#48 遠い星で、また会おう。
※この作品は、フィクションです。
なんだかんだ検査が終わり、栗原さんが「お疲れ様。よく頑張ったね。」と言ってくれて、ちいさいペットボトルのお茶を渡してくれた。そのタイミングでどっと疲れが押し寄せてきた。
「栗原さん、このテストの結果って、何に使うの?」
「洋介君が施設に行って頑張れるようにするために使うよ。」
俺は、「まだ頑張らなきゃいけないのかよ…」とちょっと悲しくなった。
テストが終わって、待合室と書かれた部屋に行くと、そこには浩介がすでに座って、暇そうにしていた。手には、俺がもらったものと同じペットボトルが握られている。
「早かったね。」
「いや、さっき終わったところ。疲れた。」
「俺も。」
しばらく、どんな内容のテストだったかを二人でしゃべっていた。あの正解はこうだったんじゃないかとか、どこまでできたかとか、あの計算は最後までいかなかったとか、問題量が多すぎたんだとか、あれで性格分析ができるんじゃない!? とか。
ドアをノックする音がして、顔を上げると松ヶ枝さんが立っていた。
「お疲れ様。じゃあ、遅くなったけど、今から施設に行くよ。」
俺らは、松ヶ枝さんに連れられて、またタクシーに乗った。
↑ 前話
↓ 次話
この物語は、著者の半生を脚色したものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?