見出し画像

【Q&A】上手くいく自信がなくなってしまった時は?

【Q】
今年50歳になりますが、転職を考えています。
前職は10年勤務しました。
色々と改革などを行い、やり甲斐もあったのですが中々認めてもらえず所得も上がらないままで、後から入社した方との人間関係も悪くなり転職しました。

今の職場は1年前に就職し正社員として勤務していますが、上司の曖昧な指示と日々変わる方向性にどうして良いか分からず、また機嫌を伺いながら業務を行う内にコミュニケーションがうまくとれなくなってしまいました。
そのため仕事の量も減ってしまい時間を持て余すような毎日で、その場所に座っているのも落ち着かない感じです。

次の職場へ見学に行く事になっていますが、また嫌になったらどうしようとか、耐える事が出来ない自分が堪え性がないから駄目なのかもしれないと自信が無くなってしまいました。

ご相談ありがとうございます。
心理カウンセラーの幸村奈未子です。

あなたの文章を読みながら、前向きに仕事に取り組んできたにもかかわらず、なかなか評価されなかったり、人間関係で苦労されていることが、これからの不安と自信喪失の気持ちとして伝わってきました。

まず、しっかりと休養はとれていますか? 
身体が疲れていると、それだけでネガティブな思考にとらわれやすくなります。
これまでの積み重ねで、実はあなたが思っている以上に身体も消耗している可能性があります。まずは身体を休めることを最優先にしてあげてくださいね。

さて、心が少しずつ落ち着きを取り戻してきたら、自分の「嫌」について整理してみると良いでしょう。


「嫌」から自分の望みを理解する

ご質問に「また『嫌』になったらどうしよう」とありましたが、「嫌」という感情は誰にでも備わっているものです。

人が「好き」を認識できるのは、「嫌」があるからこそです。

あなたの「嫌」の中には何がありますか? 
きっと、苦手なものから嫌いなものまで、色んなグラデーションで色んな「嫌」があるのかもしれませんね。

そんな「嫌」なことについて知ってあげることで、あなたの「好き」や「望み」がより際立って理解できます。

人は、自分の「望み」を理解して、自分の価値観に合ったことをしていると、自然とモチベーションが上がり、楽しみながら自己成長を遂げることができます。

また、望んでいることであれば、それをすること自体に喜びがあるので、他人の評価にとらわれすぎずに満足感や幸福感を持って取り組むことができ、その結果、成果に繋がりやすくなります。

逆に、自分の「望み」がわからず、自分の価値観に合わないことをしていると、些細なことでやる気が削がれたり、周囲の評価や状況に左右されやすくなったり、疲れやストレスを感じやすくなります。

そのため、自分の「望み」を知ることは、あなたの潜在能力を最大限に引き出すためにも、とても大切なことなのです。

「嫌」なことを整理するワーク

 あなたの「嫌」「苦手」「合わないもの」を整理し、本当はあなたは何を望むのか? 周り主体ではなくあなたが主体になって、人間関係も仕事もあなたが望むものを選び取っていけるといいですね。

下記、「嫌」から自分の「望み」を深めるためのワークです。
次の内容を書き出してみてください。

  1. 起きた出来事

  2. その時の気持ち
    (気持ちを言語化することは、自己理解と気持ちの浄化につながります)

  3. 具体的に嫌だったこと

  4. 逆に望んでいたこと

4「望んでいたこと」を書くときの注意です。
最初は、状況や相手に対してどうなって欲しかったのかが出てくるかもしれません。

その場合は、もう一歩進んで
・”自分は”どうしたかったのか? 
・どんな自分で在りたかったのか? 
まで深めることが大切です。

このワークは1回取り組んで終わりではなく、嫌だなと感じる出来事があった時に繰り返すことで、自分の「望み」「好き」が段々とわかってきます。

発達心理学で理解する50代の課題

また、これからの働き方や生き方を模索する際に、発達心理学の考え方もヒントになるかもしれません。

発達心理学では、「人は生涯にわたって発達し続けていく」という考えをベースに、人の一生を8段階に分けて捉えています。
そして、それぞれの人生の段階でクリアするべき「課題」があり、その課題を乗り越えることで、人が心理的・社会的に健全に発達していくと言われています。

心理学者エリク・エリクソンが提唱した「発達段階論」

50歳は、成人期後期という段階になります。
成人期後期の発達課題は、「世代性」対「停滞」です。

「停滞」とは、自分のことしか考えられなくなったり、これまでの考えや価値観に固執してしまう様な状態です。
「世代性」とは、自分の経験を活かしながら良いものを残し、次世代を育み支えていくことです。
この二つを体験し、葛藤する中で「世代性」の方が上回っていくことで、人は健全な発達を遂げられるとされます。

今後、これまでのスタンスのままではうまくいかないことが出てきたり、これまでとは違う何かを求められたりすることがあるでしょう。

ですが、仕事だけでなく、これまでの人生を通して育んできた知識、経験、失敗から編み出された知恵は、生きてきた分だけ積み重なっています。

これらを活かして次の世代から求められることを伝え、託していく、そして新しい価値観や考え方から学び取っていけると、良い循環が生まれますし、あなた自身の健全な発達に繋がります。

さいごに

現在は自信をなくしてしまったかもしれませんが、以前の職場ではやりがいを感じ、改革にも取り組んでいた時もあったとのことで、もともとは物事をより良くするために力強く切り開く力と行動力を持っている方なのではと感じました。
ただ、がんばっても評価が得られない中でモチベーションを保つのは、大変難しいことだと思います。

現在の職場では上司の指示や方針が不透明だったり、機嫌に振り回されてしまったりと、とても疲弊している様子が伝わってきました。
この状態が続くと、あなたの本来の強みや良さが発揮できないまま、自信を失うのも無理のないことだと思います。

新しい職場も検討されているようですが、色々と不安があるのですね。
「耐えることができない自分がダメなのかもしれない」と書かれていましたが、もし本当にあなたに耐える力がないのだとしたら、同じ職場で10年間働くのは難しかったのではないでしょうか?

そもそも、「耐える」ことは今抱えているお悩みへの対処法として適切なのでしょうか。
必要なことは、耐えること以外のことなのかもしれません。

あなたが自信を取り戻し、本来の力を発揮していけるよう、陰ながら応援しています。

幸村カウンセラーに聞いてみたいことや、日常の疑問、心の悩みなど、なんでも質問してみてください。以下のリンクから匿名で質問を投稿できるフォームに飛びます。マシュマロへのログインは不要です。


幸村 奈未子
公認心理師として、心理学講座講師、対面カウンセリング、電話相談、SNS相談等に従事し、様々な背景をお持ちの方のお悩みに寄り添ってきた。また、感受性が強く敏感な気質(HSP)の方へ向けて、心のケアのためのセミナーや、気持ちを分かち合う場を提供している。

▼幸村カウンセラーのカウンセラーページはこちら

回答:幸村 奈未子
編集:メザニン広報室