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Kindle出版初心者。初めての出版から、ここまで。統合失調症とKindle執筆

書き始めてみた

9月の上旬になぜか「フッ」と沸き上がったのだ。
それは、娘が大学受験に向けた勉強に、本腰を入れはじめたことが、
きっかけだったのかもしれない。

私が、統合失調症を発症した大学受験に娘が挑戦する。
私は、果たしてあの頃から変わったのだろうか・・・?

統合失調症は、数年前に寛解した。
もう、薬を飲まなくなって何年になるだろう。

寛解は、本当にゆっくりと、
気付かないところで進んでいったようで、
いつの間にか妄想や幻聴がなくなっていた。

今ではこれらのモノは、まったく無くなっている。
ただ一つ残る疑問。

あの時代に私が経験したものは、一体何だったのだろう?

私が体験したものは、
私の中では現実だった。

拙書「統合失調症から回復した、ある青年の記録」でも記したが、
組織と思しき集団に囲まれ、監視され、盗聴され、否定をされ・・・。
散々だった。

必然的に「かれらの声」に否定されないように、
行動し、思考するようになっていた。

アイデンティティーと言われるものは破壊された。

さて、今回は当時の内容を書こうと思っているのではないので、
この辺りは、拙書に譲るとしよう。

娘の受験を受け、当時のことを冷静に考え始めているときに
出会ったのがKindle出版。

読書が習慣になっていた自分が、
違和感をきっかけにして、それを知った。

違和感は、「お金の稼ぎ方」の本をKindleで調べていた時だった。

今までの生き方を変えはじめたところだったため、
まずはお金の管理。と思い、片っ端から調べていた。

リベラル大学の両総長や山崎元さんの本などを読んでいく中で、
幾つかの本に「これ、ちょっと内容薄いぞ?なぜ、脱字がある?」などの
違和感を感じた。

「どういう事だ?」

Kindleに上がっている本は、出版社を通しているはずなのに、
なぜ、こういうことが起こるのだろう?

「もしかして、自費出版か?」

でも、自費出版だとしても文章校正などはしっかり入るはず。
訳がわからなくなった私は、スマホでググる。

「Kindle本 出版 作者」

Web記事を見て、驚愕した。
こんなにも多くの人が個人で出版している。
しかも無料で。

すぐに愛用のKindle White Paperで同じく、
「Kindle本 出版」と検索する。

かなりの量のHOWTO本が出てくる。
しかも筆者名からすると、これらは個人出版。
最も評価が多くついている本をダウンロードする。

今、思えばここから人生が一変した。

「しゅーぞー」と「こう吉」という著者の本を2冊ずつ。
貪るようにして読む。

あっという間に3時間が経過していた。

何だこれ、
何だこれ、
何だこれ。

こんなにも簡単に本が書ける。
表現ができる。

何だこれ。

混乱している頭の中で、ボヤっとしていた何かが形になる。
「あの当時のこと、書いてみよう」

なぜ、そう思ったのか?
わからない。
ただ、漠然と浮かんできた。

そこからは、早かった。
自己研鑽用として買ったが、なかなか使用していなかったPCを
寝室に持ち込み立ち上げる。

OSのアップロードを済まし、Wordをクリック。
PCの脇にはKindle White Paperの「しゅーぞー」の本を置く。
Wordの書式設定完了。
そこからは、一心不乱に書き殴っていた・・・。

何時間、経ったのだろう。
第一段階の部分まで書き終わった。

涙が溢れていた。

いつの間にか泣いていた。
でも書いていた。
あの当時の体験、感情を吐き出すかのように。
赤黒く、ドロドロとしたそれを。
途中、心配した妻が寝室を覗きに来ていたような気がする。

後で聞いたところ、
「気が狂ったのかと思った」
とのこと。

客観的に見れば、そう映るかもね。
泣きながら、すごいスピードでタイピングしてるんだもん。
狂ってるよね(笑)

キッチンでタバコを吹かす。

「なんだこの感覚・・・。書くっていい・・・」

自分の当時の感覚と向き合う。
吐き気がし、涙が溢れてくる。
それでも書くことで、
何かが出て行く感覚がある。

ちょっと違うな。
出て行くだけじゃなく、
なんか硬かったものが ふんわりと変化していく。

ゼロコーラを一気に飲み干す。
「うっし。」
また、寝室に向かう。

書き始めての3日目。

休みの日は、一日中。
仕事から帰ってきたらトイレの時間以外ずっと。
寝食忘れるとはこのことだ。

こんに集中するなんて、統合失調症になる以来、久しぶりだ。
皮肉だよね。

5日目には、文章校正、推敲も終わり、
出版準備完了。

6日目。
PC脇にKindle White Paperを置き、「しゅーぞー」の本を開く。
Kindle Direct Publishingに登録し、手続きを淡々と進めていく。
因みに初めて出版した際の表紙は、こちら。


素人感満載である。
初めてだもん。
これでいいよ。
おれ、頑張った。

でも、どうしても入れたかった一文を表紙に入れる。
the night is long that never finds the day.
決して明けない夜はない
マクベスの一説だ。

統合失調症から回復した私は、
こころのそこから、こう思う。

だからこそ入れたかった。
そして、今この病で苦しんでいる人やその家族の方に、
ただの一例だとしても、
私の体験したことを知ってもらい、
寛解の足掛かりにしてもらいたかった。

そして出版。
忘れもしない。
9月18日(日)23時だった。

Kindle本の出版と共に、私の中の何かを手放した瞬間だった。

出版した翌日は、「敬老の日」でお休みだった。
ボヤっとするアタマでKDPを開く。

早速、既読KENPがついている。
数ページだが。
23円がロイヤリティとして発生している。

初めての出版と初めての印税。
誰かが読んでくれた。
私の書いた本を。
誰かに伝えたいことが伝わった。

私の中の0→1が現実化した瞬間だった。

吐き出す。吐き出す。とことん吐き出す。

書いて、出版したことで私の何かが吹っ飛んだ。

受験から妻との出会いまでを描いた処女作である、
「統合失調症から回復した、ある青年の記録」
その後が書きたい。

書きたい。書きたい。書きたい。
誰かが読んでくれる。
書きたい。書きたい。

いや。
知って欲しい。
あのときの自分を。

あのときの苦しさやその他、もろもろ。
独りで抱えていた全部。
知ってもらいたい。

気付いた時には、書き始めていた。

自己満足でも構わない。
読者が求めているかもわからない。
だけど書きたかった。
吐き出したかった。

処女作の出版から5日後の9月23日、
第2作目である拙書、
「統合失調症と筋トレ。そしてサウナ」
をリリースした。

その週は、国民の休日が重なっていたため、
体力的に負荷をかけてもどうにかなった。
いや。
体力的にというより、もう衝動的に動いていたので、
疲れなんて感じなかった。

2作目の自作の表紙。
ぱくたそで写真を集め、前作よりちょっとだけ前進したものだった。


Kindle本をリサーチして、よく売れている表紙を
参考にしつつ、作ってみた。
だが、まだまだ素人感強い。

そんなことは、気にせずリリース。
統合失調症の中で、取り入れて良かった、
筋トレ、そしてサウナについて全力で書いた。
書き殴った。
そんな一冊となった。

ここで一呼吸。
「書いた・・・」
そんな実感があった。

でも、まだ なんかくすぶってる。

とは言っても、さすがに疲れた。
ちょっとだけ、休みたい・・・。

とは言っても出版した2作目の評判も気になるところ。
翌日の夕方にはKDPを開き、売り上げを見る。

2作目もすごい読んでもらえている・・・。
1作目も未だに読み続けられている。

書かなきゃ。
次を。
書きたい。
いや。
書いて完結させなきゃ。
この病に対しても、俺自身の過去に対しても。

もう、
娘の大学受験とかどうでもよくなっている。
そういうのではなく、
自分の書きたいと表現したい衝動で
ぐちゃぐちゃになっている。

結局、執筆の休みを取ったのは、3日。
最終話としてまとめるつもりで、
3作目を作り始めた・・・。

1週間半。
書いた。
最後になると思われるものを。

最終章を書いているときに感じたのは、
まぎれもない解放。

ああ、こんな感情を持っていたのか。俺。
こうして、この病を手放すのか。

そして二本の足で歩くんだ。
そんなジワリとした実感があっった。

これが、統合失調症を完全に手放した瞬間かもしれない。



ここまでで、私の中の何かが全部手放せた感じがあった。
スッキリしたと言うのとはちょっと違う、
欠落した感があった。

手放してしまった何か。
わかっていたんだ。
こうなることも。
だけど、ここからが一歩。
全部吐き出したら、ここからは摂取するだけ。

リニューアルによる新しい出会い

3作目も好調。
相変わらず、1作目、2作目もかなり読まれている。

統合失調症での体験をひととおり記し終えた私は、
良くも悪くも抜け殻になっていた。

ただ、今までの毎日とはちょっとだけ違っていた。
一日の終わりの時間にKDPを開き、一日のKENPを確認するのが、
ささやかな幸せになっていた。

どこの誰ともわからない人に、私の本を読んでもらっている。
もしかしたら統合失調症と闘っている方が、
私の本を読んで、改善の糸口を見つけているかもしれない。

そんな自己満足に浸る日々だった。

なんか、空虚になってしまった。
Kindle出版で自分の統合失調症体験を出すまで、
それこそ狂ったように書いていた熱量が、
一気に無くなったから仕方ない。

一行でも多く書きたかったため、
起床時間は朝の4時半。
会社近くの喫茶店で朝から執筆し、
会社の昼休みや帰宅後のちょっとした時間を執筆に充てていたから。

「私は、何をやっているんだろう?」
そんな自問自答を繰り返しては、いつものように
読書にのめり込んでいった。

出版直後のKENPの急上昇が落ち着いてきたころから、
「もっと良くできるのではないか?」と
改善を考え始めた。

出版している3冊を再度、推敲。
誤字脱字だけでなく文章の入れ替え、
本の精度を上げる作業。
久々に集中力が高まる。

やっぱり文章を書くことが気持ちいい。
文章を読むことも好きだけど、
やっぱり書くことが好きだ。
こうしている時間がなんか生きている感じがする。

そうやって見ていくと、
クリティカルに気になるのが表紙。
デザイン能力1%の私が絞り出した表紙。
やっぱりこれが障壁になっている。

Kindle本はファーストインプレッション命。
表紙で気になってクリックされなければ、
読まれない。

今読まれているのは正直ラッキーなだけ。
表紙と題名のインプレッションで惹きつけ、
そして読んでもらう。
それを目指さなければ。

そうなれば、プロに相談するしかない。
お決まりのGoogle先生に相談し、
「Kindle本 デザイン」と検索する。

ランサーズ、ココナラ。
トップに表示されたのは、
聞きなれないサイト。
どうやら個人デザイナーさんたちが、
仕事を請け負うサイト。
フラフラになった頭で、何故かココナラを選択する。

登録完了。
自分でも怖いくらいに進んでる。
Kindle出版の表紙だけでも30以上の請負者がいる。
もうわからん。


金額や評価ではない。
そう思っていたのだが、
画面に映し出されるデザイナーさん達中で、
気になったデザイナーさんがあった。

吸い付けられるようにクリックしていた。

#ひなた猫々

https://note.com/hinata_hnlc

そして、すぐにポチった。
速攻で、お願いをした。
感覚的に。そう直観的に。
全身のそれらが「この人に頼みたい」と思った。
なんかわからんが心の中が「ギュっ」ってした。

ひなたさんは、一つ一つ柔らい。そして、丁寧。
営業かもしれいない。
でもそれもでいい。

正直、無理なお願いをする。
自分が作った不細工な表紙を送りつつ、改善のお願い。
普通だったら、リジェクトする内容。

「いいですよ。3案作りました!」
まじ、神なんですか?
ラフ案を見る。

衝撃が走った。
美しい。

デザイナーさんって本当に凄い。
私のイメージの遥か右上を行く。
統合失調症と言う闇から解放されたイメージそして、再生。
まったくと言っていいほど手直し無しで採用。
急いでアップ作業をする。

わかります?
この美しさ。
デザイン無学のおじさんが、もがいて作ったものとは、
段違いでしょ。

たて続けにひなたさんにお願いをする。
負担になってしまっては、いけないのは重々承知。
だけどこの感性と美しさを見たら、
どうにもこうにも止まらない。

2作目の依頼。
先ほどお見せしたが、筋トレとサウナに関しての書籍。

統合失調症には、やはり体を動かすなどのメンテナンスが
非常に効果的であることを謳った内容。
1作目とはかなり毛色が違う一冊。

天才と言われる人たちは、感覚が違うと思い知らされた。
2冊目の表紙。
これです。


世間一般に言われている統合失調症の暗いイメージ、
どこに行きました?

爽やかすぎ!ってか、アグレッシブ感、半端ない!
突き抜けてしまって、
むしろ「本当に統合失調症の本ですか?」と問いかけたくなる。

私も正直なところ、性格が天邪鬼なので、
即採用でした。

いや。すごい。
戦略的なのか、はたまた、奇をてらっているのか、
正直わかりませんが、私の心の「ド真ん中」。
表現したかったことと、
考えていたことがハマると言う感じを連続で受けた。

もう、ひなたさんにこれからもお願いするしかないでしょ。

デザインも表現者としても一流。

こちらの心を文章から汲み取り、
行間から小さな空気を吸いだす。
そしてその空気に色付けをする。

ごめんなさい。
稚拙な表現かもしれないけど、
私がひなたさんから感じた能力みたいなものが、
感覚的に表現するとそんな感じ。
そして、それは優しくも美しい。
だからすごく惹かれてしまった。

後から知ったのだが、
ひなたさんは、デザイナーとしても作家としても超有名人。
大きなデザインの仕事をなされるだけでなく、
作家としての賞もいただいているという。

大丈夫か?私?
場違い、スジ違い以上の方にお願いし、
そして気を遣っていただいている・・・。
「私、レベルアップしなきゃダメじゃない?」

そう思うと文章の推敲だけじゃなく、
インプットにも力が入る。

今まで以上に読書量を増やし、
自分の中にストックを増やしていく。
「まだ足りない。まだ足りない。」

そういう、もやもやがありつつも、
弱小の私にできることは、前に進むことしかない。

恥ずかしいとは思いつつも、
再度、ひなたさんに表紙をお願いする。

統合失調症の3作目である作品の表紙。
書き終わり、リリースした瞬間に
惚けてしまった作品。

統合失調症を完全に手放したとも思える作品。
そんな思いがあった作品をひなたさんがリバイスした
表紙がこれです。


毎度のことですが、意識が飛びました・・・。
斜め上以上、既に視界の外側に行ってしまいました。
こんなにもしっくりくる表紙はありませんでした。

何でかって。
表紙の男の子。
そして教会。
俯く姿。
全部が既に見ていたものと同じでした。

私が統合失調症から緩解する最後の頃に見た夢。
その夢の中で見たのがこれに近いものだった。

戦後の品川にたたずむ私。
6歳くらい。
何かを追いかけ、何かを探し続ける。
そして、教会に行きつく。
教会に着くと何故か砂場でお山を作る。
だけどすぐ崩れてしまう。
だけど作り続ける・・・。
時間は飛んで5年後、
姿は変わりない自分がまだお山を作り続けてる。
今回は、上手く行ったようだ。
振り返り笑顔を作る。
「よくやったね。」
後ろに立っていた父が言う。

そんな、振り返った笑顔の私のイメージがこの表紙にあった。
「なんだこれ?」
「ひなたさん、なんで?知ってんの?」
軽いパニックを起こしながらも、
ひなたさんに納品了承のメールを送る。

手がプルプルしていた。
じぶんでもよくわかんなかったけど、
早速、アップロード。


ひなたさんの表紙の力は絶大だった。
KENPはどんどん増えてく。
それどころか、海外の方にも読まれるようになっていた。
「すごい・・・こんなにも違うんだ・・・」

1作目はリリースした当初からたくさん読まれていたのだが、
今となっては、KENPは、初月の5倍以上。
私の子達(拙書達)のうち、毎月売り上げの一番をキープ。

こんなにも読んでくださる方がいるなんて。
私の体験を追体験し、何かを感じてくれる方がいるなんて。

まだだ。
書きたい。
売れる、売れないではなく、
まだ書きたい。
そう思うと次の作品を書き始めていた。

書くことが習慣

次々に浮かんでくるイメージを
文章として、形にしていく。
表現する事って気持ちいい。

しかし、文章自体がまだまだ幼く感じる。
もっともっと蓄積が必要。
読書量が増える。

毎日の中から時間を捻出する。
より効率的に。
隙間時間に読む。書く。

生き方が、習慣がガラリと変わった。
この生き方。
嫌ではない。
ここから先、まだまだ変わっていくだろう。
でも今回の変化がこれまでの人生を一変させた。

人生って面白い。
この年齢(40歳)からでも全然変えられる。
そして楽しめる。
Kindle作家としての人生。
わるくない。


最後に、
関わっていただけるすべての方、
特に#ひなた猫猫さま、
本当に一緒に人生の再出発を手伝っていただき、
ありがとうございます。
感謝しております。



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