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イタリア旅行記

私の恋愛対象は人間である
目の前を歩いているクマたちにも
周りを走って
歩いている生物にもあまり
興味や関心がない

ただ、異物としか捉えられない
同じ生き物として彼らは私を
受け入れてくれるのだろう

しかし、雪原が私を飲み込むのは早かった
そこに寛容や慈愛はなかった

少し風が吹くと
違国の匂いがして
視界を小さな吹雪が邪魔をした

風に押されて歩くと
私は
数分前の自分が
そこにいなかったように感じた

ヘルメットを外して
そのままでいられる
飛行士として居ていい場所を探して
歩いた

話をふりだしに戻すと、
私は人間以外を愛せなかった
街中を歩いている生物たちは違った

容姿を
異質
話す言葉も聞き取れず
それでいて、魅力的
そんな中に
自分との違いがあるみたいで
同じ生物と思えなかった

私たちは今日めずらしく宿をとった
小さな山の
小さなてっぺんにある
2階建てに泊まった

その夕方
外に乾かしたヘルメットを取りに
廊下を渡り
街を多少は見下ろせる
景色を見つけた

ヘルメットを被り
いくつもの灯りがついた
街中を
景色として
おおきな
誘惑的な光を見ている感覚だった

目の前の崖から落ちそうな感覚もした

その中を歩いている生物がこんなに愛おしいと思って
ここでしか、愛せない自分の
どこかが
欠損していることに
少し
だいぶ
失望した
自分の生物を愛せないという感覚は
こんなにも自分に都合よく
変えようとしてしまうのかと

結果は、愛そうと努力しない私に嫌気がさした

それでも、愛せるのでしょうか

こんな私に、ヒトを
愛す権利はあるのか

答えを出してくれる
相談できる
人間が
私には1番必要だったかもしれない

※これはイタリアを観光した際のエッセイを勝手に
 物語風に改変したものです
 現地の方々に嫌な思いをさせてしまったら申し訳
 ありません

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