見出し画像

シアンとプルシアンを、思案中 : 井出佳美「Prussian Blue」展 によせて。

井出佳美さんの今回の個展のタイトルを眺めていたら、「プルシアン」のなかにも、青を意味するシアンがあることに気がついた。

グラフィック・デザイナーとしての僕、にとって、シアンは、色の三原色のひとつで、カラーで印刷するときに、その濃度をパーセンテージで示す、素っ気ない、配色の、要素記号。

いっぽう、プルシアンは、どことなくペルシャを想像させる響きから、最初はエキゾティックな金色と紺の装飾的な壷、なんかを想像してたけど、ほんとうの由来はドイツの旧王国名・州名 プロイセンの歩兵や砲兵の制服の色、らしくて、「ベルリンの青」という別名もあるんだって。

そんなイメージを、白い陶磁器のティーカップに注ぎながら、ふたたび、井出さんの絵を見てる。

井出さんの青は、ひとりぼっちで佇むことはなくて、いつもほかの色彩と、となりあったり、まじりあったり、してる。

顔料が、水に溶けて、にじんだり、彩度をおとしたり、輪郭を曖昧にしたりしてるけど、なぜか、透明感はキープしてて、そこが、人あたりはいいけど、奥ゆかしくて、純粋さをうしなわない、井出さんのお人柄みたいで、なんだか、晴れ晴れと、うれし泣き、しちゃうんだ。

それで、今回の展示は、この世界の状況のなかで、残念だけど、ひとけのない空間のなかで、この、青い絵たちが、ぽつねんと、息をひそめている時間が長くて。

それはあまりにもブルーだからってことで、井出さんがnet上のとある場所に、あらためて全ての作品を設営してくれる運びとなって、だから、井出さんのファンのひとりであるぼくも、ここで、こうして、そのことを、拡散したくって、このテキストを、青いインクをスラスラとしたためるきぶんで、書いてんの。

なので、こちらから、サーバー内に保管された秘密のミュージアムに、アクセスしてみて、ね!

⇒ Prussian Blue

追伸:
♪いい時 旅立ち のBGM は こちら、で

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?