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スマホがあれば十分!?

《 ライチ局長の勝手にチャイナ Vol.1 》


日本の労働生産性は先進国の中で最低なのだそうです。

これは、何となく思いあたるところで、日本で、新しい事の手続きを始めようとする時、どうしてこんなに時間がかかってしまうのか…と感じる時があります。

旅行代理店で観光ツアーを申し込むのに散々待たされたり、携帯電話の機種変更をしようと思ったら半日かかったり…。

ネットが便利かと思えば、あっちのページを見て、こっちのページを見て、最後はGoogleで調べて、まだよく分からない…、なんてことも。

もしかしたら、これって、ただ自分の生産性が低いだけの問題なのかもしれませんが…💦

ただ、ご存じの通り、日本社会は高齢化が進んでいて、退職引退の年齢は引き上げられていきます。

日々新しく生まれるサービスの知識を仕入れ、使いこなし、更に昨日の自分を超える労働生産性を発揮していかなければならない人生。

それが、この日本で、労働生産性を高めるために求められる正しい老人の姿です。

そうは言われても、いつか限界が来て「ワシはもうスマホがあれば十分じゃー!」と叫びだす日が来るのではないかと、不安にもなります…。

しかし、一方で、今後の日本で最大派閥になっている高齢者が、皆、「スマホでえぇ!」と叫んでいたら、結局、どんなに新しい技術を開発しても、売り上げが上がらず、日の目をみることはなく、産業は発展しません。

近い未来にスマホに代わる小型デバイスが現れて、どんなに色々な情報が手軽に入るようになったとしても、社会的なニーズは、家の中に存在感のある高齢者向け手すりを取り付ける事の方にあるし、むしろ小型デバイスの文字が小さすぎるために手に取ってもらえない、ということが起こるかもしれないのです。

ただ、これは、高齢化に伴う構造的な問題なのだと思います。
誰が悪いというわけでもなく、誰かが何かをすれば解決するというわけでもない問題…。

年を重ねれば、新しいことに対応しにくくなる、人間の能力がそういう構造になっている以上、変わらない未来なのかもしれません。

ただ、個人的に懸念しているのは、その結果、日本では、新しい技術に対するニーズが衰え、サービスや商品が生まれにくくなるのではないか、ということです。

もちろん、高齢者が増えた日本では、新しい技術で常にバージョンアップしなくても、それで生活に対する全体の満足度が下がるわけではないと思います。

しかし、世界では、若者が主導権を握っている国があり、そこでは新しい時代に対応したサービスや商品が絶えず求められ、生まれてきます。

日本の市場とは関係なく、競争があり、研鑽があり、品質向上があり、低価格の実現があるのです。

すると、ボリュームが確保できずに単価が上がる日本の新技術を横目に、海外から性能もよく、廉価な商品が入ってくることになります。

日本で少数派になっていくだろう、新たな技術を欲する若い年代の層は、そこに飛びつくことになり、日本の最新技術市場に対するニーズはますます減少していく…。
 
 
そして、どうやら当面、その役目は中国が担うことになるような気がしています。

例えば、経済分野に関する日本のニュースと中国のニュースを並べてみてください。

「〇〇を新開発!「〇億ドルを調達!」「〇億ドルの販売額達成!」と豪華な見出しが並んでいるのは中国の方ではないでしょうか。
 
実際に広州で企業訪問をしても、思わずワクワクしてしまうような新製品や新しいアイディアに思わず膝を打つこともしばしばです。
 
もちろん、中国も間もなく高齢化社会を迎えるわけですが、少なくとも今は、進めるだけ進む、とばかりに猛烈に成長をしているように見えます。

特に、5GやAI、ブロックチェーン、ロボット、ドローンの分野など、世界中が同時にスタートを切ったような新技術に対する進撃がすごいです。

例えば、2020年末の時点で、日本が「電子決済」の普及に力を入れているのに対し、中国は「電子通貨」の世界へと進もうとしています。

そうなると今後、電子通貨に興味を持っている若者は、中国をベンチマークしていくことになるのでしょうし、万が一、何年か先の未来で日本政府が電子通貨の発行を始めることになったら、確実に中国の事例を研究して追っかけることになるわけです。

それを見ていると、次の次の世代はどうなるか分からないけど、少なくとも次の世代くらいまでは、中国から新たなものが流れてくる時代になるなぁ…という気持ちになります。

もちろん、某国の大統領のように「中国は信用ならん」と貿易を止めるという手もあるでしょう。

でも、一時的に見ないふりをしたところで、それで中国の技術開発が止まるわけではないし、仮にその結果中国の景気が悪くなったところで、既に生み出した新技術が退化するということは決してないのです。

労働生産性が低下し、経済力が低下するのなら、相対的に経済力が高くなったところから、新たに生まれた技術やサービスが流れてくる…。

水が高いところから低いところに向かって流れる以上、それは変えられない自然の摂理ではないかとも思うのです。

だとすると、勘のいい人は、先回りして、そこに一つのビジネスチャンスを見出すこともできそうな気がします…。

中国や他の国生まれた粗々のハイテク技術を、それこそ高齢者でも楽に使いこなせる形のデバイスに仕上げていくというニーズもあるでしょう。

海外の優れたものを、さらに良いものに改良していくのは、むしろ日本のお家芸なはず。

良いことも悪いことも含めて、ゆっくり確実に押し寄せる現実に対し、全力をかけて逆うとするのか、それともその波に乗ろうとするのか、その問題は、高齢化が引き起こす構造的な問題とは異なる、個人に委ねられた選択可能な問題なのだと思います。

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