半導体産業について #13 IPベンダー #1

株式会社リュディアです。今回も引き続き半導体産業についてまとめてみます。

前回までの 半導体産業についてのまとめ へのリンクは以下を参考にしてください。

今回から半導体IP を提供する企業についてまとめてみます。まず半導体IP についてです。IP = Intellectual Property の略です。そのまま翻訳すると知的財産、日本語で略して知財になります。半導体の世界で IP と言った場合には、再利用可能な部品で、かつその部品には知財やノウハウが含まれているもの、という意味になります。通常の知財とわけて考えるため、半導体IP やシリコンIP という呼び名を使うこともあります。このまとめでは半導体 IP という記載で統一します

いろいろな分類方法があると思うのですが半導体IP は大きく2つにわけることができます。1つは工場の製造ラインに準拠したハードIPや Physical IP と言われるもの、他方はハードウェア記述言語 = HDL で記述されたソフトIP と言われるものです。

ハードIP は例えば TSMC の 40nm のライン向けに作られたものは、サムソンの同じ 40nm であっても再利用できません。同じ 40nm であっても工場が異なるので特性が異なるためです。ハードIP に分離される IP はアナログ回路、標準セルや標準メモリ(SRAM)、標準入出力などです。標準と名のついているものは多くの工場で工場やベンダーごとに準備されています。アナログ回路は多岐に渡りますが、クロックを生成する PLL、皆さんも日常的に使っている HDMI や USBの高速通信部が該当します。

一方のソフトIP はハードウェア記述言語で提供され、EDAベンダの論理合成ツールでハードIP である標準セルや標準メモリで構成された回路に変換されるものです。厳密にはハードウェア記述言語で顧客に提供すると内容が見えてしまうので暗号化されていることが多いです。こちらは工場に依存しないものです。

半導体IP の登場により設計効率があがり開発時間が短くなりました。また半導体IP として閉じている部分は不具合が存在しないことが多いのでいわゆる設計ミスも混入しづらくなりました。また半導体IPを使うことで大規模な回路を開発可能になりました。EDAツールの進化と半導体IP の影響で、開発期間の短縮と大規模化が同時に達成されたと言えます。

では実際に半導体IP を提供する IPベンダーにはどのような企業があるのでしょうか?以下の記事の表と円グラフを見てください。

いろいろなIPベンダーが掲載されていますが圧倒的に巨大なのが ARM(アーム)と呼ばれる CPU Core の IP ベンダーです。ARM はソフトIP だけでなく、工場に準拠するハードIP も提供しています。2004年に Artisan というベンダーを買収しているためです。以下のニュースを参考にしてください。

また2016年にソフトバンクがARM を買収し、今 NVIDIA が ARM を買収しようとしていますが、いろいろと障壁があるようです。例えば以下のニュースを参考にしてください。

またARM の中国市場を担当している ARM China もいろいろと問題があるようでトラブル続きですが圧倒的に大きなIP ベンダーです。この中国での ARM のニュースはなかなか大変そうです。

次回からはハードIP とソフトIP についてまとめてみます。

半導体産業について に関するまとめの続きは以下からどうぞ。

では、ごきげんよう。


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