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お菓子作りが好きなエンジニアがお菓子を作る時に何を考えているか

この記事は、LITALICO Advent Calendar 2022、21日目の記事です。

はじめに

こんにちは。今年の9月に株式会社LITALICOに入社しました、林と申します。
これまではプログラマ/エンジニアとして約3年間働いてきましたが、一時期にお菓子作りにドはまりして、プロを目指すべく製菓の学校まで通っていました。
今はその夢を諦めましたが、まだケーキなどを作るのが趣味で、クリスマスの時期に際して、エンジニア視点も交えながらお菓子作りにおける所感を書こうと思いました。

バリエーションを考える

私がお菓子を作る時によく考えることは、以下のようなバリエーションを増やすことです。

  • 同じ中身で、形が違う

  • 同じ形で、味と色が違う

  • 同じ見た目で、食感が違う etc.

抹茶をほうじ茶に変えたり、牛乳を豆乳に変えたりするように、一部の材料を同じ性質を持つ別の材料で置き換えると、何らかのバリエーション(変化)が生まれます。
もし抹茶やほうじ茶を「お茶」に分類して互いに代用できるとしたら、抹茶のレシピを使ってほうじ茶バージョンを作れますね!

このように、お菓子を作るのに必要な材料や器具をあらゆる種類に分けて、とある材料を同じ系統の別物に変えてみることでバリエーションが広がるのではないかと思いました。
では、どのように分類すれば良いでしょうか?ソフトウェア開発の世界にある「オブジェクト指向」という思想からヒントを得ました。

◆オブジェクト指向とは?
「ある役割を持ったモノ」ごとにクラス(プログラム全体の設計図)を分割し、モノとモノとの関係性を定義していくことでシステムを作り上げようとするシステム構成の考え方のこと。

https://robo-done.com/blog/2021/04/doneship_object_oriented/

オブジェクト指向に真似して、お菓子が出来上がるまでの過程を「成形クラス」「調味クラス」「装飾クラス」がそれぞれの役割を担っているものだと捉え、各クラスのメンバをさらに定義していったら、自己流の分類ができました。どのクラスにおいてアレンジを加えても、お菓子に個性を持たせることができます!

# 成形クラス

## 生地となる材料
- たまご(鶏卵、アヒルの卵など)
- 砂糖類(グラニュー糖、きび砂糖、上白糖など) 
- 粉類(小麦粉、米粉、コーンスターチなど)
- 油脂(バター、サラダ油など)
- 乳類(牛乳、生クリーム、豆乳など)
- チーズ類(クリームチーズ、マスカルポーネなど)
- 凝固剤(ゼラチン、寒天など)
- 香料(バニラエッセンスなど)
- 色素(食紅など)

## 型
- デコレーション型(ホール型、スクエア型、ハート型など)
- マフィン型 / マドレーヌ型
- シフォン型
- ベーキングカップ
- その他の型

# 調味クラス
- チョコレート系(チョコレート、ココアなど)
- 茶系(抹茶、ほうじ茶など)
- フルーツ系(任意のフルーツ)
- アルコール類(ラム酒、リキュールなど)
- シロップ

# 装飾クラス
- ホイップクリーム
- カットフルーツ
- ナッツ etc.

成形クラス

成形クラスはお菓子の土台を作る役割を担い、プレーンや定番の何かを作る場合、成形クラス一つで完結できます。また、成形クラスは生地となる材料と型に分けられます。
生地となる材料はお菓子の種類によってほぼ決まっており、基本レシピ通りで問題ないです。例えば、スポンジケーキを作るのに少なくともたまご、薄力粉、砂糖が必要です。もちろん、鶏卵の代わりにアヒルの卵を、薄力粉ではなく米粉を、砂糖をグラニュー糖やきび砂糖から好きなものを選んで使ったりできます。ただし、材料には相性があり、ここでむやみにバリエーションを増やすことはあまりしないです(笑)

一方で、型の可能性は無限大です!端的に言うと、生地を流し込んで加熱や冷蔵などの工程に耐えれれば何でもアリです。たい焼き器はたい焼きしか作れないということはないです。
シフォン型でちぎりパンを作れることを初めて知った時、シフォン型を持っていながらシフォンケーキしか作らなかったことで損した気持ちになりました。お菓子作りに限らず、何事も「型」にとらわれない思考が大事ですね。

もう一つ断言します。冷やすタイプのプリンを作るのに、プリン液を注いて水平に保てる衛生的な容器であれば何でも使えます。その証拠に、お恥ずかしながら、シリコン製のケーキ型で作ったキャラプリンをお見せします。

黒蜜といちごジャムも使っていました。

調味クラス

調味クラスの役割は、プレーンや定番の何かにもうひと風味をつけることです。付随して色をつけることもあります。
ここも可能性が無限大で、アレンジの中心となっています。端的に言うと、生地に均一に混ざれば何でも良いです。調味クラスの材料を想像しやすいように風味別で列挙しましたが、「物質の状態」観点で分類すると固体と液体しかないです。

# 調味クラス
- チョコレート系(チョコレート、ココアなど)
- 茶系(抹茶、ほうじ茶など)
- フルーツ系(任意のフルーツ)
- アルコール類(ラム酒、リキュールなど)
- シロップ

スポンジケーキの例をもう一度見てみましょう。基本の材料はたまご、薄力粉、砂糖この3つですが、もうひと味を足すのにどのようなものが使えるかと考えます。
まず、液体のたまご(正確に言うと泡立てたたまご)に均一に混ざれるものは液体です。アルコール類やシロップのような自然な液体もあれば、溶かしたチョコレートのような固体から得られる液体もあります。また、液体と固体の中間にあるペーストも液体の生地に混ざれます。生果実を加熱調理でペースト状にするのはよくあります。
次に、砂糖はさておき、薄力粉に混ざれるものは粉類です。ココアや抹茶パウダーのような既製の粉類は納得しやすいと思いますが、うなぎパイや柿の種をフードプロセッサーで粉末状に砕けたら、それも粉類に入りますね?
ちなみに、うなぎパイの原材料を調べてみたらケーキとよく似ています。

小麦粉(国内製造)、砂糖、乳等を主要原料とする食品、うなぎ粉、水飴、フラクトオリゴ糖シロップ、鰹風味調味料、ガーリック/香料、V.A、酸化防止剤(V.E)、(一部に小麦・乳成分・大豆を含む)

https://www.shunkado.co.jp/sweets/unagipai_s/post_53.php

ケーキに小麦粉、砂糖、乳製品、水飴、オリゴ糖があるのは全然普通のことですが、通常ケーキに入れないうなぎ粉、鰹風味調味料もケーキに入れたら、うなぎパイの味がするケーキを作れるのではないかと思いましたので、いつか実験してみたいです。

以上から、風味や相性はともかく、任意の食用可能な材料を液状またはペースト状、粉末状またはみじんに形を変えたらスポンジケーキに加えられるという仮説を立てることができます。

装飾クラス

装飾クラスはいわゆるデコレーションです。お菓子に彩りを添える役割を担いますが、風味を大きく干渉しないことを想定しています。
言うまでもなく可能性が無限大ですね。衛生的なものであれば、食用可能でも不可能でも飾り付けることができます。華やかなクリスマスケーキも、飾られているものはすべて食用可能とは限らないです。

お菓子作り×福祉~新たな夢~

冒頭で、お菓子作りのプロになる夢をあきらめたと言いましたが、それは自分が成果物よりも、作る過程を楽しんでいると気づいたからです。
私がお菓子作りから得た成功体験や想像力・創造力、ストレス発散効果を、より有意義な形で世間に広めようとすると、福祉現場でお菓子作りに携わるという方法を見つけました。
就労継続支援B型事業所と併設する製菓工房の責任者であったり、お菓子作りのプログラムを提供する精神科デイケアの講師であったり、お菓子作りを通じて人に接し、支えるプロにはなりたいです。
おいしいお菓子を製造・販売して利益や評判を獲得するのが目的ではなく、生きづらさを抱えている方々に生産活動の機会を提供し、お菓子作りのように自らの手で何かを変えられることを実感していただき、ひいては社会参加・社会復帰につながったらいいなと思います。

おわりに

お菓子を作るのに必要なものをなんとなく分類してみましたが、実は不完全な部分が多いと感じました。なぜなら、複数の役割を持っていて分類が難しいものがあったからです。例えば、ホイップクリームは装飾のみならず調味の役割も発揮しています。
ですが、物事を共通点や関係性によってカテゴライズし、一部を変えてみるという創意工夫の仕方がこの記事で伝わったら嬉しいです。
料理をする時、レシピの一部を別のものに変えてみたらいかがでしょうか?

明日のLITALICO Advent Calendar 2022は、@t-kontaさん、@nonsaitoさん、@i-kさんの記事です✨

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