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はる

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春の俳句をまとめました。
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はじめに

はじめまして。 lylinと申します。 漢字で書くと、梨鱗です。 俳句をはじめてまだ数年の初心者なのですが、 自作の俳句や文章を載せていこうと思います。 俳句は考えていけばいくほど、むずかしくなります。 文章も、推敲していくうちにどんどん変になっていきます。 でも、気楽な気持ちも忘れずにやっていこうと思います。 よろしくおねがいします。    春風や方位磁石をポケットに    梨鱗 わー、自作の俳句を載せちゃいました。

【俳句】ティータイム 春から夏へ

根っからの甘党なのに コーヒーはミルクも砂糖も入れたくない。 「入れたくない」は「いらない」より厳しい言い方。 だから、ぼくのブラックコーヒー好きは 反抗的気分のあらわれかもしれない。 人の声のとどく距離にいてみたいけれど あなたが考えていることに興味もあるけれど そんな場処にしばらくいると やっぱりそこから離れていたい。 ごめんなさい。 我儘だね。 わかれ際には、なるべくにこやかでいますから。 (欺瞞かな?) 人の世の中に放り投げた問いは 人のことばで返ってくるらしい。

【俳句】ことしの春は。

カストールとポルックス。 双子座のなかでならんで輝く2つの星は ギリシア神話の兄弟にちなんで、その名をあたえられました。 以前、べつの記事でも書きましたが、西洋占星術が好きなLylin です。 ふだんはちっとも身を入れて勉強していないのですが、 今年の春は数年ぶりのマイブームでした。 出生ホロスコープを読むと、どうもLylin の人生には カストールとポルックスが中々な働きをしているのでした。 カストールは明、ポルックスは暗。 頭の中でダークな世界とのほほんとした世界を

【俳句】ゆめにほろほろ

よく夢に出てくる男がいる。 あいつが夢に現れた朝は、いつも少し忌々しい。 ぼくはあの男の後輩で、後輩のくせに生意気な口をきいた。 ぼくの生意気さを、あいつはどこかよろこんでいた。 ぼくは目敏くそれを見抜いて、そして知らないふりをした。 あの男はぼくを「女」だと言った。 ぼくの身体に触れるのを、愉しんでいた。 触れた時に顔をゆがめるぼくの表情を、愉しんでいた。 つき合っている女性がいても、 浮気をやめないどうしようもない男だった。 当時から女性嫌いの傾向があったぼくは 「

【おさんぽ俳句】お花見とパン

しろ 黄色 しろ しろ ハム色 レタス色 しろ パン屋でサンドイッチを買ったら、駅の改札口へ。 ふだんは出不精な Lylin ですが、今日はお花見の気分です。 しらない街のしらない公園に行ってみます。 公園の桜は、満開にはもう一歩。 それでもたくさんのひと達が 地面に敷いたシートにつどっています。 いわゆる「桜の名所」だったのですね。 ネットで事前情報を調べないほうが たのしいじゃん。 なんて出掛けると、うっかり人だかりに 鉢合わせします。 ひとは花を見るのとおなじく

たんぼLOVE「3月」ふたたび

河津桜も 木蓮の開花も いつもより早めの春でしたが 3月になると、季節はすこし足ぶみを。 一雨ごとに順調に 青い芽をのぞかせてきた田んぼでも、 ほとけのざ 花なずな レンゲに たんぽぽ いつものメンバーは 登場をためらいがちです。 でも、 もうじき いつもの棟梁さん達がやってきます。 のんびりと、にきにぎしく この場処を塗りかえるのです。 ことしの田んぼは どんな景色を見せてくれるのでしょう。 夕時の水ぎわに立ち、思ってみます。 そして。 明日という日を なんとなく待って

【俳句】鳥たち帰る

鳥帰る 雁帰る 鶴帰る 秋に南下した渡り鳥が 春になって北へ帰るという言葉。 陸地から飛び立つ群れを じっさいに目にしなければ、 帰ったことに気づけません。 いつもの水辺にいつもの鳥が いなくなったことを知った時にはもう 旅立つ姿は、頭上の空にないのです。 人生100年時代と言われ、 どれくらいたったでしょう。 でも、実は。 したいことなんて、それほどないのです。 ごはんを炊いて お風呂をつくって すこし、笑って うんと怒って(あらあら) ストレッチもしておきますか。

たんぼLOVE「2月」

この日の散歩は、なんとなく そわそわ、ふわふわしていました。 なぜでしょうか。 田んぼを見ると まいとし2月のこのころは 厳めしい顔つきなのに すこし、ゆるんでいませんか? あ、暖冬か。 気温のあたたかな日は 日ざしまで強く感じてしまうから 不思議です。 地球は、あたたかな年もそうでない年も 軌道のおなじところを通っているのに。 田んぼの顔がなごんで見えたのも 気温のせいでしょうか。 おっと。それだけではありません。 昨夜の雨があがった畦道から いっせいに顔をだした花。

おさんぽ俳句「はるとねこ」

大きな街道から一本、道を逸れてみる。 壮麗な、けれども やねの片はしの大きくこぼれた神社。 人から忘れられたように 咲いていられる桜も、あるんだ。 あいにくの天気は 満開にうってつけだったりするし。 境内には神楽殿もあって 往時はさぞかし にぎやいだことだろうけど。 祀られることを忘れた神は それでもまだ、 ここら辺りにさまよっているのだろうか。 よく肥えた猫が、ぶるんと腰を上げ 社殿の裏手へと消える。 じぶんの縄張りの誇らしい春を ちょっとのあいだ 人にも見せてやる

さよなら春 2023

うかうか。 これほど僕の毎日を うまく言い当てた オノマトペは他にありません。 そわそわ。 ああ、そうでした。 うかうかしている自戒の念、 そいつが居ごこちを悪くするのです。 ふらふら。 だからといって あちこち覗きまわるのか。 今さら何も見つからないでしょう? ふんわり。 春のおわった印象です。 だなんて言って、ごまかします。 手ゴタエアリマセンデシタ、を言い換えて。 ❅  ❅  ❅ ことしの春を俳句にしました。

たんぼLOVE「4月」

  風やめば天使のはしご春田打   梨鱗 4月ともなると町にも小川にも さまざまな花があふれ、おおにぎわいです。 桜を追って八重桜 薔薇にさきだって木香薔薇 その薔薇もつぼみをふくらませ、 水辺では菖蒲の葉が伸びやかに。 そんな中、田んぼでは丈の低い雑草が 先月とかわらず風にゆれるばかりです。 ある日の朝、オレンジ色のトラクターが 田んぼの端にぽつねんと置かれていました。 なんか出て来たなあ。 なんて思っても、忙しい朝ですから素通りです。 ところが。 翌日にはちゃんと

たんぼLOVE「3月」

  かけ出す子とまる子飛ぶ子春田の子    梨鱗 3月初めなら 田んぼはまだ冬の眺めです。 風に晒された土に、枯れた雑草。 去年の切株がほろほろに崩れています。 そこへ雨がやってきました。 二日ほどつづいた雨のあとの翌日か翌々日。 何気なく田んぼを眺めてみると、あっと驚きます。 あちこちに緑色の草の領域が生まれています。 すでに「下萌」という状態を数段とばしで 「草萌ゆ」という段階です。 春の息吹は、こんなにもしなやかに伸びやかでした。 冬とはちがう表情になった田んぼには

【俳句】花便り

手紙をもらったら、返事を書かなくてはいけません。 なんだか、とても、おっくうです。 なんだか、と、とても。両立しない副詞です。 返事を書く以前に読まなくてはいけなくて、 人の話をさいごまで聞けないお調子者なのに ましてや文字など追えますか。 手紙恐怖症になれというのでしょうか。 大丈夫。 返事を書かなくてもいい 手紙があるのです。 ちょっと歩いた先の幼稚園で 桜が、もう、こんなに早く、 咲いていました。 「かわづざくら」と ひらがなで書いた名ふだが誇らしげです。 もうち

【俳句】はるのゆき

   木々の間に春雪を踏む音すなり   梨鱗 気のせいばかりではありません。 立春をすぎると、なんだかやはり春らしい。 空の色なんて チューブの中でカチカチに固まった 絵の具のようだったのに このごろは水で溶いたようにゆるんでいます。 それでも今週は、たいそうな雪にやって来られました。 1月はほとんど降らなかったので 今年はじめての雪らしい雪は、立春すぎでした。 もとより雪の少ない地域です。 雪が降るだけでも特別ですが、春の雪となると その言葉の美しさから、一層とってお