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木の家に住まう 2

前回からの続きになります。
未だ前回の「木の家に住まう」をお読みで無い方は、そちらをお読みいただくと、より理解が深まると思います

◎シロアリの好まない環境をつくる
前回、最後にお伝えしました「シロアリが発生する条件にならないような環境」とは次のようなものになります。

●いきなりシロアリが来る訳ではない
いきなりシロアリがやって来るのではなく、先ずは木材腐朽菌が繁殖することにより、木を腐朽させようとします。そうなると木が柔らかくなり、シロアリを呼びやすい環境が整うため、先ずは木材腐朽菌を繁殖させないことが重要です。

●木材腐朽菌が繁殖する条件
温度/3~45℃、特に30℃前後が繁殖するのに適している

水分/大気中の湿度が85%以上、木材自体の含水率が25~150%

酸素/空気が無ければ繁殖できない

栄養/木材の主成分であるセルロース・ヘミセルロース・リグニンなど

これらの内、一つでも条件が整っていなければ木材腐朽菌は繁殖しません。
しかし、この内の3つの項目は誰にもコントロール出来ようがありません。最も対応しやすいのが水分のコントロール、即ち乾燥を心掛けることになります。


床下の話は、この辺りにしておいて次の話題に移ります。

◎屋根を考える

●屋根の役割
最も大きな役割は、雨や風、雪などから建物、強いては人間を守ることですね。

●屋根の形
屋根の形は建物の外観を印象付ける上でも大きな役割を果たします。
代表的なものでは片流れ、切妻、寄棟、入母屋などの形があります。
又、これらを組み合わせたような形もあります。

●機能を考える
屋根の役割の一つとして風雨や自然災害などから建物を守ることを挙げましたが、軒先を壁面よりも出すことによって外壁の傷みを軽減させる役割も担います。
皆さんの周囲に建つ建物で軒先の出ている建物とビルのように軒先の無い建物の壁面の上の方を見比べてみていただくと、はっきりと違いが分かると思いますが、軒先の出ていない建物の外壁の上の方は、雨だれの跡がくっきりと残り汚くなっていませんか?特に白い色の外壁を比べて頂くと分かりやすいと思います。
軒先を伸ばすことで、そのような現象が起こり難くなります。

●デザインを考える
片流れ屋根の場合、壁面高さが低くなる面と高くなる面が生じます。外観をデザインする上で、いつも悩むのが片流れ屋根なんです。特に外壁面が高くなる側が見た目のポイントになる場合、高さが高くなる分、壁面が間延びします。
窓の配置でそれらをクリア出来ればいいのですが、中々上手くはいきません。
間取りにも関係しますが、単独の片流れでデザインの解決が計れない場合、片流れを組み合わせることで、それらを解決し易くなります。

●地域を考える
京阪神間と違って、丹波も含み雨や雪の頻度が高い地域では、やはり勾配のある屋根を架けることをお勧めします。勿論、四季のはっきりしている日本ですので京阪神間に建つ建物にも同じことが言えます。

その上で、もう一つ言えることは屋根の形状は出来るだけシンプルにしておくことです。特に屋根と外壁が接触する部分(取り合うの部分)は、構造上漏水の可能性が高くなる部分でもあり、そのような部分を減らしておくことで建物の耐久性も高まり、余計なメンテナンスに費用を使わなくても済みます。

そのような部分から漏水してしまうと、最近の高気密化した建物では発見が遅れ、気付いた時には被害が大きくなることも考えられます。

●とは言いながら
そんなことを書きながらも、軒の出の無い建物を設計することもあります。
最も、住まわれる方のお仕事や好みの関係で、個性を強く望まれるような場合に、そのようになることが多いのですが、世の中のデザイナー物件に四角いデザインが多いのは軒先などの余分な要素が少なくなると、すっきりとまとめやすくなることが大きな理由なのではないかと思います。

今日の写真は、姫路で設計監理させて頂いた、職住接近型のお住まい兼ショップ兼事務所のある建物です。
正面からは四角い建物のように見えますが、この正面が屋根の一番高い部分で、後ろに行くに従って屋根は低くなっています。側面にまわると、その姿は分かりますけどね。

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