予算案と税収について。

 昨年12月22日政府と与党は首相官邸で政策懇談会を開き、2024年度予算案について議論した。岸田首相は「物価に負けない賃上げの実現に向けた予算面での対応を最大限で図る」と建前を語った。でも、今年も国民が喜ぶような予算にはならず、舌先三寸の結果に終わりそうだ。
 1月26日に招集が予定されている通常国会に予算案を提出し、早期成立を目指す考えを示した。予算案の一般会計総額は約112兆700億円で、2年連続で110兆円を超える。大型予算は良いとしても、それを支える国民の負担は重い。
 今年度の予算案は、過去最大だった昨年の当初予算(114兆3812億円)を下回り、12年ぶりの減額となる。しかし、借金である国債の償還と利払いに充てる国債費、社会保障費、防衛費は過去最大を更新する。
 それでも、歳入不足を補うための新規国債発行額は、34兆9500億円程度と3年連続で減額する。といっても、予算の三分の一ちかくも国債発行に頼るのは、1200兆億円の借金を抱えるわが国として誠に心許ない。本来、予算全体の厳しい節減はむろん、防衛費や公共事業はできるかぎり削減し、借金の返済に充てるところである。
 国債残高は過去最高の1097兆円に達すると予想されている。政府も与党も、相変わらず財政の健全化に向けた取り組みも継続すると謳うが、日本銀行は600兆円の国債を買い込んでおり、すでに財政は破綻寸前にある。
 これを立て直すには、歳出削減や歳入増加などの財政再建策を敢行し、経済成長による税収の増加を求める。この当たり前のことをしないで、10年間も超金融緩和を継続し、インフレ圧力や金利上昇などのリスクが高まる現在、財政再建の道は一段と困難を増している。
 一般会計の税収は昨年度当初予算比02%増の69兆6千億円を見込んでいる。総合経
済対策の一つである定額減税の影響で、所得税が大幅に減少するが、法人税と消費税は伸びる。
 所得税収は14.9%減の17兆9千億円で、6月以降に予定する所得税の定額減税などが響き、3兆1430億円落ち込む。法人税収は好調な企業業績を反映し、16.7%増の17兆円に増える。
 デフレ脱却と言いながら、歴史的な物価高を演出し、消費税は1.9%増のほぼ23兆8千億円を計上し、所得税の減収を消費税と法人税の増収が補う形になる。税収増加をけん引してきたのは消費税で、21年度から5%伸び、3年連続で所得税収を上回る最大の税目となった。
 これに対して、野党や一部の与党議員からは予算案の内容や財源に対する批判や修正要求が出ている。とくに物価上昇に対する対策が十分でないという指摘や、消費税率の引き下げの声が強まっている。

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