(あらすじ) 世界は俺たちのようなゴミには、生きにくい。 そして、「ゴミはゴミらしく生きろ」と強いてくる。 仕事に、人生に、意味を見失い、淡々とした毎日を過ごしていた主人公、鈴木 弘毅(すずき こうき)。32歳、独身、ゴミ収集を仕事にする彼の目に飛び込んできたものは、かつての恋人である田中 明(たなか あき)が自殺したとのニュース。弘毅は、明との昔語った自分たちの夢を思い出し、再度、人生の新しい一歩を踏み出す。 弘毅の夢は、小説家。 小説の中で、彼が描くのは、明との幸せな
第10章 ディオスの世界異質な人達 ――――――――――――――――――――― ガン、ガン、ガン、ガン、ガン…… 玄関を叩く音がする。 先ほど、明を送り出した後、仮眠をとっていたにも関わらず、大きな音に起こされる。 昨日も遅くまで執筆をしていた。 仮眠を軽くとった後、一気に今日は書き上げたい原稿があったのだ。 アタマを振り、玄関へと向かう。 新聞の集金であろうか? まったく、アイツらはこちらの都合なんて関係なく、踏み込んでくる。 扉を開け、2、3言葉を交わしたら、「ハイ
第9章 ヒトの世界想像とは創造 私は書いていた。 原稿を、物語を。 ようやく出版社に、そして、世間に認められた私と明の物語を。 出版社からも定期的に催促が来ている。 肌色の罫線が走るアイツが足りなくなるのがムカつくが、こればかりは致し方ない。 近くのコンビニで20枚入りのソレをすべて買占め、書き綴る。 どうせ、原稿料や印税として私の元に戻って来る。 担当者もそんなことを言っていた。 今では、私の生活は一変した。 命を差し出し、くだらない仕事をせずとも、書くことで生きてい
第8章 ハトの世界引いてダメなら押してみよ 「ふ~ん、ふ~ん、ふふふ~ん、ふふ~ん」 明の鼻歌が、耳に入る。 それと同時にベーコンの香ばしい匂いを卵の柔らかい香りが包み込む。 多分……、ハムエッグだ。 朝食が毎朝用意される日常。 こんな日が来るとは思ってもみなかった。 朝から、嗅覚、聴覚が刺激され、満たされる。 幸せというのは、こういう風景のことをいうのだろう。 もう少し、この幸せを貪っていたい。 2度寝の喜び、そして食事が準備されているという日常。 これは、誰しもが求め
第7章 タカの世界献身という自己肯定感 極西の仕事には、私と梶が派遣された。 内容を良く知っている私と、若く、一円でも金を稼ぎたい梶がその任を受けた。 この状況でこれを受けるニンゲンは正直、どうかしている。 隣国発肺炎に最も感染する可能性が高い仕事。 それをあえて受けるのだ。 地獄以外のナニモノでもない。 命をこんなにも簡単に投げだす仕事はないだろう。 そこに、私と梶はいる。 いつもであれば、私たちが収集してきたゴミを投入するゴミピット。 その流入路であるプラットホームに
第6章 キュウカンチョウの世界人を死に至らしめる法律の執行 「いや~。このご時世なので、どうかご勘弁をください。 協力をしたいのは、やまやまなんです。 どうしたって、今回ばっかりは堪忍いただけませんでしょうか?」 一日の仕事を終え、へとへとになって事務所に戻ると、珍しいことに班長が電話に向かって何度もそのハゲ散らかした頭を下げていた。 同僚たちが会社に備え付けの風呂に向かう中、私は事務所の片隅に設置されているソファーに身体を預け、煙草に火をつける。 「また、厄介事か…
第5章 イグアナの世界迫りくる恐怖は、現実か虚構か 「もう、バカ!! 信じられない!! なんで、そういうコト、相談なしにするの!」 目の前では明がいつも以上にムクレた顔をしている。 そんあムクレ顔を見る度に私のココロは一時の安らぎを得る。 多分……、アノことを怒っているのだろう。 こんなにも怒ることではないというのが、私の本音なのだが……。 「なんで志望校を変更しているのよ! しかも私の希望する学校に! 私の希望する学校は理系、そんなに強くないって知っているよね!?
第4章 カメの世界今は存在せず、過去と未来の連続 「だからぁ、弘毅は神経質なんだと思うよ~。 誰もがそんなこと気にしていないんだから、放っておけばいいいんだよ~ 楽しいイベントになると思うんだよ~!」 明からの、明け抜けた楽観的な言葉が聞こえる。 文化祭を一週間後に控えた放課後、私は明と二人、生徒会準備室で話をしていた。 文化祭に参加する一部の生徒たちが、意見書を上げてきたのだ。 その内容にため息が漏れる。 「女装又は、男装し、校内の清掃作業を一番行った者に、逆Mr
第3章 キンギョの世界止まった時計と淡水魚 明は日本に何度か、帰ってきていたようだった。 だが、私は彼女と会おうとしなかった。 連絡が少なくなっていた私は、むしろ彼女と会うべきではないと思っていたのだ。 それだけでない。 なにもできず、なににもなることができず、木偶といった方がいい私を彼女の前に晒したくなかった。 今の私に会ったら、明は絶対にガッカリする。 あそこまで私を認めてくれた明を失望させたくなかったのだ。 彼女からのメールも読まないようにしていた。 新卒派遣とは
第2章 ミジンコの世界無記名者という罪人 結局、その日は仕事が手につくわけが無かった。 いつもだったら決してしない失敗。 ヘルメットを同僚からスパナで叩かれるほど、ボーっとしていたのだろう。 明が自殺した……。 あの理想を追い求め、まっすぐに進んできた明が、死を選んだ。 ひとときではあったものの、彼氏彼女の関係となり、そしてお互いの夢を語った相手が……。 「明日もそんな調子だったら、明後日にお前のロッカーはないと思えよ!」 帰りぎわ、班長が私の尻に蹴りを入れながら言う
正直、こういうのは苦手だし、 なんだかハズカシイ気持ちでいっぱいになるので、 あまりやりたくは無かったのだが面倒くさい知人から、 「しっかりと発信しろ!」 と、言われたので、まとめてみた。 統合失調症から回復したある青年の記録 私の処女作。 涙を流しながら書き殴った1冊。 感情のままに、書いた1作目。 私の体験してきた「統合失調症の事実」をありのままに書いた。 同じような境遇にある方に向けて、 ほんの少しの参考になればと書いた。 正直、書いた私自身が、癒された。
第1章 Kindle作家をはじめてみた書き始めてみた 9月の上旬になぜか「フッ」と沸き上がったのだ。 それは、娘が大学受験勉強に本腰を入れはじめたことが きっかけだったのかもしれない。 私が、統合失調症を発症した大学受験に娘が挑戦する。 私は、果たしてあの頃から変わったのだろうか・・・? 統合失調症は、数年前に寛解した。 もう、薬を飲まなくなって何年になるだろう。 寛解は、本当にゆっくりと、 気付かないところで進んでいき いつの間にか妄想や幻聴がなくなっていた。 今
今日は世界統合失調症デーらしい。 こんな日が来るとは、思ってもみなかった。 世界は、いろんな人にちょっとだけ優しくなったのかな? この病に少しでも理解を示してくれる人が増えたら、もっともっと誰しもが生きやすい世界になるのかも。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BFNCDXV2
表紙をお願いしたひなた猫々さんに、素敵な紹介動画を作成いただきました! 私の大切な一冊をより高いところへ導いてくれる方です! 統合失調症の急性期には、ツライ幻聴が付きまといます。 それを表現していただいています。 是非、見てください https://www.youtube.com/watch?v=2VEx5nM0Qwc
神様。 俺は問いたい。 俺は、願って良かったのだろうか。 統合失調症シリーズ最後(?)の 「統合失調症が落ち着きそうなので、今度は、神様にお願いしてみた」の ペーパーバック登録が先日終了した。 もちろん、表紙、裏表紙は、 作家としてもデザイナーとしても最上級のスキルを持つ、 ひなた猫々さんの作品だ。 私の文章をより高めてくれる、 そして、美しく装飾してくれる「作品」である。 その「作品」に見合うよう私もライティングを上げていかなければ。と、 猫々さんの「作品」に触れる
わお。 先日行った無料キャンペーンでカテゴリ別の1位をいくつか、いただきました。 正直、冷静に書いているのですが、心の中、バクバクです。 これは、ひとえにひなた猫々様と図書館長けんいち様のお力があってのことです。 私一人では、ここまでこれなかったです。 感謝。