潜在意識に願望をインプットさせる


自己に忠実な人ほど潜在意識はよく働く




リンカーン、シュリーマン、カーネギー、ナポレオン、ニュートンと、歴史上の偉大な人物についてばかり、述べてきた。





これでは偉大な成功者は、歴史の中にしか発見できないのではないか、と疑う人がいるかもしれない。そこできわめて現代的な人物の成功をとりあげてみよう。






1955年生まれのビル・ゲイツだ。彼は、まだ38歳だが、「巨大ソフトウェア帝国を築いた男」として、HARD DRIVEという本が、最近出版された。






彼弱冠35歳で、マイクロソフト社の社長として、若き経営者の頂点を極めた。わずか16年前に設立された同社は、年間売上高が10億ドルを越えたのだ。




アメリカ建国以来の最年少の億万長者の出現だった。1992年には、純資産は40億ドルを越え、全米第2位の富豪となった。






コンピュータの世界は、おそろしく変化のスピードがはやい世界だが、その中で、ゲイツは、どのような目標をもったのか。





彼は高校生のときに、すでに「25歳までに、まずは100万ドルを稼ぐつもりだ」と友人に語っている。それも、単なる希望的観測ではなく、





1+1=2という数式の答えと同じくらいの確信をもって宣言している。






そして、「いつの日か、コンピュータがテレビと同じように家庭でありふれたものとなる日が来る。そして、コンピュータは、自分たちがつくったソフトウェアを


必要とする日が、必ず来る」という確信をもって、コンピュータ・ソフトウェアの世界を進んだのだ。






このように見てくると、成功というものの最大の要因は、目標の設定であるということがわかる。フランスの作家アンドレ・モロアは「生きる技術とは1つの攻撃目標を選び、




そこに力を集中することである」といった。これはまことに当を得た言葉だ。




目標はどんなものでもいい。家を建てる、新しい車を買う、会社で出世する、金持ちになる、有名になる、どれでもいい。




ともすれば、私たち日本人は、こういう世俗的な目標の設定を低俗なものとして扱いがちだが、これは大きな間違いだ。





このような願望は決して低俗ではない。アメリカの著名な学者を対象にしたあるアンケート調査で、「あなたが熱心に研究に打ち込む最初の理由は何でしたか」






という問いに対して、彼らは何と答えただろう。それは人類への貢献でもなければ、生きがいの追求でもない。上位を占めたのは「有名になりたい」



「金持ちになりたい」「異性にモテたい」


といった、はなはだ学者らしからぬ答えだったそう。



この答えは低俗だろうか。そんなことはない。正直なだけだ。そのことは、あなた自身が自分の胸に手を当てて考えてみればすぐにわかるだろう。





もしそうとは思わないという人がいたら、それはたぶん自分をいつわっているか、自分に対して忠実でないかの、どちらかだろう。








世の成功者は、必ず自分には忠実な人たちだ。自分に忠実であるということは、自分の欲望、願望に忠実であるということ。





そこから目標が生まれてくる。目標ができれば、それを実現したいと思い、行動がはじまる。




そして、自己に忠実な人は潜在意識がよく働いて、結果として自然に成功する。







悪い習慣をやめること、より良い習慣を身につけよ



誰でも心の底では成功したいと思いながら、そうはいかないのは現状に負けてしまうからだ。


その意味で、不本意な現状は、成功の最大の敵だ。




まず第1に、そこには、日常生活の中でこびりついてしまった悪い習慣というものがある。




人間は習慣の動物といわれるくらい、われわれの生活は習慣によって支配されている。




仮に年のおわりに自分の1年をふり返ってみると、前の年、その前の年と大してちがわないことに驚くだろう。



年のはじめにする決意も、何十年間も同じことを言い、同じような結末をむかえている人は多いはず。




習慣は、「第2の天性」という言葉もある。天性となると、それはもう判断や意思とは関係なく出てくるものだから、



なかなか理性が及ばない。それが好ましい習慣の場合はいいが、悪い場合は手がつけられないことになる。





どんな習慣であれ、それがいったん身についてしまうと、それはなかなか変えることはできにくいもの。





しかしこの習慣というものを、逆に成功のために使うこともできるのだ。つまり成功するような習慣をつくってしまうのだ。







世の成功者の生活や思考パターンは、みな習慣化できているのだ。





習慣というものは、短い時間で作られるものではない。長い時間をへて、知らず知らずに身についていくもの。





このことは、習慣というものが潜在意識と深く関わっていることを示す。たとえば喫煙の習慣や飲酒の習慣について考えてみよう。





これは長い年月かかってすっかり身につくと、ほとんど無意識でやっているもの。




たばこを口にくわえているし、夕方になると自然に酒を飲みたくなるもの。「さぁ、お時間ですよ」と潜在意識がささやいているからだ。






こういう悪い習慣から脱却するにはどうしたらいいのだろうか。それにはスイスの大哲学者ヒルティがいった言葉が参考になるだろう。





ヒルティはこういっている。





「人は怠惰、浪費、無節操、吝嗇などの習慣を養えるように、勤勉、節制、倹約、誠実、寛容などの習慣も養える。どんな人間的美徳も習慣になってしまわないかぎり、たしかに身についたものとはならぬ。」




悪い習慣を改めるよりは、良い習慣、好ましい習慣を新たに身につけるほうがやりやすいのだ。悪い習慣に悩み、反省する時間があったら、




自分にとって好ましい習慣が何かを考えたほうが効率的だ。






たとえば、あなたは飲酒の習慣を改めたいと思っていたとしよう。






なかなか改められなくてもそのことで悩む必要はない。そんなことは考えずに、過度の飲酒が自然にできないような日常生活を送るようにすればいいのだ。





いくら酒好きでも、クルマの運転をしているときは飲まない。職場でも飲まない。歩いている時も飲まない。つまり飲むような時間や状態があって、はじめて飲む。





たぶん飲む時間はプライベートな時間だろう。だからその時間を他のことをやってしまえばいい。





こういった悪習慣などには目もくれず、成功法則に則った良い習慣を身につけることからはじめよう。





成功もまた習慣の産物であるということを、よくよく考えてみよう。





成功するための現状打破とは、新しい良い習慣を身につけることであるといってもよい。







失敗はなぜ起こるのか



人間が1個の自動成功装置であるとしたら、失敗などおこるはずがない。まして、潜在意識を成功へと向けてうまく活用している人はみな、



なおさらだ。しかし、現実をみるとき、失敗はひんぱんにおきている。そこで、成功とちょうど反対の概念である「失敗」について考えてみよう。






まず最初にいえることは、成功者は必ず失敗しているということ。エジソンは電球を発明するまでに数千回の失敗をしている。もっと面白いのは次の言葉だ。





「わたしの現在が成功というのなら、わたしの過去はみんな失敗が土台つくりをしていることになる。仕事はぜんぶ失敗の連続であった。」






これは世界のホンダを一代で築いた本田宗一郎氏の言葉だ。もしエジソンが聞いたら膝を打って「その通りだ!」と同意するだろう。





エジソンはいくら失敗しても、彼自身は別に失敗だとは思っていなかったのだ。



ただ「この方法ではダメなんだ」と理解していたのだ。おそらく、本田宗一郎氏の場合もエジソンと同じ思考態度だったと思われる。





ここで考えなければならないのは、失敗(と見える事柄)は、成功のプロセスにすぎないということ。





何かを目指して、計画を立て、行動をおこす。ある時点で、失敗したと思う状態が生じる。




すると、人は「あぁ、失敗してしまった」と言う。そういって、あきらめてしまったら、これは本当に失敗。







しかし、そこで踏ん張って最終的に成功すれば、それは失敗ではない。




つまり、失敗とは目的に向かっておこした行動のプロセスでおこる途中経過のある状態のことだ。




それを失敗にまでしてしまうのは、その人の心なのだ。ある目的地へ向けて船を走らせているとき、




方向を間違えば、それは小さな失敗。だがそういう間違いは、早く気がついて修正した方がいいわけで、その意味で失敗が多く見つかるということは、


成功に向けて進んでいることの証明でもある。




エジソンが失敗の連続から偉大な発明をしたのも、この失敗の本質をよく知っていたからだ。本田宗一郎氏にしてもそうだ。





だいたい、何かを成し遂げようとして失敗に遭遇しないなどという人はあり得ない。だから失敗したからといって、しょげる必要などさらさらない。




ここでいくつか、失敗に関する古今の名言をいくつか紹介する。







★わたしたちのつとめは失敗しないことではない。失敗にもめげずにさらに進むことだ。




★失敗しない者はついに何事もなしえない。




★失敗は資本の欠乏よりエネルギーの欠乏からしばしば起きる。




★わたしの最大の光栄は1度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きあがることである。




★失敗は落胆の原因ではなく、新鮮な刺激である。





★成功の一瞬間は失敗の数か年をつぐなう。






いかがだろうか。みんな失敗し、失敗から学んでいるのだ。繰り返すが、失敗は成功へのプロセスにすぎないということを、





心に深く銘記していただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?