物価上昇とその影響について。

 2024年4月17日、ビジネスパーソン向け情報サイトのダイヤモンド・オンラインによると、今年4月わが国の主要な食品メーカー195社は2806品目の価格を引き上げた。
 6月にも再び値上げを予定する企業が多く、7月までの価格改定予定を含むと、年間の平均値上げ率は19%にも達する。今後も円安の進行や不穏な国際情勢によって、価格の上昇が続くようだ。
 大幅な物価の高騰で買い控えは当然だという声が高く、経節約志向を強化する家庭が増える。そうなると、個人消費の抑制や景気の低迷に少子高齢社会による人口減少を加えると、生産の抑制を余儀なくされ、経済や産業の縮小が懸念される。
 この二年ほど3566品目とか2806品目などの一斉値上げばかりで、消費者には個々の企業の値上げの理由は良く分からない。まことに奇妙な値上げが続くが、政府と経済界を挙げてのデフレ脱却、インフレ促進策と知る。しかし、デフレかインフレか、いずれが良いか分からないが、インフレは世界の潮流でもある。
 円安による燃料や食料や材料などの輸入品の高騰によって、あるいは人件費の上昇によって、生産の費用を商品価格に転嫁せざるを得ない。これが物価上昇の理由だが、それだけではないようだ。
 わが国は長期にわたり超金融緩和、マイナス金利、円安誘導の金融政策をとり続けてきた。3月に超金融緩和政策とマイナス金利は終了したが、円安は続いている。現在のままでは通貨切り下げの非難を受ける。政府は為替介入で円安を阻止すると言うが、そんな程度では円安の流れは止まらない。
 やはり利上げを行う必要がある。4月18日から2日間ワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれた。議長国を務めたブラジルのネト中央銀行総裁は記者会見で、「ドル高は常に問題だ」と指摘したが、わが国は円安の是正を求められ、暗に利上げを突きつけられたようだ。
 異次元の金融政策を続けてきたわが国は、これまでG7、G20諸国からやいのやいのと言われ続けてきたのではないだろうか。以前から国内でも歪んだ経済政策や金融政策の修正や変更を指摘する意見があったが、今回も外圧によって大転換を余儀なくされそうだ。
 利上げはインフレを抑制することから、物価の高騰は沈静化する。しかし、政府の借金は1200兆円に上り、企業の借入金は600兆円もある。日本銀行は国内総生産額に匹敵する600兆円の国債を保有し、当座預金残高は550兆円もある。
 利上げとなると、かなりの利子を支払うことになる。

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