極悪女王と物語の裏側を伝えることの大事さ

Netflixの極悪女王をみた。珍しく一気見した。各話1時間くらいで全5話、タイトなつくりなのでテンポ良く話が進み「ほなあともう1話」と続きを見たくなる。

プロレスはまったく詳しくないので、プロレスの話としての精度は語れない。けれど、昨今の良いエンタメのあり方として、作品作りの裏側も含めて作品全体を構成していくような物語づくりが、極悪女王でもされている気がしたので、思いつくままに書いていく。全然ちゃんと調べてない、個人の感想です。

まず、極悪女王は公開の数年前から事前の告知がバンバンされていた。Netflixが女子プロレスを題材にゆりやんレトリィバァが主演でドラマを撮る。このときゆりやんはボディメイキングで話題になっていて、そんなゆりやんが増量をして撮影に臨むことにバッシングが起こっていた気がする。

さらに他のキャスティングでは、スキャンダルで話題になっていた唐田えりか、こちらもスキャンダルが目立ちやすい剛力彩芽が発表された。キャスティングだけでネット記事が作れる話題性がまずあったように思う。あとでちゃんと調べる。

その後何年かは誰々かボディメイクにうまくいってない、こっちはめっちゃ本気で増量してる、みたいな記事がちらほら上がって、継続的に話題が作られていた。思えばこれは常に記憶のどこかにこのドラマのことが残るような仕掛けだったのかな、とも思う。

公開後、ゆりやん、唐田えりか、剛力彩芽の主演キャストと実際のモデルとなったダンプ松本や長与千種たちを交えた制作発表会。本人たちが笑顔で、ときに涙ぐみながらゆりやんの台本なしのスピーチを見つめるのはとても素敵だった。長与千種は今作のスーパーバイザーでもあるが、本人たちのお墨付きなんだと、視聴者は安心してこの作品を楽しむことができることが保証されたように思えた。

その後、Xでは主演以外の女優の方々の体づくりやプロレスの練習、体の本当のアザの話などの裏側の話が明かされていく。これがめちゃくちゃすごい!どのキャストの方も長期間この作品に向き合い、みんなで作り上げてきたんだということが証明されていく。特にこの主演以外の方(というとなんだか失礼な響きがするが、サブが輝いてこその素晴らしい作品と私は思う)が語る裏側がこの作品の素晴らしさをより底上げしているように感じる。

最近はたとえばスタジオジブリの「君たちはどう生きるか」や「シン・エヴァンゲリオン」などの公開後にNHKの密着が公開されたり、プロモーションとして作品の裏側が公開されることが多い。作品だけでなく、それが作られた過程を通して制作に関わった方々の努力を感じ取り、作品の楽しさを深掘りできるようになっている。

極悪女王の場合は作品の物語と、実際のキャストの方々の関係性がリンクして、シスターフッドがより深く感じられて心に沁みてくる。

この作品を支える人間たちの「関係性」とセットで伝えていくことが、最近のエンタメのプロデュースではなされているし、ファンにも受け入れられているように思う。そしてこれは以前このnoteにも多分書いた、D2Cビジネスに通じる考え方だと思う。プロダクトだけではなく、その世界観を売る。この考え方は普遍的になっていってると思うのだ。

つらつらと書いたけど、プロデュースの考え方では当たり前すぎるかもしれなくて、そうだとしたら恥ずかしいけど、極悪女王をみてすっきりと腹落ちした気がしたので書いた!

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