ガンバレ!水の生き物たち (自分らしくないタイトルだ)
今年の芒種は6月5日です。
芒種を詠んだ句で、とても好きな句があります。
ごんごんと芒種の水を飲み干せり 夏井いつき
さすが夏井いつきさんですね~。
姿がいさぎよいです。
歳時記によると、
「このころから田植が始まり、天候は梅雨めいてくる」
水に今までにない力が漲ってくる頃、
というイメージでいいのかなあ。
夏井さんの句は、
水の力に引き出される人間の力まで描写しています。
水ぐるま鋼光りに芒種かな 梨鱗
(みづぐるま はがねびかりに ぼうしゅかな)
水が強く光輝く川辺ですが、しばらく佇んでいると
数か月前とはちがい実に多くの生き物が目に映ります。
みづすまし馳せて水面にうすき皺 梨鱗
この句のみずすましは、アメンボのことです。
去年初めて気づいたのですが、
アメンボは跳ぶ時、上流へと跳びます。
下流へ跳ぶと、水流に呑まれてしまうのでしょうね。
流れる水を時間にたとえるなら、しきりに上流へと戻るのは、
まるで消えてしまった「今」を取り戻そうとしているようです。
手に入らないものを追い求める人間の姿が、重なります。
まひるまの星踏むこともみづすまし 梨鱗
注記
みずすましとアメンボは別の生き物ですが、昔は混同されていました。
俳句の世界でも、アメンボをみずすましと呼んでいます。
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2022年7月、句を一部修正しました。
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