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スピッツ歌詞考察(第27回)愛のことば


【基本情報】

愛のことば
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
4分22秒

<リリース日>
1995年9月20日(6thオリジナルアルバム「ハチミツ」)
2014年7月15日(39thシングル)
※「ハチミツ」からシングルカットされ、「愛のことば -2014mix-」として配信限定でリリース

<収録アルバム>
ハチミツ(1995年9月20日リリース 6thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(2017年7月5日リリース)

<タイアップ>
フジテレビ系ドラマ「あすなろ三三七拍子」主題歌(-2014mix-)

<備考>
根強い人気を証明するかのように、19年の時を経てリミックス作がシングルカットされた。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

限りある未来を 搾り取る日々から
脱け出そうと誘った 君の目に映る海

命には限りがある中、未来を搾り取られていると感じる日々から抜け出そうと誘った“君”の目に映る違う世界。

くだらない話で 安らげる僕らは
その愚かさこそが 何よりも宝もの

くだらない話で安らげる僕らは愚か者かもしれないが、それこそが平和の証しであり、何よりの宝ではないか。

昔あった国の映画で 一度観たような道を行く
なまぬるい風に吹かれて

昔あった国の映画で、一度は観たことがあるような道を行く。
なまぬるい風を感じながら歩いている。

今 煙の中で 溶け合いながら 探しつづける愛のことば
傷つくことも なめあうことも 包みこまれる愛のことば

煙が立つ場所で、一度観た映画の内容とリンクしながら“愛のことば”を探しつづける。
傷ついたことも傷をなめあったことも、全て包みこんで癒してくれる“愛のことば”を。

優しい空の色 いつも通り彼らの
青い血に染まった なんとなく薄い空

「青い血」(Blue Blood)は、「高貴な生まれ」という意味で訳されることがあるそうです。
この世は常に高貴な生まれの人たちに支配されており、優しい空の色でさえ、なんとなく無情に感じる。

焦げくさい街の光が ペットボトルで砕け散る
違う命が揺れている

「焦げくさい街」=「焼け野原」
「ペットボトル」=「爆弾」
「違う命」=「映画の登場人物」

今 煙の中で 溶け合いながら 探しつづける愛のことば
もうこれ以上 進めなくても 探しつづける愛のことば

煙が立つ場所で、一度観た映画の内容とリンクしながら“愛のことば”を探しつづける。
もうこれ以上、生きていけないとしても、“愛のことば”を探しつづける。

雲間からこぼれ落ちてく 神様達が見える
心の糸が切れるほど 強く抱きしめたなら

「雲間からこぼれ落ちてく神様」は独特な表現ですが、神様は雲の上にいるものとして、それがこぼれ落ちてるので、神様が神様としての意味を成さなくなったということではないかと考えました。
つまり、心が張り裂けそうなくらい強く抱きしめながらかけた“愛のことば”は、神のことばでさえも及ばない。

昔あった国の映画で 一度観たような道を行く
なまぬるい風に吹かれて
今 煙の中で 溶け合いながら 探しつづける愛のことば
傷つくことも なめあうことも 包みこまれる愛のことば
溶け合いながら…

「昔あった国の映画」は、おそらく戦争の映画でしょう。
「なまぬるい風に吹かれて」は、道を歩いているときに当たった風がなんとなく不快に感じ、戦争の映画で観た爆風のシーンと溶け合いました。
煙が立つ景色も、ペットボトル型の爆弾が閃光を放ち、街を焼き尽くすシーンと溶け合いました。
そして自分は、戦争で亡くなった兵士と溶け合いながら、傷ついたことも傷をなめあったことも、全て包みこんで癒してくれる“愛のことば”を探し求めています。
最愛の人に伝えることも、与えてもらうこともできずに消えてしまった“愛のことば”を探すように。

「限りある未来を搾り取る日々から脱け出そうと」したいのは、自分も兵士も同じ。
本来は「くだらない話で安らげる」のに、戦争ではそれが「愚かなこと」とされる。
このように、主人公が日々感じていることが、昔あった国の映画で観たような兵士と重なり合い、“愛のことば”を探し求めるのでした。

ということで、「死」がテーマの曲であると考察しました。

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