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感染流行記・その1



大夕焼ひとを焼く火のそろそろ来


その昔、京都の鴨川には
疫病で亡くなった沢山の死体が置かれていました。
その話が頭を離れません。

きっかけは数か月前のニュース番組です。
ニューヨークやブラジルでは
コロナウィルスに感染して亡くなった方々を埋めるために
空き地にたくさんの棺桶が並んでいました。

もし今の日本で、
ぎりぎりの状態で保っている(訳ではない)
均衡が崩れたら
どんな惨状になるでしょう。

そんなことを考えていた矢先、
消防隊の車が鉦を鳴らしてやってきました。
感染拡大を防ぐため不要不急の外出をしないようにと
拡声器で要請して去りましたが、
火事が近いのかと危ぶみました。

かつての鴨川は、置かれた死体は腐敗するに任せ
荼毘に付していた訳ではないようですが、
鉦の音が僕の脳内に大きな火を呼びこみました。

いや。
鴨川にいま、大火はありません。
そしてここへも、その火が来ませんように。

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