発表会

もう土曜日ですねぇ。月日が経つのは早すぎて困る。
PhD interviewと並行して授業料免除申請書類作成 (手書き...)、
学振採用手続きをこなし、論文を1本投稿したり(いい結果だといいなぁ)...
TGIF (Thanks God Its Friday!!)にかこつけてIrchel barで飲んでみたり、
卓球をしてみたり、過去写真の暴露大会で顔から火が出たり...
なんとも濃密な1週間を送っていました。

さて、先日書いた教授直伝の研究室の選び方。

そこには研究室選択の重要なファクターである1大イベントが含まれていないことに、研究室に配属してからの私は気が付いたのです。

卒論、修論、博論発表会

大抵の大学の場合、学生は必ず取り組まなければならない卒業研究。
実験系の場合はこれのために毎日ラボに行く必要があるし、実験系ではなくても、どんな指導教官が酷くても、一生懸命話をして、それなりの結果と考察を文章にまとめないといけないわけです。

そして大抵の学部、研究科では、卒論、修論、博論発表会が開催されます。
卒論、修論は年度末、博論は年2回とか2ヶ月に1回とか、大学による。
文章はそれなりの形に取り繕うことができます。教授が改訂できるから。
でも口頭発表だけは取り繕うことができない

特に修論発表会の質疑応答の時間にボロが出やすい

卒論は、たかだか学部生の知識量ですから、どんなラボの学生でもどこかで必ずしどろもどろするものです。
でも流石に修士になり、3年もしくは3年半の研究生活を乗り越えた発表には、研究の質という形で差が生まれます。
博士になると、さらにその差は歴然。
学生の知識量、実験量、努力量、教授とのコミュニケーションが円滑に行えていたのか、自分で考えて実験したのか指示待ちだったのかなどなど...

丸裸になります。残念ながら。

喋りが上手くて、それなりに取り繕えてしまう学生もいます。
そういう場合、研究をしたことのない学部生が判断するのは難しいですが、他の教授の顔や態度が見える位置を陣取って聞いていると、取り繕っているのか実際にきちんと回答できているのかも案外わかったりします。

発表会での印象と、研究室訪問での印象を両方合わせて判断すれば、研究以前の問題を抱えているラボを避けられる可能性が上がると思います。

うちの学科の場合、発表会は誰でも聞くことができます。
たまにご家族がいらしてたりするくらいなので。
でも、あまり公にアナウンスされないのと、絶賛春休み中なので、学部1、2回生は日時すら知らないことの方が多い。
実際、私が1、2回生だった時はアナウンスも張り紙もHPへの掲載も一切なかったので、全く知りませんでした。

修士、博士中間報告会

卒論、修論発表会だけではなく、中間報告会を聞きに行くのも手。
修士のはだいたい5月とかにひっそり行われている印象です。
M2が、自分自身のこれまでの成果とこの1年何するかを発表してくれます。博士は年度に1回くらい。うちの場合は年度末です。

うちの学科の修士中間発表には独自ルールがあり、

M1の7月にポスター発表 (研究計画発表)
M1の3月にポスター発表 (進捗発表)
M2の7月に口頭発表 (進捗発表)
M2の2月に口頭発表 (修論発表)

と計4回、学生の発表を聞く機会があります。
これ、全部聞くと面白くて、

・毎回全く違う内容をしっかりまとめて、嬉々として話す人 (複数テーマをハンドリングできていて、研究のアクティビティも高い)
・同じテーマだけれど着実に結果を積み上げ、毎回きちんと進んだ部分を紹介してくれる人 (研究のアクティビティが高く、きちんと研究を進められている)
・同じテーマで一見進んでいるように見えるけど、迷走している人 (教授とのコミュニケーション不足)
・毎回違う内容を、よくわからない感じでまとまりなく話す人 (教授によってコロコロ研究テーマが変えられている)
・毎回同じ発表をする人 (つまり卒論からの進捗がない)

など、ラボの特徴がはっきり出るのです。
学生としては半年ですぐに発表会がやってくるので、この制度すっごいめんどくさいんですが、選ぶ側や見る側にはかなりいい情報源になります。

1、2回生に、わかりやすく噛み砕いて教えてくれるかもミソ。
特に詳しくない人からの素朴な疑問に対応できるかどうか。
学生本人と教授陣、もしくは上級生が相談したり議論したりできており、疑問点を解決して、学生本人の理解が深まっていれば、難しい言葉を並べ立てなくても教えられる、もしくは真摯に対応してくれるはずです。

実例紹介

私自身、研究室に配属前の7月の修士中間報告会を聞きに行って研究室選びの判断材料にしました。
また、研究室配属されて以来、全ての発表会を聞きに行っています。
時に「時間の無駄ちゃう?」と揶揄されながらも、全員分聞いてきました。
そこで見た実例を2つご紹介します。

1. 修士2年7月で指導教官から研究テーマを根本から覆された人

先述したM2の夏の中間報告です。
ある研究室のM2の先輩が発表していました。
発表を終え、質疑応答の時間。
なぜか彼の所属する研究室の先生からの猛攻撃を受けていました。

なんでその統計手法を使ったん?
君はAとCを比較してるけど、AとBを比較しないとあかんのちゃうん? 
(研究の根幹のデータで、サンプルの取り直しを意味していました)
てか何でこのテーマ選んだん?

この攻撃内容は、普通ならばゼミ内で、実験を始める前に解消されておくべきことです。公開処刑される学生はたまったもんじゃない。
「自分には指導力がないです」と公言しているように見えました。
他の先生方は「また始まったよ」って感じだったので、これは例年そうなんだなと初めて見た私でも思ったものです (実際例年そうでした)。
基本的に放置系のラボだったので、適当に過ごして卒業できればいいという学生が年々増えていきました。

2. 〇〇って何ですか?

その分野を研究している人ならば全員必ず知っている現象についての質問を、ある教授が投げかけました。
この質問は決して理不尽なものではなく、ある程度勉強したら誰もが疑問に思う点でした。
発表者は、その現象名がわからなかったのです。
会場全体が唖然としました。
他にもいくつか質問が飛びましたが、どの回答も要領を得ない。
逆質問をした勇気は誉めたたえようと思いますが、その学生の普段からの勉強量不足だけにとどまらず、指導している先生の放任っぷり、コミュニケーション不足が明らかになった瞬間でした。


このように、毎回必ず事件が起こるので、ただ見にいくだけの人にとっては、大変楽しい発表会です(おい)。
自分の学術的知識の蓄積の確認もできます。
自分が研究発表をするときのお手本にもなります。
今年は1つも聞けないのがとても残念で仕方がありません。

それは置いておいて、何かしらに欠陥があるラボを見分けるには、研究発表を見に行った方が圧倒的に早い場合が多々あります。
別に質問をしないといけないわけではないのです。
部屋の隅っこにこっそり座って見ているだけで十分わかります。
(教授、先輩に顔バレする、熱心なやつだと思われるという弊害はあります)

日程は教務係、もしくは学生好きそうな教授にでも聞けばすぐに教えてくれると思います。
人生を決める研究室選びですので、内情を知れる機会があるなら全て行っておいて損はない。

自分はテキトーに済ませがちなので、ちょっと反省して次回はちゃんと発表しようと思います。。。

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