超大国中国の動向。


 2022年10月16日中国・北京で第20回中国共産党大会が開幕した。この大会は事実上の中国の最高指導機関で、5年に1回1週間ほど開催される。冒頭に習総書記(主席)は第19期中央委員会を代表して「中国の特色ある社会主義の旗印を高く掲げ、社会主義現代化国家の全面建設に向け団結し奮闘しよう」と題する報告を行った。
 現職の党幹部のほか、胡・前総書記、温・前首相なども含め2340人が参加した大会では党トップの総書記が過去5年間の活動を振り返り、これらを踏まえて今後の展望を披露する。
 22日の閉会後に開催される第20期中央委員会第1回総会で、最高指導部を構成する政治局常務の委員が選出される。中国ではトップの任期は2期10年が通例だが、従来の慣例を破って異例の3期目の習政権が始動する見通しである。
 この20年間中国の経済と科学の発展は目覚ましく、歴史的な飛躍を遂げた。「世界の工場」「貿易大国」と言われる生産大国で、近年米国は「最も重大な競争相手」と位置づけており、経済を主体とする冷戦の模様を呈し、今後ますます国際社会に緊張を与えそうだ。
 共産党大会は政治的なイベントと言えるところがあっても、大会の決定は世界的にも影響を及ぼし、世界情勢が推考できることから、大きな注目を集める。また中国の方針を知って、個人的にも経済や経営に資する可能性もある。
 習氏は第18回全国代表大会から10年間の重大な出来事として、1.中国共産党が設立100周年を迎え、2.未来を見据えた中国の特色ある社会主義が新しい時代に入り、3.貧困を克服したことを挙げた。
 未来の方向性として、35年までに現在の方針を基本的に推し進め、21世紀中頃までには富強、民主、文明、和諧、美麗な社会主義現代化強国を建設する。この5年間はこれらの全面的建設に向けたスタートのカギとなると述べた。
 さらに今後5年の目標と任務については、経済の質の高い発展、改革・開放、法治など8項目を掲げた。経済の発展を支える原動力は科学技術が肝要で、「自立自強」の必要性を強調した。
社会主義現代化国家の全面的な建設には経済の発展が要件である。東アジアから中央アジアを通り、西ヨーロッパをつなぐ「一帯一路」計画を進め、多元的で安定した国際経済の構造と経済・貿易関係を維持し、格差の少ない「共同富裕」を目標とする。
 台湾については国内問題とする中国は、平和的統一を目指すが、選択肢として武力の使用は放棄しない。敵対する対象は中国帝国の勢力拡大を阻止しようとする米国と日本を中心とする外部勢力による干渉と、ごく少数の台湾独立勢力およびその活動に限るとこれまでの主張を繰り返したが、それ以外のアジア諸国に対して友好の方針で対応するようである。

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