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今年も熱かった!学生によるゲーム開発コンテスト『Unityユースクリエイターカップ 2021』

青木ととです。いつの間にか今年も終わっちゃいますね。
早速ですが今回は、UnityJapan主催の学生向けゲーム開発コンテスト『Unityユースクリエイターカップ』 がとても熱かったので紹介させてください🎮

Unityユースクリエイターカップとは

『Unityユースクリエイターカップ』 (以後、Unity杯) は、高校生・高専生(3年生以下)および小・中学生を対象としたゲーム開発コンテストです。昨年度までは『Unityインターハイ』という名称で開催していましたが、近年は中学生以下の参加者・受賞者も増加していることから、大会名を変更しています。

今年のUnity杯ですが、全国各地から140の作品提出がありました。そこから審査員による1次審査を経て55作品に、さらに2次審査を経て12作品に絞られました。先日 YouTubeLive にて放送されたUnity杯の本選では、12作品のプレゼン発表・質疑応答が行われ、審査員賞 / シルバーアワード / ゴールドアワード、そして準優勝、優勝の作品が決定しました。

本選の様子ですが、YouTubeにてアーカイブが公開されているので、是非チェックしてみてください。

中学生コンビが優勝・準優勝🏆

既にTwitterやプレスリリースにて発表されていますが、本年度の優勝は「BREMEN」を制作したチーム「sai」宮城 采生さん、準優勝は「FRAME RUNNER」を制作したチーム「Yozhik game system」の下平 陽士さんです。お二人に共通する項目は、中学生であること。現時点で宮城さんは中学2年生、下平さんは中学3年となります。

チーム「sai」宮城 采生さん
チーム「Yozhik game system」下平 陽士さん

宮城さんは2018年大会にて「オシマル」という作品を提出し、準優勝を獲得しています。「オシマル」が他にもU-22プログラミングコンテストなど、様々なコンテストにて賞を獲得しました。当時10歳、界隈に衝撃が走りました。ぜひ インタビュー も読んでみてください。その後、30以上のミニゲームや試作プロジェクトを経て、今回の優勝に至ったとのこと。本当にゲーム開発/プログラミング好きだというのが伝わってくるエピソードです。

数々のプロトタイプを経て完成した「BREMEN」

下平さんは昨年度の2020年大会にて、初めて作った作品「My way.」という作品で本選出場を果たしています。透明化というロジックを駆使した白黒でシンプルながらとても分かりやすいゲームでしたが、「FRAME RUNNER」はゲームデザインも見せ方のクオリティも大幅にパワーアップ。

昨年度の本選出場作品「My way.」
こちらが今年の本選出場作品「FRAME RUNNER」
奥行きを感じさせるデザインがゲームの内容とも強くマッチ

両者の他にも、音ゲーRPG「HEART DISK」を開発した二瓶 朝渉さん、「グーチョキパニック」を開発した乾 凌太朗さんも昨年度に引き続き本選出場となります。各作品を見ると、既にそれぞれ作家性のようなものを感じられます。今後のアウトプットも非常に楽しみです。

クオリティの高い作品によるハイレベルな戦い🆚

昨年に続き、本年度の提出作品は非常にレベルが高いものでした。ここからは個人の意見となりますが、ゲーム開発は非常に複雑です。それぞれが考えたコンセプトを具体的な仕様 / ゲームデザインに落とし込み、レベルデザイン(ステージ設計)・グラフィック・仕組み・音などを実装 (時には素材を使い代替) する必要があります。

「THE FIFTH SENSE」は音で探るFPSで、効果音1つ1つに拘りが感じられる

さらに、ゲームは他のエンタメと少し異なり「ユーザが操作する必要があり、操作に対して何らかのフィードバックが発生する」という特徴があります。操作は基本的にはゲーム毎に異なり、ユーザは都度学習する必要があります。これが複雑であったり、分かりにくかったり、一度に覚える量が多かったり、期待したフィードバックが得られなかったりすると、ユーザは直ぐに自分が理解出来ないものとしてゲームから離れてしまいます。

逆に、入力に対して期待通り、もしくは期待以上のフィードバックを得られると操作を好意的に解釈します。

Unity杯の本選出場作品は、この実際に触ってみないと分かりにくい「分かりやすさ」や「気持ちよさ」のような要素の水準が非常に高いのです。どの作品も当然のようにチュートリアルが実装されていて順序よく操作を覚えられたり、ゲーム内や世界観に溶け込むように操作説明が配置されていたりしています。また、トランジションやシームレスなカメラワークを利用して画面転換することで、唐突感を減らして「気持ちよさ」に繋げている作品もいくつもありました。

「STAR STICK SHOOTING」ではプレイヤーにストレスを与えないため
シームレスな演出を心掛けていた
「植物少女とリモートの旅」入力のバッファを意識していた操作性。
振動も魅力的なフィードバックの1つ。
「グーチョキパニック」は誰もが知っているじゃんけんを利用して直感的にわかりやすく遊べる

そういった基礎土台がほぼ完璧に出来ている状態で、なおかつオリジナリティあるコンセプトをドーンと乗せてくるので本当に素晴らしいと感じました。こういうの皆さんどこで勉強するんだろう、学校の授業とかではやらないと思うので、市販のゲームを分析して落とし込んだりしていたりするんでしょうか。めちゃくちゃ気になります。

「Annulus Games」は誰でも遊べる弾幕STGを目指し
見た目の派手さやアイテムジャラジャラ感をキープしつつ、別のシステムで代替した

今回のプレゼン動画はテクニカルな部分のお話は少なく、コンセプトや企画ベースの「考え方」な話が多かったので「これからゲームを作りたい!」という人が見ても参考になる部分が多いと思います。それとは別にテクニカルな側面も普通に気になるので、機会があれば皆さんどこかでトークしてくださいお願いします。

次の参加者はこれを見ているあなた!💪

恐らく今回の本選を見た学生の皆さんは、これを見てすごく刺激を受けたのではないでしょうか。来年も「Unityユースクエリエイターカップ2022」の開催を予定しているので、是非今からチャレンジしてみてください!

「植物少女とリモートの旅」の安田さんは昨年のUnityインターハイ2020を見て
「来年はこの舞台に立ちたい!」と思いUnityを始めたとのこと。まさかのUnity歴1年未満

ゲームの作り方のヒント

……とはいっても、これからUnityを始める人にとっては何というか「別世界」のように思えてしまうかもしれません。実際は地道に経験値を積んでいくしかないのですが、ある程度ヒントが欲しいという方に向けて、主にUnity杯の本選の合間に流れたCMからいくつかコンテンツを紹介していきます。

Unityの池和田さんの紹介するUnity学習サイト

UnityLearnはUnity公式のチュートリアル等を掲載しているサイトなのですが、TOPページが英語なので「ひいい」ってなってしまう人もいるかもしれません。一部のコンテンツは日本語化されていて、さらに初心者向けにまとめたページも用意されているので、そちらを参照するのが良いでしょう。

https://learn.unity.com/course/unity-tutorials-for-beginners-jp

公式が用意しているチュートリアルの他にも、様々な方がチュートリアルを公開/販売しています。 Udemy の ユニティちゃんが教える!初心者向けUnity講座 や baba_s さんの Unityで作る2Dアクションゲーム v1.0.0 、その他各種書籍など様々な媒体で用意されているので、この辺りは自分が気に入ったもの、とりあえず手を動かせるイメージが湧くものを探してみると良さそうです。

https://learning.unity3d.jp/

もう一方のUnity Learning Materials はUnity公式イベントの動画や各種勉強会の動画を掲載しているような学習サイトです。自分が気になるトピックの動画を掘り下げて見ることもできたりするので、非常にオススメです。

TOPページをスクロールすると「Unity初心者にオススメ!」な動画も
どの動画もオススメです。

マインド的な話であれば、途中で流れた「Making Your First Game: Basics - How To Start Your Game Development」という動画がオススメです。英語の動画ですが、日本語字幕を付けることができます。まずは小さく完成させて、自信を付けて、出来ることを増やしていって … みたいなループが作れると良いですね!

ある程度Unityに慣れてきた方は『Unity1週間ゲームジャム』という企画に参加するのも良さそうです。 クリエイターがUnity製のゲームを投稿できるサイト unityroom で開催されている「お題に沿ったゲームを1週間で作ろう!」という企画です。

https://unityroom.com/unity1weeks

短い時間でパッと実装することで、コンセプトの検証もできるし、完成する自信も得られるし、いい感じの反応が得られたらそのままボリューム増したり調整したりしてUnity杯に出しちゃおう!という技が使えます。なんと次回開催は今年 (2021年) の 12/20~26 !興味のある方はチャレンジしてみると良さそうです。

Unity杯のルール的にも他のコンテストに参加した作品を応募するのは問題ない

ゲーム作りと制約

それでも「プログラミング難しい」「絵が描けない」という話は出てくると思いますが、ゲームはある程度制約や前提がある方が面白くなるケースもあります。前述のUnity1週間ゲームジャムもお題ありきでゲームを考えるので、普段思い付かないようなアイデアが思い浮かんだりします。最初から全てを完璧に出来る人はいないので、最初は自分の出来ること (出来ないこと) をテーマにアイデアを列挙するのがコツです。

例えば絵が描けないとしたら「●と▲と■だけを使ったゲーム」「フリーフォントだけを使ったゲーム」みたいな制約からスタートすると色々アイデア出てくるかもしれないですし、難しいプログラミングができないとしたらチュートリアルをカスタマイズして「玉転がしゲーム×身近な物や仕組み」みたいなテーマも面白いかもしれません。そういった経験を通じて、どんどん出来ることを増やしていきましょう。

「Balloon Head 2」はアクションゲームと風船の特性を組み合わせたゲーム

ゲーム作りを楽しもう!

今回のUnity杯、準優勝の下平さんは「ゲームを作る体験をしたことをない人がいたら是非作って見てください、本当に楽しいです」とコメントしました。ゲームが初めて動いた時、自分が作りたいものを作れた時、自分が作ったゲームの感想をもらった時、一緒にゲームを作ったり見せあったりする仲間ができた時、前には出来なかったことができるようになったと成長に気付く時、あらゆるタイミングでゲーム制作は感情を揺さぶってきます。ぜひ一度、チャレンジしてみてほしいです。

今年は140作品の提出がありましたが、来年は更に多くの応募があると良いですね!皆さんの参加お待ちしております。例年通りであれば、8月末に作品提出の締め切りがありますが、詳細は2022のWebサイト公開をお待ちください。

各作品の個人的な感想📝

ここから各作品に対する個人的な感想をざっくりで書いていきます。あくまで個人的な意見なので色々ご容赦ください🙇‍♂️ なお、各作品は Unity杯のWebサイト よりDLして (一部はブラウザにて) 遊ぶことができます。

HEART DISK

サイバーでシティポップな世界観に独自のセンスを感じる

昨年度「BEAT H!TS」を制作された二瓶さんによる音ゲーRPG。チームロゴが (チーム名の「三度目のUnity」にかけて) beatmania Ⅲ のパロディになっていることからも分かる通り、二瓶さんはかなりの音ゲー好き (というか beatmania Ⅲ の頃って二瓶さんまだ生まれてないのでは?) 音ゲーしながらコマンド切り替えするタイプの戦闘、結構直ぐ慣れたので楽しかったです。一戦がそこそこ長い代わりにシンボルエンカウントのみで戦闘自体の頻度は控えめ、しっかり曲を聴かせる感じ。音ゲー経験者にはちょっと戦闘は間延びしがちなので、難易度によって威力や報酬が変えたり、難易度自体も武器(指揮棒)で変わって世界観を合わせたり、戦闘の展開と画面演出やBPMと絡めても面白そう。自分はガソリンスタンド辺りで迷子になっちゃったので先にそういうタイプの敵もいたのかも。何にせよここまで音周りの制御の仕組みを実装できる方が貴重なので、とても尊敬してます。

FRAME RUNNER

この奥に入る演出、大好きです

上にも書いたけど下平さんは「My way.」という作品で昨年度本選参加されてたのだけど、グラフィックや演出がめちゃくちゃ進化してて凄まじい努力が感じられる。周りに流れる奥行きのあるエフェクトがゲームとマッチしていてオシャレ。奥行きに行った時、ダメージを受けた時にポストエフェクトでレンズの歪みと色収差のパラメーターを弄ってる?のもかなり効果的。そして音周りにも強い拘りも感じる。AudioFilter か何かを使って、奥行きに行った時に Low Pass Filter 掛けてる気がする。色も相まって落ち着きがあり、メリハリを感じる。プレゼンもすごい、ゲームサイクルで飽きさせない工夫みたいな話堂々とされてて、この辺りの考え方にどういう風に行き着いたのか、何か分析したコンテンツがあるのか、みたいなのとても気になります。難易度はそこそこ高めで、全然クリア出来る気がしません (15くらいまでは行った) 助けて。

銭神冒険記

上ルート越せません><

昨年度のUnityインターハイ2020でブロンズアワードを受賞し、さらにブラッシュアップして本選に出場した銭神冒険記。可愛らしい見た目とは裏腹に中々の難易度を誇る、いわゆる死にゲー。自分はアクションゲームそこまで得意ではないので、中々先に進めていない。ちょっとジャンプ中の移動に慣性があって滑る感じがあるのが若干難しさを増している気がする。時にアクションゲームに収集要素があるとつい探したくなる民は多いと思います (自分はCelesteの🍓集め諦めました) が、銭神冒険記にも小判が各ステージに3つ隠されているので非常にやり込みポイントが高い。オマケにステージの最後にタイムランキングが表示され格の違いを見せつけてくるので、アクションゲームに自信ある人は触ってみると良さそう。 Unity杯のWebサイトからWebGL版が遊べます

MILVUS Code115

手軽な無双感を味わえる弾幕STGゲーム

中田さん、般若弾幕伝 というゲームを作りアプリもリリースされているのですが、元々Unity1週間ゲームジャムで制作されていて「これを1週間で!?」と思った記憶があります。それ以前にもSTGを始め色々ゲーム制作されていて MILVUS Code115 はそれらの経験を詰め込んだものになっていそう。会話から入りストーリーを感じさせる導入、丁寧なチュートリアル、アクションに対する的確なフィードバックエフェクト、雲の多重スクロール、周回毎のパワーアップやアーマー・物語によるユーザの目標設定など、完成度がめちゃくちゃ高く、既にゲーム制作に対して熟練した技能を感じます。弾幕STG好きなんだろうけど、あえて今回は弾幕STG苦手な人に向けたコンセプトのゲームを出して、色々な人に楽しんでもらおう!という気持ちが感じられるところも含め、もう既にプロフェッショナルの域なんじゃないかなと思う。

BREMEN

コインのじゃらじゃら感、たまらん

今年のUnity杯の優勝作品。動物を呼び出して敵を倒すアクションストラテジーゲーム。非常に完成度が高く、一切の隙がない。モデルは可愛いし、UIはシンプルながら分かりやすく、画面の情報量も多くて賑やか。壁なんかも Cube 敷き詰めて対応しがちなところを模様のあるオブジェクトを置いていてオシャレ。登壇ではNavMeshやゲームギミックの話が中心だったけど、細かな画面作りがクオリティを支えていて、宮城さんの拘りが垣間見える。上述の通り、今年はテック寄りのプレゼンが少なかったので、NavMeshがRigidbodyと干渉するからAgentの結果だけ取り出して使おうみたいな話はとても面白かった。この辺りのアプローチと似てそう? ゲームパッドでのプレイを前提にしているので、DLして遊びたい人は注意が必要。対戦プレイがかなり熱そうなので、某コンソール向けにリリースして欲しい。

THE FIFTH SENSE

モデルも音も自前で用意するスタイル

本選出場チームの中で、唯一のチーム開発。チーム開発は本当に大変なのだけど、本選のプレゼンではそんな感じを見せなかったので大変だった部分とか深掘りしてみたい。「何億年も積み上げた文明は秒で崩壊した」という衝撃的なカットシーンからスタートするけど、物語の導入をとても親切に作っているのが良い。開発者自身がナレーション、ゲーム内のオペレーションを入れているけど、雰囲気にマッチしてる。すごい。電気系統が落とされたので音を頼りに進むというコンセプトに沿って、音も自作しているのが素晴らしい。FLStudio好きです。ゲーム本編をプレイしてみると、暗闇から敵が飛び出てくるような体験に結構いい意味でビビる。ただ自分はFPS苦手なので序盤から敵が素早くそこそこ体力があったのが中々難しかった。個人的には序盤はもう少し爽快感あるプレイができるほうが好み。

STAR STICK SHOOTING

STARシステム、かなり魅力のあるアイデアです

棒人間のゆる〜な雰囲気からは感じさせない程、ゲームとして完成されている作品。タイトル画面のモーションの動き、シーン間トランジションにて、唐突感を減らしテンポよく進めることができる。ステージ選択や能力強化のUI、システムっぽさを感じさせずに世界観に没入させるような作りになっているし、プレイヤーの名前も自分で入力できるような自由度の高さも良い。ステージ開始時に横から飛んできてそのまま始まるのも勢いがあるし、そのまま右に進めば良いことも分かって素敵。ひたすら飛べる移動も攻撃の反動で後ろに下がるのも気持ちいいし、画面全体を覆う勝利/敗北のUIも非常にインパクトがある。そしてプレゼン発表でも紹介のあったSTARシステム、宮本茂さんが昔「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」ということを言っていましたが、STARシステムはまさしくアイデアだなと思って聞いてました。強いて言えば、個人的には最初から結構難易度高い気もするので、序盤はSTARの目標を下げて気持ちよくクリアさせて欲しい。

ゴルフワンショット3D

ステージをクリアするとランキングが出てくる

カジュアルゲームライクなホールインワンを目指すスマホ向けアプリ。1つのホールで1回ショットして入れたら終わり…..ではなく、色々なところからショットしてホールインワンを目指すのが特徴。決められた残ボール、タイム、そしてステージに配置してあるレッドコインを回収するという目標設定もあり、一筋縄にはいかずついやってしまう。あまり弱く打ちすぎるとちょっと待たされるので、一定時間待つと打ち直しのボタンが表示されるけどそれと一緒に早送りボタンも欲しくなってしまう。一番好きなところはカメラワークと演出。ホールインワンした時に十分な満足感が得られるのは、カメラが回転する演出とエフェクトの効果が大きいと思う。難しいショットを決めた時のリプレイのカメラワークも非常に良い。あれどうやって作ってるんだろう。ステージ毎にある程度解法が決まっているので、予め Cinemachine の VirtualCamera を複数地点に置いておき時間か位置かで切り替えてたりするのかな……気になります。

植物少女とリモートの旅

安田さん「めんどくさい性格ですね(ハァ…)」

とにかく発想が面白い。画面があって何らかのメッセージが来るみたいのはロボット系のアクション・STGのオペレーター等で使われている表現だし、最近は実況・配信をテーマにした視聴者を意識する必要のあるメタなゲームも存在する。それらと違い、カメラのオンオフというメカニクスがゲームに取り込まれることによりまさに現実の「リモート会議」みたいな体験になっているのが良い。「あまり痛々しい姿を見せないでください!」という理不尽発言も、1人の個と対話している感じがあって良い。この体験を更に掘り下げて、少女から日常的な会話を振ってきたり、さらに少女もカメラをオンオフしたり、急にカメラにノイズが入る展開があっても面白そう。Unity歴1年未満ということだけど、ホントに!?って思う。Light2D 使われてるってことは恐らく URP だろうし、手前に草が映る演出とか Lost Crypt を彷彿させる。画面全体を覆う Fog も雰囲気作ってるし、絵作りがとても丁寧で素晴らしい。難易度はそこそこ高く、まだエンディング (あるのかな) 見れてません。ぜひ見ている方もチャレンジして欲しい。

グーチョキパニック

「あいこ」じゃないとうまく通れない床

昨年は「CactusTyping」という2Dドット絵タイピングゲームで本選出場されていたのに対し、本選は3Dアクションゲームで、しかもモデリングまで自分でやって参加されたのには本当にビックリした。キャラクターは可愛いし、ステージも統一感がある。ゲームを分かりやすくするために日常の遊びや動作をゲームに取り込むのはルールを迷わない、直感的に遊ぶことができる良いアプローチ。グーチョキパニックは「じゃんけん」をモチーフとしていて非常に分かりやすい。しかも、「じゃんけん」は敵だけではなく、床などのステージギミックにも適用されるのがユニークで良かった。「じゃんけん」の手のモチーフを利用した隠しギミックがあったり (チョキで紐を切れたり、グーで壁を押し込めたり) 手をモチーフにした敵の種族が存在していてそれぞれの敵同士も闘争することがあったり、みたいな設定があっても面白そう。妄想捗る良いゲームでした。

マインスイーパーオンライン

マインスイーパー苦手だけど何とかCPUに勝てた図

こちらも既にある題材をベースに拡張したアイデア。マインスイーパーのオンラインは同時進行で早い者勝ちで好きなところをクリックで開けてるような陣取り合戦をイメージするけど、本作はキャラクターが移動して陣地を開ける方式にすることで、互いの陣地を奪い合うような体験を生んでいる。上級者と初心者の差も決定的に付きにくいし、逆転要素もある。爆弾撒けるスキルも面白い (この爆弾配置、本選直前に一気に仕様決めてアップデートしたということで実装の速さも判断もすごい) 一種のパーティゲームの感覚でマインスイーパーを遊ぶことができるので、この操作体系もまさしくアイデアだなと思って見てました。というかそもそもオンラインゲームを実装できるのが強い。Photonだろうか、だとしても強い。シンプルながら独自の競技性を生み出したこのゲームも Unity杯のWebページ で遊ぶことができます。

Balloon Head 2

ふくらむことでジャンプ力が高くなったりする🎈

もともと「Balloon Head」という名称で日本ゲーム大賞2021 U18部門 の金賞を受賞していた作品だが、ビジュアルに大きく変更を加え「Balloon Head 2」という名称となった。研究所に囚われ、頭を風船に改造された主人公が研究所からの脱出を目指すというストーリー。えーそんなのどうやったら思いつくんだ。頭を膨らませたり、萎ませたりして、ギミックを乗り越えていくタイプのアクションゲーム。やはり胴体の方が重いのか浮いたりはできないけど、だんだん風船の力を使いこなせるようになって浮いたり、空気を抜いてダッシュしたりみたいな風船ギミックがどんどん増えていくと色々とステージのレパートリーも増やせそうで面白そう。目標設定もステージクリアとスコアの2点だけど、やり込める要素があると素敵そう。今後も楽しみです。

最後に

自分の立ち位置としては、今年は運営事務局として一部のお問い合わせの返信など出場者の皆さんとやり取りさせていただいたり、動画や一部のクリエイティブの作成・編集を担当させていただきました。当日も会場にて公式チャットやTwitter等の対応をさせていただきました。

会場で撮った写真

とても楽しくやらせていただきましたし、何より自分もまたゲームを作りたい気持ちになりました。ご参加いただいた皆さん、本選をご視聴いただいた皆さん、関係者の皆さん、本当にありがとうございました🙇‍♂️

プレゼン発表会本選 エンドロールより
hounoriさんのファンアート

 



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