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たんぼLOVE「1月」

手袋に、毛糸の帽子
マフラー
それから、イヤーマフも。
とても寒がりな僕が外出するときは
これらをぜんぶ着けています。
ここまでの重装備、辺りにはちっともいませんが。
人目を気にしない性分です。

だから、すこし寒さのゆるんだ夜なら。
気温の変化を、敏感に感じとります。
大寒という一年でいちばん寒い季節に
つぎの季節の、こっそりとした足取りが。
頭上には、はちみつドリンクのような色の
お月さま。
堂々と照り輝いて、
三寒四温のころとなりました。

寒さのもどった帰り道なら。
今よりずっと田んぼのひろかった昔を
思ったりします。
夜という時間は、もっと荒涼としていたのでしょう。
頭上には、スワロフスキーよりも我儘そうな
お星さま。
寒さに疎外された人間をほったらかしで
にぎやかに瞬きます。

こんなに寒い季節なのに、
もうちょっとつづいてもいいかも、と
少しだけ思ったりするのです。


      大判の月をかかげて四温の夜    梨鱗

      わちやわちやと昴もつるる冬田道


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