メディアの深刻な問題。
わが国のメディアにおける政府や企業への忖度と不作為は、深刻な問題となっており、これが国民の意識を歪め、国勢の衰退と消沈を招く一因となっている。この傾向は長年にわたり続いているが、近年、その現象が顕著になっている。
日本銀行と並んで、政府の子会社と言われる公共放送のNHKは、政府と省庁の広報係と考えても良いが、近年はグルメ番組や料理番組、スポーツ中継が目立ち、視聴者を懐柔し、質の劣化を引き起こしている。
また能登半島地震災害の番組では、実際の復興が進んでいないにも関わらず、酒造や輪島塗、グルメの話題が多く取り上げられ、最近では花見や祭りなどの浮いた番組も散見する。こういった風潮はNHKだけでなく、他の報道機関でも同様である。
メディアには情報を提供し、公共の議論を促進し、権力を監視する役割がある。しかし、
報道されない事件や問題が存在するとすれば、これらの機能が十分に果たされていないことになる。
この事例として、最近では女性ジャーナリストのレイプ事件、芸能事務所のジャニーズ事件、元官房副長官の木原事件(安田事件)、お笑いタレントの松本事件、都知事の学歴詐称事件などが挙げられる。
その一方、特定の官庁や企業の広報係として使われる場合もある。昨今騒がれている自由民主党の政治資金パーティーによる裏金疑獄事件の多くの記事は、検察のリークによるもので、メディアは検察に翻弄され、偏った記事を掲載したと言える。
とくに権力に対する忖度や圧力によって報道が控えられる場合、報道機関の自由と独立性が損なわれる。これは民主主義社会にとって大きな問題であり、報道の信頼性と公正性に重大な影響を与える。
世の中には他人の言うことを鵜呑みにしてしまう人びとが多い。政治家、学者、専門家、見識者といっても、ピンからキリまでいるにもかかわらず、コンピューターは絶対に正しい、AI(人工知能)がこう言った、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)にこう出ている、これらは正しいと信じる根拠がなくても、信じてしまう。
ところが、一般に誰でも利用できる無料のAIには回答に間違いがあり、とんちんかんな答えを出す時もある。しかも、そのプログラムには偏見、忖度、不公平、不平等などが含まれており、利用者は洗脳されてしまう。情報社会の現代は情報で溢れるが、受け身で情報を得ることに慣れると、それらの情報の中身や質について、自分の頭で考え、吟味し、冷静に判断することが難しくなる。
その結果、フェイク情報に踊らされてしまう人も少なくない。
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