「彗星を追うヴァンパイア」を読みました
待ちに待った河野裕さんの新作「彗星を追うヴァンパイア」を読みました。心身ともに万全の状態で向き合いたかったので本棚に迎えてから読むタイミングをはかっていたのですがそれが今日だと思いようやく…。
ああもう…うれしい…うれしいなあ…たとえどんな事態になっても誠実に未知と向き合う人が居て進み続けるかぎり、それはいつの日かきっと解き明かされていくのだろうなあ…と、強く真っ直ぐに信じられる物語でした。人が持ちうる知性が手を伸ばし続けることの美しさ……。
オスカーやリサ、ニュートンなど、登場する人々が手を伸ばす過程で誤りをおそれずにその先にあるものを信じて手を伸ばし続ける姿の誠実さにほんとに心動かされた…河野裕さんのお話はいつだって純粋な誠実さが眩しくて好きになる…。
そしてその傍らで人類を見つめ続けるアズの静かなまなざしもよかったなあ、エピローグでのアズの言葉はなんだか忘れたくない…心に強く刻んでおきたい…。
私は河野裕さんの物語の中で登場人物が例え話をする場面がどうしようもなく好きなんだなあとあらためて実感……。
知性を持って歩み続けるかぎり私もそういうものの一部なのかなあ…と思うと途方もない気持ちになりながらも泣きたいような嬉しいような言葉では語れない気持ちがいっぱいになって…ただただなみだがあふれてとまらない……。
今年のベスト本がまた1冊増えたなあ…素敵な物語をありがとうございました、出会えてよかったです。これからも河野裕さんの書かれる物語を追いかけていきたい…。