾までをびっしりと覆っています。また脇腹や尾の側面のものが尖っていますが、これなら捕食者に傷を負わせて身を守るのに適しているのではないでしょうか。(この形状どのくらい実態を反映してるのかな)

今回の裏メインかもしれないスケリドサウルスです。剣竜類と鎧竜類が分岐する前の装盾類であるとされていますが、初期の鎧竜であるという説も出たようです。
体付きはスクテロサウルスより重々しく4足歩行になり、皮骨板はいっそう発達して四肢まで覆っています。走るのには適さないけれど攻撃を耐えるには適しています。もうすでに鎧ありきの適応をしているようです。

巨体という鎧

振り向くとあの巨大な存在感の源、巨大骨格図が!(本当はずっと見えていますが)

その足元にはエオラプトルと、骨格図で赤く示されている竜脚類プエルタサウルスの頸椎と胴椎がたたずんでいます。
その巨大さたるや、骨格図を担当した増川玄哉氏によるとこの骨格図でも実物の58%にすぎないというではありませんか。
これだけ巨大な竜脚類には特別な鎧や武器は必要なかったでしょう。

プエルタサウルスの存在感をますます強めているのが骨格図の影です。照明の影が餌の植物のように見えてきます。

この影の演出がこんなに存在感を高めているのは、輪郭がきちんとしていれば影の様子は生きているものと変わらない(ということにできる)からでしょう。

装盾類の発展

装盾類が剣竜類と鎧竜類に分岐した後が示されます。ステゴサウルスとよく似たヘスペロサウルスです。恐竜博にはよく来る骨格ですが、会場である国立科学博物館の常設展にはステゴサウルスがあるので比較するとよいでしょう。特に頭の大きさと高さがかなり違うようです。
背の高い骨格をしています。脇腹には鎧はないのですが、スクテロサウルスやスケリドサウルスのような姿からこうなるまでの間に何があったんでしょうね。

鎧竜の中でも肩の棘が発達したグループのアニマンタルクスです。尾にはハンマーがないとはいえ棘が並んでいますから、捕食者が後ろから迫ってきたら振り回したかもしれませんね。
平たい骨格をしているのが分かります。

尾にハンマーがあるタラルルスです。いよいよズールと同じアンキロサウルス類の系統に迫ってきました。

アンキロサウルス類についてこんな掘り下げも。ピナコサウルスの喉の骨(CTスキャン結果をプリントしたもの)です。鳴き声の手がかりになるようです。
恐竜の鳴き声といえば京都市青少年科学センターのときは「爬虫類である恐竜には声帯がないので鳴かなかった」という展示がありましたが、その展示ができた頃からだいぶ変わったものです。

ズールとの邂逅

ここまで展示室は明るくて見やすかったのですが、一転して暗い部屋に移ります。そこには……、

ズールの実物頭骨!

なんという保存状態、なんという迫力でしょう。鎧竜の頭骨には目と鼻以外の穴がないのもあって、表情まで感じられるかのようです。
大きな鎧竜が本当に目の前にいて、こちらに威嚇の声を上げてくるかのような臨場感です。周囲360°から観察できますのでぜひ正面から、また眼窩の状態の良い向かって右(ズールにとって左)からもご覧ください。
ズールの化石の状態の良さを一発で訴えかけてきます。

展示室は再び明るく広くなります。壁にはズールの胴体を腹側から見る大きな標本が。背中を下にして川に沈んで化石になっていたのでこの向きで見付かったわけです。これだけでも骨がほとんどつながった状態ですから大発見ですが、

ひっくり返して裏側もクリーニングしてみると……、

頭から尾まで、鎧の一片まで綺麗に並んだままだったというわけです!
常設展示のトリケラトプス「レイモンド」と一緒で、下になって川底に沈んでいた側が細かな川砂に守られて残っていたのです。

しかもこの標本も周囲をぐるりと観覧通路に囲まれているのですみずみまで観察でき、しかも片側はテラスになっているので全体を見渡すことまでできます。
よって見どころを挙げ始めるときりがないのですが、尾の構造やけがの様子といったすでに解説されている見どころは置いておいて、

「棘が脇腹に並び、背中に大きな皮骨板が列を作り、そしてその間に細かい骨が並んでいて、その細かい骨が節で分かれている」というアンキロサウルス類の描かれてきた姿が本当に化石に残っている、ということを確かめられたのが、私にとっては最も意義がありました。
なにしろここも他の博物館も鎧竜の常設展示では皮骨板の間を埋める細かい骨はこんなにしっかりと示されていませんから、隙間なく細かい骨に覆われている、しかもそれに節がある、というのは今一つ実感のないことだったのです。

この展示により、展示室に掲げられている垂れ幕や限定フィギュアで描かれている鎧竜の姿にいっそう説得力を感じられるようになりました。

攻守激突

続いて現れたのはジオラマ仕立ての復元骨格です。この骨格にも、先の展示を見ていると説得力を感じます。本当に素晴らしい骨格をももたらしてくれたものです。
などと言っていますが、ズールがティラノサウルス科のゴルゴサウルスに襲われています。危うしズール!……でしょうか?

しかしズールがしっかりと踏ん張って尾の先のハンマーをゴルゴサウルスめがけて伸ばしているのに対して、ゴルゴサウルスは体勢を崩しています。それに、どっしりとしたズールに対するゴルゴサウルスの体格も、さっき見た鎧に対するゴルゴサウルスの歯も、だいぶ頼りなく見えます。

ゴルゴサウルスの後肢をよく見ると、ズールのハンマーが当たる位置にひびが入っているではありませんか。
本当にこういう骨折をした標本が見付かっているのだそうです。ズールの種小名「クルリヴァスタトル」も、ハンマーをこのように使ったものとして「脛を壊すもの」を意味しています。
ズールのような大きな鎧竜を襲おうとするのはよほど経験が浅く、また食い詰めたゴルゴサウルスだけだったかもしれませんね。

そうは言ってもゴルゴサウルスも繁栄していた肉食恐竜です。かたわらには見事な実物頭骨化石が。よく見ると頭骨を構成するパーツに標本番号と「JUGAL(頬骨)」「DENTARY(歯骨)」といった骨の名称が書かれていますね。

壁際には国内で発見された鎧竜の化石が。これは丹波市で発見された小さな歯と、それを拡大して摩耗の様子を示した模型です。歯は小さくても植物をしっかり噛んでいたようですね。

さらに鳥盤類の中でも鳥脚類のテスケロサウルスの頭骨や、

ナストケラトプスに近いと見られる角竜の子供なども見事です。

しかし北米ではこのように鳥盤類に属する植物食恐竜が様々な適応を見せつつも白亜紀最末期には種類を減らし、肉食恐竜もまた同様なのですが……、

北米で最後に現れた肉食恐竜はこちら、ティラノサウルスです。
先程ほっそりとしたゴルゴサウルスがズールにあっさりと撃退されていましたが、ズールのような鎧竜の鎧はゴルゴサウルスの薄く鋭い歯は弾き返せても、ティラノサウルスの強力な顎と杭のような歯には砕かれてしまうこともあったかもしれません……。

手前は今回初公開の、多くを実物化石で組んでいる「タイソン」、奥は最も推定体重が重いティラノサウルスである「スコッティ」です。

同じティラノサウルスでも(化石の変形はありますが)形態や傷跡の違い、発見された部位の違いがありますから、標本ごとに見どころも違ってきます。ティラノサウルスに興味が集中しているかたなら地域や細かい地層の違いを把握しているでしょうね。

タイソンの右の上腕骨にはもっと若い個体に噛まれた後治ったらしき傷跡があります。どんな争いをしていたんでしょうね。
……あ、分かり切ったことではありますが、ティラノサウルスの腕が「普通の肉食恐竜の腕を小さくして指も減らしたもの」であることを覚えておいてください。後で振り返る必要があります。

これで恐竜博・常設展合わせて国立科学博物館に4体(幼体の推定骨格を含めると5体)ものティラノサウルスがあり、さらに「コンパス」は現在予約不要で見るだけはできるので地下2階のバッキーだけでなくスタンと幼体も見やすくなっています。ぜひ見比べてみましょう。

細部の発見

巨大な獣脚類であるティラノサウルスのいるあたりの壁に、ごく小さな獣脚類スキピオニクスが展示されています。
胸元、腹、尾の下に茶色くなった部分が見えるでしょうか。これらは内臓の痕跡で、十二指腸の内側のひだや、胃の中のトカゲの椎骨まで残っています。
また手の「爪の骨」、つまり指の先端にある爪の芯になる骨「末節骨」の先に、本当の爪、つまり角質部分が残っています。
骨や歯の特徴や卵黄嚢が残っていることから、この個体はまだ孵化して3週間未満であったと考えられています。そんな生まれたばかりの頃から爪や歯でトカゲを捕食するハンターであったことになります。

次の展示室に向かう廊下にも、LSFという、強力なレーザーで化石に残った羽毛や皮膚などのかすかな痕跡を発光させて観察する手法のパネル展示があり、観察手法の発展により恐竜の細部を知ることができるようになったことを示しています。

南米のハンター達とフクイラプトル

NHKが作成した映像のシアターを抜けると(なんでNHKは……NHKだけでもないですけど……飛んでいる翼竜の皮膜を旗みたいに頼りなくはためかせるんでしょうね?)、ズール登場以降続いてきた北米とは打って変わって南米の捕食者が登場します。

南米の白亜紀末の肉食恐竜といえばカルノタウルスです。これは常設展示では見かけないものの恐竜展に通っていればたびたび目にする骨格なんですが、

実は今回大変な意義があるのがこちら。今回に合わせてきちんとクリーニング(岩石を取り除く作業)を行ったというカルノタウルスの右腕です。
ティラノサウルス以上に短い上に、上腕と比べて前腕(二の腕)がないも同然まで短くなっていることや、それでもなぜか指が4本残っているのは前から分かっていたことなのですが、さらに指の形態が詳しく分かりました。
組み立て骨格にあるのとは違って、指を開くように動かすことはできなかったようなのです。肘のない肉の棒のような腕の先に爪がちょぼちょぼと生えているように見えたのではないでしょうか。
しかもこんなに腕が短く退化しているのに肩甲骨・烏口骨は全然小さくなっておらず、しかも肩関節はよく回せるようになっていたのです。
ティラノサウルスの腕の使い道は色々考え出されていますが、カルノタウルスの腕は一体なぜこんなおかしな形になったのでしょう。短い顎や発達した筋肉の付いた脚、頭の角、名前が知られるようになってから今でも不思議なことだらけです。

カルノタウルスの他にここに展示されているのはカルノタウルスとは対極のような形態をした肉食恐竜のグループなのですが、

あれっ南米と言いつつフクイラプトルだ。手の向きを直したバージョンです。
しかしその後ろにいるのは、

長い顎に巨大な爪、カルノタウルスとは全く違う姿をしたメガラプトルです!
実はフクイラプトルはこのメガラプトルの系統、メガラプトル類の初期のものと考えられているのですね。メガラプトル類はメンバーのことごとくが断片的な化石しか見付かっておらず、この組み立て骨格はそうした化石から手がかりをかき集めて作られたものなのです。なので今後姿が大きく変わる可能性もあります。(フクイラプトルにしても四肢以外はあんまり見付かっていないわけです。)
メガラプトルという名前自体が手がかりの少なさを示しています。最初にこの爪が発見されたときはドロマエオサウルス類、いわゆる「ラプトル」の足にある爪の異様に大きなものと考えられ、南米にユタラプトルをしのぐ超巨大ラプトルがいたと大騒ぎになり、メガラプトルと命名されたのです。(ゾイドの「バイオメガラプトル」はその頃のメガラプトル像がモデルになっています。)
その後、後肢ではなく前肢の爪であるとは気付かれたのですが、一旦カルカロドントサウルス類という割と典型的な大型肉食恐竜の姿をしたグループのものとされていました。その頃作られた復元骨格を2009年の恐竜展で見たのですが、まあ頭のわざとらしくごつかったこと……。
その後、フクイラプトルを含め色々な獣脚類が実はメガラプトル類であることが明らかになり、2018年に福井県立恐竜博物館で行われた「獣脚類」展には今回と同じメガラプトルの復元骨格が登場しました。

それにしても本当にこんな風だったのかと少し疑ってしまうくらい精悍な姿ですし、手に大きな爪を備えた大型肉食恐竜というのは、テリジノサウルスが大型肉食恐竜だと思われていた頃の、昔の恐竜図鑑に登場したときの姿を連想させます。あのときはデイノケイルスと一緒にサイカニアと張り合っていたなあ。

ところで一見スマートなメガラプトルですが、実は胴体の横幅が大きくてがっしりしているんですよね。手で獲物を掴むことと関係あるのかもしれませんが、

なんかそのがっしりした胴体より二回りくらい大きい肋骨が手前にあるんですよね……。

実はこれがズールと並んで今回のビッグゲストであるとされている、巨大なsメガラプトル類マイプ・マクロソラックスなのです。
メガラプトルの組み立て骨格をマイプと勘違いする来館者さんもけっこういらっしゃるようなのですが、マイプはメガラプトルよりさらに大きいというのです。(1.35倍くらいだそうです。)
ちょっとますます信じられないような話ですが……。
ともかく、ティラノサウルス類が頂点捕食者だった北米と違って南米ではメガラプトル類が頂点捕食者だった可能性があるというわけです。
本当にそうだったのかどうか、より正確な復元はどうなるのか、今後が楽しみなグループです。

当時の絶滅、人類時代の絶滅、人類との関わり

恐竜絶滅に関する展示は恐竜博にしては珍しく少ないですが、ちょっと変わっています。当時一部の鳥が生き残ったのは地中に巣を作っていたからかもしれないということで、地中に作られたカワセミの巣の展示です。
さらにここから、当時を理解するのに現在の生き物の観察が重要だということで港区にある付属自然教育園での観察の紹介につなげています。

隕石ではなく人類が絶滅させてしまった恐竜類……ドードーの骨格と、実物の大腿骨が来ています。

ここからエスカレーターを上がるといつもの国立科学博物館の特別展ならちょっとした関連事項の展示とショップに分かれたフロアがあるのですが、今回はそれらが一体になっていて、図録や限定フィギュアができるまでを解説していました。(まあグッズの数が多いので展示室まで飛び出してきたようにも見えますが。)

もしかしたらこのゴジラの頭骨の展示は、フィクションの世界のものをこちらの世界のものと真面目に比較するという意味でポケモン化石博物館の影響もあるのかもしれませんね。
ゴジラの体の造りは走って逃げたり獲物に襲いかかったりするより腰を据えて戦うことに向いているように見えます。頭骨を見ると脳が発達しているようで、この脳が戦いに向かう意志や判断を生み出しているのでしょうか。

私もいつもの恐竜博と違ってグッズをたくさん買ってしまったのですが、多くは皆さんの好みにお任せするとしてこれだけは紹介しておこうと。
図録はスクテロサウルスやスケリドサウルスのようなマニアックな部分をしっかり解説してくれる、かゆいところに手が届く非常に充実した参考資料です。
濃い緑色のフィギュアは限定カプセルフィギュアの特別バージョンで、前売り券とセットで販売されています。造形だけでも全種類味わいたかったのでこのセットを選んだのですが、骨格フィギュアはカプセルサイズとは思えないような造りですし、生体フィギュアも今回とんでもないものを見せ付けられたズール、同じ原型師(松村しのぶ先生)の作で全然違う体型の肉食恐竜を比較できるマイプとティラノで、コンプリートセットで後悔のないラインナップです。翡翠をイメージした色も高級感があり、また造形を純粋に味わえます。
会場で購入した2カプセルはマイプとティラノでした。こちらもやはり比較できますし、色の考え方も全く異なるのでその面でもまた比べられて、大当たりの2体でした。

いやしかしかなりの長さの記事になってしまいました。ここまでお読みくださって大変ありがとうございます。
これでも私なりに見出したことに絞ってありますから、皆さん一人ひとりにまた異なった発見があるのではないかと思います。行けるかたはぜひ!

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