私がまだ中学生の時に、星新一さんの「鍵」という短編小説を読みました。
主人公は自宅で古びた鍵を拾い、その鍵はどこの鍵だろうと家中の鍵穴を試します。
どこにも合わず、とりあえず近所の鍵穴を試したところまたもやどこにも合わない。
休日に隣町で同じことを試し、そのまた隣の町を試しては休みのたびにその範囲を広げていくのです。ついには長期休暇を取って海外にまで足をのばし、毎年違う国を訪れてはその鍵に合う鍵穴を試す旅を繰り返します。
そして主人公が死を目前にした時には、その鍵以外何も残っていませんでした。愛する家族も、お金も、名を残す偉大な仕事も何も残してこなかったのです。ただ一つ、その鍵とともに旅をした最高の思い出以外は。。。という短い話。
我々の人生はかように儚くも切ない、そしてとても美しいものなのだと思います。ただ意志を持って移動する。それこそが生きるということなのではないかと思います。そして最高の靴は、その移動を可能にする大切なパートナーです。そんな靴をご紹介できれば良いなぁ、そんな風に毎シーズン考えています。
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