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植物の徒長を防ぐには頭を抑えたら良いかもしれない説

植物に話しかけるときれいな花を咲かせるという都市伝説があります。

自分が「きれいな花を咲かせてね」と独り言を言っているのを想像するのはちょっと怖いですが、そのくらいに丹念に世話をしていればきっとお花だって答えてくれると思っています。

それでは、「植物の頭を抑えたら徒長が防げる」ということを言ったらどう思うでしょうか?

それもまた、都市伝説のように聞こえます。植物を抑えてもきっとどんどん成長してしまうだろうと思います。

しかし、実際には植物に抵抗を与えると徒長を防ぐ効果があります。

実際トマトの頭を押さえることで徒長を防ぐことができるという研究がある

トマトの高密度移植において、物理的抵抗を用いた機械的刺激により、ブラッシングと同等の高さ抑制効果が得られました。

抵抗と言っても電気の抵抗ではなく、平たく言えばビニールです。

研究においても安価な材料を用いることで徒長を防ぐ方法を検討しており、実際にマイラーフィルムをプラスチックフレームに貼った透明なシートを抵抗として使っている。

このフィルムシートは高価なアクリル板と同等の効果があり、66N・m-2の圧力をかけた場合には、植物の高さは無処理のものより40mm低く、処理期間中の伸長率が40%低下したといいます。

また、茎の直径が18%太くなった。無圧力(25N・m-2または50N・m-2)ではもちろん茎の伸長は低下しませんでした。

高さの制御は、固い素材(マイラーフィルム)でも透過性の素材(グラスファイバー製の防虫スクリーン)でも同じ効果があり、空気の動きを制限することは成長反応の重要なメカニズムではないこともまた示されました。

また、一晩処理した場合には望ましい成長反応が得られましたが、(無処理に比べて27mm短く,伸長率は30%低下)0.5時間処理した場合には商業的な観点からは十分な効果が得られなかった(11mm短く,伸長率は10%低下)。

これらの実験は、安価な材料でトマトの移植の高さを制御するために、商業生産条件で抵抗を使用できることを示しています。

しかし、十分な高さ制御を行うためには、大きな力を加え、1日の処理時間を長くする必要があります。

Garner, Lauren C., and Thomas Bjorkman. "Using impedance for mechanical conditioning of tomato transplants to control excessive stem elongation." HortScience 32.2 (1997): 227-229.

植物が自由に成長することはのびのびと生きているようで、とても望ましいように思いますが、農作物や観葉植物といった商品となる植物においては、ある程度管理がしやすいような成長をしてくれたほうが良いわけです。

トマトの幹が細く折れやすいと、たわわに実ったトマトの重さで折れやすくなったり、ぶどうのつるが、あまりに上に伸びてしまうと収穫できなくなってしまうからです。

成長をコントロールする方法として科学的なホルモン剤を用いる方法もありますが、棚を作って収穫しやすいように育てたり、物理的な刺激を与えて成長しすぎないようにしたりすることで、農家はよりたくさんの仕事ができるようになり、収入も増えます。

私の好きな多肉植物は光が少ないと徒長しやすいですが、そういったところでももしかすると物理的な刺激を与えて、伸びないようにすることがもしかするとできるかもしれませんね。

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