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Clubhouseについて(1週間を経過して)

久しぶりの更新が、この話題です。カリヨンについては日本カリヨン 演奏家協会のウェブサイトに見やすい形でまとめられつつあることも含め、このnoteそのものの運営をどうするかを少し思案中だったもので、かなり間が空きました。

思えばこのnoteも、リリース直後は「スタートアップ時にフォロワーを増やすことが勝利!」みたいなよくわからない熱気があり(何の勝利だったのでしょうね)、相互フォローを必死に増やすようなムーブがありました。いろいろな方に見ていただくことが大事、ということで来たフォロー申請に片っ端からお答えしていたら、気づけば800件ほどのフォローをいただいております。巷で話題のClubhouseのフォローフォロワー増やし方祭りを見ると、その時に似た熱気を感じます。もちろん、noteの場合とは全然事情が違います。その辺りも踏まえ、また、特殊楽器の演奏家として思うところも含めて、Clubhouseについて、自分の周りから色々聞かれることも多いので、まとめてみました。お布施がわりに有料設定にしてありますが、全文無料で読めます。
ちなみにClubhouseそのものには @beiaard_jp で参加しておりますので、
よろしければフォローをお願いします。

音声を使ったSNS

roomと呼ばれる、自分の喋る場を開いて喋るのが、他のSNSでいうところの「投稿」になります。Facebookで記事の公開範囲を「公開(世界の誰でも読める)」「友達のみ」「リスト運用」と分けられるように、roomの開き方には3種類あります。「公開」と「Social」と「closed」です。Socialは自分がフォローしている人は参加することができますが、自分をフォローするだけで自分がフォローしていない人は、参加できません。つまり、相手の片思いだけでこちらをさらけ出すことはないしようになっています。逆に、Socialでの会話に参加したい場合には、その会話の主に自分がフォローされていなければいけません。
Closedは自分の知っている人だけでの会です。主な喋り手のモデレーターと、聞き手を招待できるようになっています。読書会や内輪での研究領域の抄読会、輪読会、セミナーなどにはこの運用が良いでしょう。

何故音声である必要があるのか

zoom飲み会でいいではないか、Discord常時接続でのチャットと会話併用でいいではないかという話もあります。が、これらは覗くにしてもその会のIDあるいはそれに類するインビテーションがないと、会に参加できません。Clubhouseですと、公開のroomならば覗き聞きは自由です。そもそも車社会のアメリカで運転しながら使うSNSとして始まった、という話を聞くとなるほどなと思いますし、実は私もTwitterを音声読み上げで聞きながら他のことをすることもあります。発信側ではなく受信側としてどのように参加するか、を考えた場合には、他の人のroomを聞き流してラジオのように使うことができるのは、受信側の利便性としてはポジティブな体験に分類されるでしょう。この聞き流し、というのが意外に大きな要素で、例えばzoom飲み会でも、別にそれを強制されるわけではないのですが「Speakerに注目」という無意識の視線誘導、これが意外にしんどいのですが、Clubhouseはそもそも仕組みとしてそれができない、画面の前に張り付かないことに対する罪悪感がほぼゼロになる分、この心理的な自由度は意外に侮れないなという印象です。

roomの運用の仕方

一人で語るのももちろん自由ですが、会話ですので、複数でしゃべてっている場面も多くあります。といいますか、そういう複数名による会話を横から聴いて楽しむのも、roomを覗く醍醐味です。この、聴く人の間にも、スピーカー(roomの開催者)とのつながりによって座席が分かれています。「Followed by Speaker(スピーカー「が」フォローをしている)」というエリアと、「Others in the room(フォローフォロワー関係がなくても公開の部屋であれば覗くことができる)」です。
この局面で聴く人と話す人がきっちり分かれていれば単なるトークショーなのですが、例えばスピーカーがこのFollowed by Speakerから誰かを見つけ、会話に呼ぼう、と思うと、壇上に引き上げることができます。Others in the roomでも、部屋によってはですが、会話の途中で質問やコメントを、挙手することで挟むことができる(スピーカーが気付いて引き上げれば)。この仕組みだと、壇上に上がって面白いなと話し手・聞き手に思ってもらえると、それを見ている人にさらにフォローされる可能性が高まります。

個人情報の扱い

ログが残らないとはいえ、キャリアの番号と紐付けられることにより、間接的には身分証明書ともリンクします。また、声紋という、各人で簡単に変更できない個人情報との紐付けがなされることの危険もあります。もっとも、声紋に関してはアレクサやGoogle Homeなどの集めた情報がすでに膨大な蓄積となっているはずで、最近のGoogle documentやAWSの音声書き起こしの精度のめざましい向上はそれに由来するものなのは間違いありません。その意味で、声紋については「今更」な部分もありますが、それでもこれまでのマシンを使わない層からもデータを集められるのは、マーケティングとしては貴重な情報になるだろうと思われます。

「SNS的に」どのような人に向いているか

ある程度のカテゴリで話題を持っていて、それが他の人との相互作用で拡散されるタイプの人、だと思います。一人で発信するのが得意な方ももちろんいらして、一人語りも良いでしょうし、そういう方の独演場としてのClubhouseもあると思います。が、1週間眺めて思ったのは「バーチャル”ロフトプラスワン”」だということです。他人様の居酒屋談義のちょっと面白いのを拝見する、その辺りに最も楽しさが詰まっていそうです。

特殊楽器の人間として、コンテンツとしてはそれなりにある方かなとは思っていますが、「居酒屋談義」のためにはそれを引き出してくださる方が必要、そこをどうするか…が大事になってくる気がします。似たような分野で、でも専門は違って、それぞれの専門性を尊重しながら聞きあえるカウンターパートをうまく見つけられると、可能性がさらに広がるように思います。

危険性

純粋に「お客様」としてroomを眺めて歩くのならば良いですが、例えば自分がそれなりに「通」だと自認している分野があって、その分野の公開roomを見にいった時に、自分よりもその分野に知悉しているとは思えない(もっといえば見下しているかもしれない)自分の知人が「Followed by Speaker」にいるのに、自分が「Others in the room」だという状況…これは非常に強い負の感情を呼び起こすのではないかと懸念します。特にまだ初期の段階だと、これまでの色々な意味での人脈力が割とダイレクトにつながりに反映しているので、そこで思い込みなどが崩れる人も、いるだろうと思います。こればかりはもうどうしようもないことですが、自分自身の心の平安のためにはあまり深く思いつめないことが大事でしょうし、同時に、他者からの(ある意味トバッチリとも言える悪意が)飛んでくる可能性については、留意しておく必要がありそうです。

マルチ商法・勧誘などとの相性について

会話のログが残らないことを含め、マルチ商法・勧誘との親和性、危険性を指摘する声があります。ログが残らないだけでなく、この会話の仕組みそのものが、親和性や危険性を引き込みやすいと私は考えます。こういった一連の商法では「捕食者」の承認欲求を満たすことでさらにしっかりと組織内へ取り込む仕組みが多く見られますが、先の「Closed」への招待、あるいは「公開」の場でのスピーカーへの引き上げなど、承認欲求を煽る仕組みが複数あり、これは組織内への誘引力として非常に強力に働きます。

その他、一般的な性質としての、ログが残らない、クローズ性、承認欲求と権力の勾配、などを合わせると、マルチ商法や勧誘まではいかなくとも、例えば反ワクチンをはじめとする「主流でない医学」との相性も非常に強いのは明らかで、その業界の方にとっては、反論の機会をどうするか非常に難しい場面かと思います。Googleの検索やTwitterなどではそういった情報に対する対策もなされるようになってきていますが、このプラットフォームでの対応は今後の、しかも割と喫緊の対応が迫られる部分だと思います。

まとめ

まだまだ未知数のプラットフォームですが、私個人としては人との関わり方の間口は広い方がいいと思っている方です。個人情報の自衛なども含め、使う側のリテラシーの向上につとめ(何事も一生勉強ですね)、節度を持った接し方と振る舞いをわきまえ、新しいコミュニケーションとそこから生まれる新しい素敵なことに繋げられたらいいなと思っています。おしまい。

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