外国人嫌いの日本。

 2024年5月1日、米国のバイデン大統領が主にアジア系米国人を対象にした選挙資金集めの集会で、米国経済の発展に移民が貢献していると話した。それから日本を中国やロシア、インドと並べ、「外国人嫌いで、移民を望まないから、経済的な問題を抱えている」と発言し、物議を醸した。
 おそらく、話の前後から軽蔑的な意味として解釈するのが妥当だろう。しかし、バイデン氏に真実を突かれ、頷いた人も多かったに違いない。わが国の国際感覚の欠如は有名で、わが国の常識は世界のそれとは大きく異なると実感する人も多い。
 とくに米国に指摘されなくても、移民や難民の受け入れが極端に少ないわが国は、国際的に外国人嫌いのイメージが定着している。わが国でも自国が外国人嫌いだと思っている人がけっこう多い。
 これに対して、わが政府は3日までに「必ずしも正確な理解に基づかない発言があった。残念だ」と米国政府に申し入れ、外国人や移民に関する政策について、外交ルートを通して御託を並べた。ホワイトハウスは「外国人嫌い」について謝罪には応じず、バイデン氏が今後も同様の発言をする可能性は大統領次第だと突っぱねた。
 政府の立場は別にして、目くじらを立てる必要はない。常に世界を相手にし、ある程度中国や日本の事情も知っているバイデン氏の発言は、閉鎖性と排他性を浮き彫りにし、世界からみる常識を明らかにした。
 むしろ、ここは貴重な助言としてとらえるべきで、世界における自分の国の評価はまだこんな程度だと認識し、国際感覚の向上と多文化共生国際社会の実現に向けて、さらに一段の取り組みに努める。
 これは新しい問題ではなく、国土の面積や人口過密、文化的な相違や言語の壁、歴史的な背景などの理由による。しかし、長年にわたり国際社会からわが国は何事につけて、外国人に対する排他主義が強く、移民や難民に対する理解と受け入れの意識が低いと指摘され続けてきた。
 しかし、これらの問題は克服可能で、積極的に取り組むべきである。まず外国の事を知っているだけではなく、あるいは美しい山河を映した映像を見るだけではなく、理解に務めることが大切となる。学校での教育や報道をはじめ、さまざまな国際交流を通して、本音の国際理解を推進する必要がある。
 バイデン大統領の発言は厳しい指摘であったかもしれない。それは同時に自己改革の機会でもある。わが国が真剣にこれらの問題に取り組むことで、国際社会からの評価も変わるだろう。
 それが国際社会でさらなる発展を遂げるための道でもある。

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