こたま𖤣𖥧𖥣。
私の詩たち。
まどろむ身体 昨日のお酒 夢にまで引きずった重たい話 目覚めはそれはもう最悪だったよ 今だって多少具合も良くないね こんなに空も青いのに ベッドから出られそうにないよ 溜まった洗濯物と飲みかけのコーヒー 君がいたらな 君がいたらな こんな気持ちも晴れるのに 仕方がないから少しだけ チルミックスでも流してみるよ 窓の外から笑い声と小鳥の囀り 君がいたらな 君がいたらな 流れる涙も拭いてくれるの 君がいたらな 君がいたらな
雨打つ窓辺 今朝 初めて見たかのような 満開のツツジの花が あまりに美しく妖精のようで 透き通る純白のドレスがよく似合う それだけで救われる こころが ひとつ
眠りに落ちるみたいに ゆっくりとノートが閉じた
繰り返す後悔ひとつ 消えてもまたひとつ 生きることもまた同じ また一日 今日も終わる 心の真ん中のところ 黒より深い色ってなんだろう 見えないフリしてせかせか歩く 一体どこへ向かうのです ちょっとそこまで 帰る場所 あなたの居ない部屋 夏の陽に蒸されたリビング テレビに映る花火 慌てて消した まだ寒い マイナス10度のあの予報 通り過ぎた春は置いてけぼり 繰り返す四季ひとつ 過ぎてはまたひとつ 死ぬこともまた同じ また明日 君のところへ
君に会えなくなってから 朝が来ても シャワーを浴びても 車に乗っても 仕事をしても 笑い合っていても 帰り道でも 家に着いても なにか食べても 横になっても 何をしていても ずっとずっと 心が静かで落ち着かない かつて生きていてこんなに静かな日々があっただろうか ノイズキャンセリングイヤホンみたいに 心の真ん中が一点から動かない 静寂とはこのことか くだらないことでケラケラ笑って ふざけ合ったり くだらないことでイライラして 罵り合った
ただただ あなたの幸せを想う 空から揺られる雪を見ても ぽつぽつ歩く道の足跡さえ あなたのところへ続く空と道であり ただただ 今日を穏やかに 生きていてほしい 生きていてほしい
深夜のリビング あなたのいない部屋に響く 冷蔵庫のノイズ 静かな心と向き合うには まだ怖い 夏の夜とあなたのフリース 今はまだ厚着でいたい 隠す日常の日々 擦り切れた心に雨が滲む まだまだ遠い未来 夢の中で耳を澄ませる 聞こえる あなたの足音 駆け足で 行こう
月がいつもより大きく見えて 少しだけ前より仲良くなれたような気がした 誰も気が付きはしない土曜の帰り道 私と君だけの秘密な時間 車のテールランプとステレオから流れる音楽 リズムが重なる 今日はもっとスローでいいのに 暗闇の海の中で泳ぐことは 泳いでいた感覚さえ忘れる程に 右も左もわからない 今日も仕事の帰り道 私の車は海の中 外の世界と隔てた鉄の壁の向こうで 柔らかく光る月のありがたさ 信号待ちで隣のバスの窓から少女が月を見ている 期待を匂わす優し
夢で私が言っていた 何をしても埋まらない感情がそこにあって 何も考えずに普通でいられる時もあれば どうしようもなく闇に呑まれて ああ やっぱり私は普通じゃないんだと 普通には戻れないんだと絶望する瞬間がある 普通に笑うことも話すことも食べて美味しいと感じることも もう私にはできないと 闇に呑まれながら静かに 心の奥で静かに私が言っている 誰の声ももうそこには届かない 何も届かない暗闇 真っ暗な海を私は 心の中で確かに存在するそれを はっきりと鮮明に
耳かきをしてあげたい 膝枕で他愛もない会話をしながら 耳の入り口から 君の中に入る 暗闇の奥で引っかかる悩みの種を 優しく優しく剥がしてあげる 落ちないようにゆっくりと 掬い上げる 繰り返し 繰り返し 少しずつ 少しずつ そうしたら 君はくすぐったいよって微笑む それから少し元気になる だから耳かきをしてあげたい
イヤホンから鳴く声に染み入る 声に言葉に惹かれても 君の写真をふと見ると あの時みたいに溢れる笑みがそれを知らせる 誰も知らぬその顔を 今日も君だけに見せることができるよ 甘えも依存もだらしなさも 君だけのもの 君だけのもの 駆け足の様に生き急いでいたあの夏を タバコの煙と君の横顔 私だけのもの 私だけのもの
祖母の涙に私は笑顔で返した 心はぐちゃぐちゃだったけど その涙が私を生きる道へと 導こうとしている様に感じた もう少しだけ頑張ってみよう 死にたい気持ちは消えないけど 死ねない理由はある 前を向けなくても もう少しだけ死なずに生きることはできるから だからもう少しだけ もう少しだけ 頑張ろう
仕事を休み二日目の朝 カーテンは閉めておこう 隙間から入り込む光たち 優しい声でケラケラ笑う小人のよう ソファーに寝転び毛布を被る このまま小人たちが連れて行ってはくれないだろうか 全ての人にとって人生は有難いものではないと 生まれたばかりの赤子に言っても伝わらない 今はただ今をやり過ごすことだけ そよ風が私を深い眠りの中へ案内してくれる その先など考えずに今はただ眠ろう
朝 歩く道に 同じ時間に同じ場所で 鳥たちが羽ばたいている 同じ景色 いつも同じ 一つだけ違うもの 君がいないこと 一日一日すぎてゆく 季節も変わってゆく そこに居るはずの君がいないこと どうして皆笑っているの 私の隣に居ない人を忘れないで 居なかったみたいにしないで 移りゆく日々に一人だけ取り残されてる もう季節が一周回ろうとしている 一歩も動かない間に もう追いついてきたそれを 私は受け流せるだろうか 君の居なくなったあの日を
出口の見えないトンネルに ずっといる 歩く気力はもうない ただ死なずにそこにいるだけで もう精一杯なのだと思う 休日の太陽の光やそよ風さえ 心には届かないくらいの 絶望 それが私を支配する 気がつけば夜 カーテンを閉めると また始まる 繰り返し 体と魂がここにあること あの人にもあの人にもそれがあること 今まで歩んできた体に別れを告げて 君のところへ魂だけで飛んでゆけたら あの人もあの人も悲しむだろうか
何もかも飲み込む夜 そこに光る月はあなたですか どうしたって触れられない 明日はどこから入ってくるの 部屋のランプに閉じ込めて 思いをそっと隠しておきたい 灯りが消えたら全てが夜に吸い込まれ 何事もなく始まる日常 胸の苦しさも この手の震えも 夜風で誤魔化してただ過ぎてゆく もういいか そうやって少しずつ君のところへ 近づけるなら