カフェインについて。

 日常生活に広く浸透している物質で、その摂取量は個々のライフスタイルや習慣によって大きく異なる。エスプレッソや玉露などの特定の飲み物はカフェイン含有量が高い一方で、緑茶、コーヒー、ウーロン茶、紅茶、コーラなどの日常的に頻繁に摂取する飲料が主要な供給源となっている。
 カフェインは神経を鎮静させる働きを持つアデノシンと化学構造が似ており、体内でアデノシンが作用を発揮するために結合する場所(受容体)に結合する。これによりアデノシンが受容体に結合できなくなり、その働きが阻害され、神経を興奮させる。
 また世界で最も広く使われている精神刺激薬で、覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用などを示す。お茶やコーヒーを飲んだ後にトイレに行きたくなるのは良く知られている現象である。
 しかし、過剰に摂取すると、焦燥感、神経過敏、興奮、不安、震え、不眠、顔面紅潮、頻尿、頻脈などの症状が現れることがある。さらに消化器系の刺激によって下痢や吐き気、嘔吐などの症状が現れる場合もある。
 長期的な副作用としては、高血圧のリスクが高まる傾向があり、妊婦が高濃度を摂取した場合、胎児の発育を阻害し(低体重になる)可能性が報告されている。10g以上の大量摂取では、カフェイン中毒を引き起こし、まれに死亡に至る事例もある。 カフェインは中枢神経系を刺激し、覚醒状態を高め、集中力を向上させ、作業や仕事、学習などの効果を向上させる。とくに長距離の運転手のような職業に就いている人にとっては事故率を減少させる。
 英国の医師会雑誌BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)は国際的にも権威が高く、医師であれば必ず読んでおくべきと言われる世界五大医学雑誌の一つで、代表的な医学専門誌とされる。
 2013年3月に掲載された論文によると、カフェイン含有飲料を飲むことで、長距離ドライバーの事故率を63%も低下させた。そして、カフェインを含む物質の使用は、運転中の覚醒状態を維持するための有用な補助戦略となり得るという結論を示した。
 米国の食品医薬品局(FDA)は1日当たりのカフェイン摂取量として、400mg以下を推奨する。飲料100mlに含まれる量はドリップコーヒーでは約60mg、緑茶とウーロン茶は各約20mg、紅茶は約30mg、疲労時などの栄養補給などを目的に飲用するエナジードリンクでは30~300mgとされる。
 コーヒーについては、1日に4、5杯までが健康に安全である。カフェインは適量であれば多くの利点をもたらすが、過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、バランスの良い摂取が求められる。

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