わが国の経済と産業の現状。

 この30年ほどわが国の経済と産業は低迷し、国の借金は膨大に増加した。むろん、この主因は官僚主導による社会主義体制にあるが、官僚が企業を経営しても、成功するはずはない。
 口先では革新、自由な発想、ベンチャー精神などを口にするが、実際には規制や制約が多く、企業が独自の方針や発想を発揮する余地は乏しいのが現状である。長年、こういった慣習や悪弊に染まった大から小まで多くの企業は、保守的な思考と態度で覆われ、内部の風通しも悪い。こういった問題は経営者だけでなく、企業内の同調圧力や洗脳の影響によって、管理職や多くの社員にも当てはまる。
 社内では面従腹背が横行し、社員は自己満足や自己中心的に働いている。製品が売れようと売れまいと、企業の成長や革新に対する期待は低く、研究職や技術職でも、革新的な思考を持つ人がいても、失敗を恐れて挑戦を避ける傾向がある。
 このような状況では、画期的な新製品は出ようがない。製品やサービスも時代遅れになり、競争力を失う。その結果、私たちから見れば、おおよそ実業とは言い難い金融立国と観光立国の虚業産業で生計を立てるしかなくなった。
 近年、何でもIT化ということだろうか。ITの専門家がコンピューターはもちろん、マイナンバー、デジタルカメラ、自動支払機、時計などの基本を作るのだろう。その結果、IT優先の物作りとなり、それぞれの製品の特徴的な機能は失われ、実用的には使いにくい製品となり、欠陥品と言えるものもあり、実際にトラブルや故障も多いと思われる。
 また故障しても、自分で修理したり、街中の販売店で簡単に修理ができない。本来は保証から外れても、自社製品は格安で修理するのが普通だが、修理会社も独立採算性のためか、実費以上の料金を徴収するようで、相当な費用を要する。これも顧客の意欲を失わせることになる。
 さらに怠惰や高慢さが見られることも問題である。企業が高慢な態度を持つと、その評判は必然的に悪化し、新規顧客の獲得を困難にし、既存の顧客を失う。その一つの証左として、カスタマーハラスメント(カスハラ)の防止が横行している。
 自社の製品に自信のある企業はこのような問題に一向に気にしないだろうが、一般に企業は顧客の箴言や苦情や不満をほとんど聞く気がないようで、カスハラとして処理する傾向が強い。
 そのためのお客様係やカスタマーセンターであるが、自社の立場に固執するだけで、顧客に責任を押しつける。企業の自己中心的な態度から来るものだろうが、企業の成長や進歩を阻害している。
 M電機やP社やT社の5万円とか7万円の電気炊飯器はまるで芸術品のようで、商品としては滑稽にみえる。またわが国を代表するF社やN社のコンピュータは1年、3年ももたない。カメラとしての機能が乏しいC社のデジカメ、30度超えると、途端に冷房が効かないエアコンなどの数々、もう少し気合いの入った製品の販売を願っている。
 また計画生産も行き届いているようで、コンピューターでもエアコンでもデジカメでも何でも、今年あるいは今期は10万台と決めたら、売れ行きが良くても悪くても、それ以上それ以下ではないようだ。
 高額商品を買わされる私たちには、大変迷惑な話である。

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