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鎌倉移住:半年を過ぎての感想

昨年12月に鎌倉へ移住して半年が過ぎました。短い梅雨を超えて夏に差し掛かる中、気付いたことをまとめてみました。

谷戸の気候により、都心より若干快適な夏を過ごせる

引越す前に見ていた情報の中で多かった「鎌倉に住むデメリット」が2つあります。塩害と高湿度です。いずれも検索でのヒット率も高かったので気になっていましたが、7月に差し掛かる現在、どちらも課題とはなっていません。おそらくですが、住んでいる場所が山側であり谷戸の奥になることが理由だと思われます。

谷戸とは鎌倉に限らず関東では多く見られた集落の構造です。谷間に流れる小川や水路に沿って集落が細長く連なるように広がるのが特徴です。今では開拓が進み関東ではかなり郊外に行かないと見られなくなりましたが、鎌倉の二階堂や浄明寺、十二所あたりには谷戸がまだ残っています。谷戸は両方を森林に囲まれる構造のため、周囲の森からの冷気と放射冷却の影響により、平地と比較して気温が低い傾向にあります。私の家(鎌倉)と友人の家(東京都大田区)にはnetatmoという環境計測センサーを設置しており、野外モジュールにより気温や湿度の変化をリアルタイムで計測できるのですが、都心と鎌倉を比較すると、7月の日中帯の最高気温に差はなくても、夜間の気温が3度~6度ほど鎌倉のほうが低いことを確認しています。

  • 大田区 最高気温 32度~35度、最低気温 26度~30度

  • 鎌倉(谷戸)最高気温 32度~35度、最低気温23度~23.5度

この気温差により、朝と夕方は山側から吹き降ろすように下降風があります。気温の低さも相まって非常に過ごしやすいです。ただ、この傾向はあくまで谷戸の構造が残るエリアだけであり、鎌倉駅周辺の商業エリアまで行くと都心と変わらないように感じます。

ただ、夏だけが気温が低いというわけではありません。年中、平地と比較して気温が低いため、冬は非常に寒い点に注意が必要かと思います。

思ったより不快虫の被害が少ない(我が家だけ?)

ムカデなどを含む様々な昆虫と戦う羽目になると覚悟して住み始めましたが、意外にも昆虫と戦う機会はほとんどない状態です。春先は庭木に虫もついて新芽を貪ったりされましたが、夏を迎えると若干蚊の類がいる以外はそこまで昆虫による害を受けずにいます。もちろん、庭仕事をしていると、ダンゴムシ、ミミズ、アリ、青虫、蜘蛛、バッタ、アブラムシをはじめとする多種多様な昆虫を目にします。ただ、特定の種類がどかっと沸くとか、身の危険を感じるような被害は今のところありません。ただ、みんながそうというわけでもないようです。

私の近隣にもう1軒、今年引越してきたご家族がいるのですが、彼らの家はムカデも謎の青虫も大量発生するようで、外壁に張り付いて居たり上から降ってきたり、さまざまな害を受けているようです。ちなみにうちの壁にはまったく張り付いていません。ムカデは見かけたことすらない…。彼らは以前も鎌倉の別なエリアに住んでいたそうで、そこでも山からの距離が少し違うだけで虫の多さに違いがあったと言います。確かに我が家のほうが少しだけ山から離れてはいますが、その差は1m~3mくらいです。蚊でさえ15m移動できるというのですから、1mくらいの差は虫にとって移動できない距離ではないと思うのですが、何がムカデなどの発生量の違いを生んでいるのか謎です。

一点心当たりがあるとすると、雀による食虫です。我が家は近隣には珍しく地面が露出しているエリアがあり、そこが雀たちの砂風呂として大変人気を博しています。日中気温が高くやや乾燥する時間帯は入浴客も多く、順番待ちの雀たちが庭木にもたむろしているのですが、風呂に入るまでの待ち時間で周辺の虫をついばんでいるのを確認しています。もしかするとこの雀たちを警戒して虫が近寄らないのかもしれません。

非常に静かで過ごしやすい環境

いずれの谷戸の道も基本的には狭く、道幅は3m程度しかありません。場合によっては水路に隣接する場合もあり、また通り抜けは出来ない行き止まりの道が殆どですから、近隣住民か配達などの用事がある車両以外は出入りしません。7月は選挙期間もありましたが、昨年まで中野に住んでいたころは選挙カーの騒音が1日中響いていましたが、鎌倉の谷戸に暮らす今年はまったく声が聞こえませんでした。細い谷戸の道に入ると折り返しが困難で巡回に非効率的なこともあり、選挙カーが入ってこないようです。選挙カーだけでなく廃品回収の業者(あれ不法投棄に繋がったり詐欺だったりするから利用しちゃだめですよね)も入ってきません。他、都心暮らしでは絶えることが無かった水回りトラブルマグネット類、インターネット回線切り替え云々、怪しい商品やサービスのチラシなど、ゴミにしかならなかった広告ポスティングもぐっと減りました。これも非効率さ故でしょうね。

風致地区にて庭が必須のため、お隣さんの外壁までやや距離があくため生活音も全く聞こえず、車の往来もほとんどなく、観光客もそこまで多くないなど、様々な要因で静かな環境が形成されているため、基本的には野鳥とセミの鳴き声の中で暮らすことができています。

不満があるとすれば、市街地までの距離くらい?

スーパー、薬局、コンビニ、銀行、郵便局など、生活に必要な店舗やサービスまでの距離がかなりあることは引き続き不便なポイントだと思います。私はそこは気にならず住んでいますが、都心の利便性にメリットを感じる人には全く向かない住環境です。

鎌倉に住んで冬、春、夏を過ごし、残るは秋。関東はお盆を過ぎると急に気温が下がるイメージがありますが、鎌倉は周辺との気温差を考えると、冬が早く来るのかもしれません。また秋ごろに状況報告したいと思います。

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